イベントレポート

マウス、“古くて新しい”モバイルノートをがっつりチラ見せ

開発中の試作機を持つ小松社長
会期:6月3日~7日

会場:Taipei World Trade Center Hall 1,3, NANGANG Exhibition Hall

Taipei International Convention Center

 マウスコンピューターはCOMPUTEXに直接出展していないが、イベントを訪れていた同社小松永門社長らから、同社が現在開発を進めているモバイルノートをこっそり見せてもらうことができたので、ここに紹介する。

 なお、まだ試作機の段階であり、少なくともキーボードは英語から日本語に変更されるなど、製品版では外観や仕様は変更になる可能性があることをご了承頂きたい。

 本製品のコンセプトを一言で表わすなら“古くて新しい”モバイルノートということになるだろう。最新のUltrabookや2-in-1などと比較すると、外観は1世代前の製品のように写る。しかし、中身は最新のアーキテクチャとなっているほか、同社のこだわりが随所に詰め込まれた製品となっている。

 細かい数値は不明だが、13.3型の本製品は目測で30mm近い厚みがある。15mm近い薄さのノートが発表されているモバイル製品の中で、この数字だけを見ると、冴えない、あるいは工夫がないと見られるかも知れない。

 だが、この厚みは手ごろな価格で使いやすいということを追求した結果のものなのである。その最たる例はキーボード。試作品のため英語配列となっているが、一般的なモバイルノートのキーストロークが1.3mm程度に抑えられている中、本製品では1.8mmという深いストロークを確保。これによりしっかりとした打鍵感を実現している。モバイルPCなのに、外付けキーボードを使ったのでは本末転倒という考えから、キーボードメーカーには呆れられながらも、金型を起こしてまでこのキーボードを特注したのだという。日本語化された最終版を触らないと最終的な判断は下せないが、試作機を試したところ、かなり快適な打鍵感を実現していた。

 タッチパッドについても、厚みが増すことを承知で、従来環境に慣れたユーザーのことを考え、左右がきっちり分割されたボタンを採用している。

外見はありふれたビジネス向け13.3型という感じ
しかし、1.8mmという深いストロークを得るため、キーボードの金型を新たに起こした。製品版ではもちろん日本語配列になり、エンターは一番右に来る。マウスのボタンも流行は無視して、使いやすさで独立型を採用した

 そして、ビジネスに必要な、ミニD-Sub15ピンや、Ethernetをそれぞれ邪魔にならないよう離した上で確保し、さらには両側面にそれぞれUSBポートを設けたのもある程度の厚みが必要となった理由だが、これもユーザーの使い勝手に配慮してのことだ。

 薄いノートは持ち運びしやすいが、昨今の薄型ノートはUSBとHDMIくらいしかポートがないものもある。それで十分なユーザーもいるが、職業的にノートPCを持ち運んでいろいろな場所で使い、文字入力も多いというユーザーには、深いキーストロークや各種ポートの装備は、“刺さる”ことだろう。

左側面にミニD-Sub15ピン、HDMI出力、USB 3.0、音声入出力
右側面に電源、Ethernet、SDカード、USB 2.0×2を装備

 一方、厚いからといって重量をないがしろにしているわけではない。本製品はHDDモデルでも1.5kgを切ることを目標としており、SSDなどより軽い部材を利用した場合は1.1~1.2kgになるといい、可搬性でも薄型ノートに勝るとも劣らない。また、バッテリも着脱可能にしている。

 プラットフォームについては、CPUはHaswell対応で、メモリは16GBまで積めるよう2スロットを搭載。ストレージについては、2.5インチSATAドライブと、PCI Express M.2ドライブの2基を搭載可能。液晶は13.3型1,600×900ドットとやや控えめだが、WQHD(2,560×1,440ドット)のオプションも検討している。

 そして、LTEにも対応予定。MVNOが提供する月額980円程度のSIMと組み合わせることで、通信量は多くないが、必要な時にさっと取り出して開けるだけで即通信可能という環境を提供したいとしている。

 もう1つ重要な要素である価格については、カーボンファイバー筐体により985gを実現した「LuvBook X」が、ややプレミアム感のある価格になったが、そういったものや既存のUltrabookよりは安価にしたいとしており、10万円は余裕で下回ってくるのではと思われる。発売時期については夏から秋を目指している。

裏面。バッテリは取り外し可能。カバーを開けると、2.5インチSATA、M.2、SO-DIMMなどにアクセスできる
試作機はシンプルなシルバー仕上げ。しかしこの製品担当者はカラバリがことのほか好きなのだとか……

(若杉 紀彦)