イベントレポート

ゴミ箱を改造したMac Pro風ケースがパワーアップして再登場?

~星野金属のJazzも再来? アユートが取り扱いそうなケースを森田氏に聞いた

こちらはTranscendのブースに展示された本物のMac Pro

 COMPUTEX TAIPEI 2015の会場において、偶然株式会社アユートの森田健介氏(いわゆる元店員M氏)と遭遇し、共に行動する時間があった。

 ご存じの通り、同氏は独自ブランド“ProjectM”を立ち上げ、一風変わったパーツや、“これまでないけど、あったら便利”と思えるパーツのみを取り扱っている。そのパーツの選別も森田氏自身が行なっているわけだが、言い換えると、日本を代表する凄腕の変わり種PCパーツバイヤーでもあるわけだ。

 そこで今回は彼が目星を付け、日本にも導入できそうな製品についてお伺いし、筆者の通訳を挟みながらメーカーと交渉した。

Mac Pro風ケースがパワーアップするのか?

 まず同氏が気になったのは、東莞市品盛電子有限公司が開発した、Mac Pro風の円柱形Mini-ITXケースだ。

 ProjectMでは以前に、Amazon.co.jpが間違えて購入しないよう注意を呼びかけたことで話題となったideaco製ゴミ箱「New TUBELOR」に、PCシステムを組み込めるようにする「ProフレームKIT」を販売したことがあった。

 この時は、ユーザーがProフレームKITとNew TUBELORの両方を購入して、さらに改造を施さなければ実現できなかったが、今回見つけたケースは最初からMini-ITXケースとして設計されているため、質感や完成度は遥かに高い。

 直径はMini-ITXより少し長い200mm程度とコンパクト。Mini-ITXマザーボードとSFXタイプの電源を装着できるほか、上部に120mm角ファンを1基装備できる。さらに小型ながらLowProfile準拠の拡張カードも装着でき、1スロット占有タイプでマザーボードより短ければ、ビデオカードによる性能の拡張も可能だ。

 なおこの製品を展開にするにあたり、外観の特許と構造の特許を中国本土で取得していたそうで、中国にある他のメーカーは真似できないことになる。

 担当者と話したところ、現在まだ設計の最終段階にあるものの、6月中旬には完成し、スペックや設計などの詳細データを森田氏にメールするそうで、本体色などのカスタマイズにも応じられるという。量産もすぐに可能なレベルに入っているということで、期待して良いだろう。

円柱状のMini-ITXケース。完成度はなかなか高い
SFX電源を内蔵可能だ
中国の特許番号がしっかり入っていた

かつての星野金属「M.J」を彷彿とさせるMini-ITXケース

 続いては、ヒートシンクを中心にビジネスを展開している「ID-COOLING」。実は森田氏に遭遇したのはCRYORIGブース取材後で、「今冷却系を集めてるんです~」と伝えたところ、パンフレットを見せられたのがこのメーカー。

 そこで森田氏とともにブースに足を運び、CPUクーラーの写真を撮っていたのだが、その後ろで展示されているケース「T60-SFX」が筆者の目に入ったのだ。

ID-COOLING製のCPUクーラー「HUNTER VC-TWIN」
HUNTERVC-3D。ベイパーチャンバーを採用しているという
簡易水冷「FROSTFLOW 240L」
こちらはビデオカードも冷やせる「HUNTERDUET」。流水経路が長くなるが、その分CPUヘッドとGPUヘッド双方にポンプを内蔵し、水圧を維持するという

 Mini-ITXマザーより少し大きめタワー型の筐体だが、何よりも印象的なのは斜面になっている前面パネル。今は亡き星野金属製のATXケース「Jazz」シリーズ、もといさらに小型化してベアボーン化した「M.J」をも彷彿とさせるスタイルで、ほぼペンタゴン(五角形)の側面パネルが特徴となっている。さらにフレームはスチール製だが、それ以外は厚手のアルミパネルで覆われており、質感もかなり高い。

 中国国内では既に2年前から販売されており実績もある。森田氏もなかなか満足行く出来であったのだが、変わり種というよりも普通に完成度が高い製品ということで、「代理をやるならアユート本体なので別のバイヤーを呼んで来ないと」ということで、残念ながらその場では商談成立とはならず、明日以降に持ち越されそうだ。

 主な仕様は、対応マザーボードのフォームファクタはMini-ITX、拡張カードは2スロット占有で、263mmの長さまで搭載可能。拡張ベイは2.5インチ×1。CPUクーラーは125mmまでで、ケースに92mm角ファンを1基搭載可能。本体サイズは160×328×251mm(幅×奥行き×高さ)、重量は3kg。

 余談だが、実はID-COOLINGはファンレスMini-ITXマザーボード向けに、小型のPCケース「SILENCER-ITX」を用意しているのだという。台湾のCOMPUTEXにも展示したかったそうだが、飛行機に乗る時に預かり荷物の重量制限をオーバーしてしまったせいで持ってこられなかったそうだ。なんとも残念な話だが、日本でもお目にかかれることを期待したい。

T60-SFX。シルバーとブラック+レッドの2種類が展示されていた
こちらは現在制作中のプロトタイプ。ASUSが今後PCI Expressスロットを水平に出すモデルを投入する予定があるとしており、これが投入されれば市場が広がるという

DEEPCOOLの三つ星型ケースもやってくる

 一緒にブースには足を運ばなかったが、「DEEPCOOL製の三つ星型Mini-ITXケース“Tristellar”も代理店やりませんかね」と尋ねたところ、「まだ量産には至っていないので、入ったとしても数個。ただやろうと思ってます」という回答が得られた。これは期待したい。

 またDEEPCOOLのブースでは、高層ビルをモチーフとしたカーボンファイバー製のMini-ITXケースや、ビデオカードが独立して見えるキューブケースなど、新製品も展示さており、森田氏は興味を示していた。いずれにしても取り扱うのは、日本で最も人気のあるMini-ITXフォームファクタに限られるだろう。

Tristellar
NVIDIAバージョンもあるのだが、これはNVIDIA製ビデオカードが入った完成システムとして売らないとダメだそう
高層ビルを模したカーボンファイバー製側面パネルを持つPCケース
ビデオカードだけが見えるキューブ型Mini-ITXケース。前面のLED色も変更可能

(劉 尭)