イベントレポート

Edgeが生体認証対応、Ink機能強化。Xbox OneもUWPアプリサポートへ

~夏のメジャーアップデート「Windows Anniversary Update」で

Windows & Devices担当エグゼクティブ バイス プレジデントのテリー・マイヤーソン氏

 アメリカ カリフォルニア州サンフランシスコでMicrosoftが開催中のソフトウェア開発者向け会議「Build 2016」の初日基調講演では、この夏にWindows Anniversary Updateが提供されることが明らかになった。そして、それに伴うさまざまな新機能の搭載が予告された。

 基調講演に登壇したWindows & Devices担当エグゼクティブ バイス プレジデント テリー・マイヤーソン氏は、「今日はMicrosoftがWindowsについて、今、何をやっているかを詳しくお知らせしよう」と話し始め、キーボードやマウス、タッチ以上のものとして、ペンや、ジェスチャなどをデバイスの枠を超えて提供することで、さらなる生産性を提供することを約束した。

 マイヤーソン氏によれば、新しいWindowsは、よりセキュアで、よりパーソナルなものになるという。基調講演で紹介された4つの新機能はそれを支える技術だ。

 まず、Windows HelloがアプリおよびブラウザのEdgeにおける生体認証機能をサポートする。これまではサインインの時にしか使えなかったWindows Helloだが、その認証と同じ方法で強固なセキュリティを保ったまま、WindowsアプリやEdgeでのWebアプリなどでの認証に対応する。これによって、Edgeは、最初で、そして、現時点で唯一の生体認証対応ブラウザとなる。

 次に、各アプリケーションにインテリジェントな手描き機能をもたらすWindows Ink。画像にソフトウェア定規を置き、ペンで直線を引いたり、アプリ「地図」の上で道路をなぞって線を引くと距離が表示されたりする。地図では山登りのトレッキングコースを平面の地図でなぞった後、その地図を3D表示しても、手描きのラインがそのまま3D地図の上に再現される様子がデモされた。これらがOSレベルでサポートされる点に注目したい。

 また、WordやPowerPointなどのアプリでも、オブジェクトを定規に沿って直線状にスナップさせたり、ラインを引いたりといったことができるようになる。AdobeのアプリであるIllustratorとのコラボも実現されるようで、複雑な曲線を持つテンプレートを使っての描画の様子などが紹介された。

Windows Inkの事例紹介では、新たな要素としてInk Workspaceが紹介された
ソフトウェア定規をキャンバス状で使う
トレッキングコースを俯瞰地図の上から手描きすると距離が即座に表示される
地図を3D表示にしても忠実にトレースされているのが分かる
PowerPointでも定規を使ってオブジェクトを整列させたり線を引いたりできる

 さらに、WindowsストアにおけるCortanaコレクションが紹介された。Cortanaは既に1,000を超えるアプリがリリースされているそうだが、今後、Windowsにおける重要度はますます高まっていく。PCをよりパーソナルなものにし、役に立つ存在にするために、単なるデジタルアシスタントとしてではなく、ほかのCortana用アプリケーションと相互に接続し、ユーザーの役に立つものとなるという。ステージでは、スクラッチパッドアプリに「ママに明日電話する」と手描きでメモをすると、それをCortanaが認識して、タスクとして登録する様子が紹介された。

 そして、UWPアプリがついにXboxに対応する。これであらゆるデバイスが、1つのWindowsストアでカバーできることになる。また、市販されているXbox Oneが、そのまま開発キットとして使えるようになることで、ソフトウェア開発者の裾野が広がることが約束された。

 また、HoloLensを担当するOS GroupのTechnical Fellowであるアレックス・キップマン氏も登場、Build 2016の初日にあたるその当日から、開発者およびエンタープライズ向けにHololensの開発キットが出荷されることを発表した。ステージでは、HoloLens早期導入企業などが発表されたが、その中には日本のJALも大きくクローズアップされていた。詳細は不明だが、どうやら乗客がエンタテイメントとして楽しむものではなく、整備関連現場において、トレーニングやメンテナンスの用途で使われることになるようだ。これについては、JALが追って詳細を発表することになっているという。

 なお、Windows 10 Mobileについては特筆すべき要素の言及はなかった。

(山田 祥平)