イベントレポート
【2014 NAB Show】続々と発表されるThunderbolt 2対応の周辺機器(前編)
~Mac Proのラックマウントキットなど
(2014/4/14 06:00)
2014年のNAB ShowレポートはThunderbolt関連機器から紹介する。これまでは普及に向けた段階としてとらえ、イベントレポート等でThunderboltインターフェイスそのものについても毎回簡単に触れてきたのだが、認知度もそれなりに高まっていることから、今後は規格部分については直近のアップデートを除いては関連記事を参照していただきたいと思う。紹介したい製品の数がやや多めなので前後編とする。
さて、Thunderboltを推進するIntelはNAB ShowのSTUDIO Experienceゾーンに出展。同エリアでIntelは3つのテーブルを用いてデモンストレーションを行なっていた。1つは7日(現地時間)に発表された「Thunderbolt Networking」規格のデモ。本誌記事でも概要を紹介しているが、2台のThunderbolt 2対応のPCやMac間をThunderboltケーブルで接続するだけで、相互にデータ転送を行なうことができる。
デモではMac上にある映像データのストリーミング再生をPC上で視聴していた。Ehternet接続がエミュレートされるため、それぞれのThunderbolt 2ポートにはIPアドレスが割り振られている。Macの場合はターゲットモードで起動することでMac本体をThunderbolt対応のストレージとして扱うことができるが、それとは異なり、相互に起動している2台で直接接続を行なえるのが特徴。PC-PC、PC-Mac、Mac-Macのいずれでも利用できる。
他の2つのテーブルはいずれも4Kの映像制作ワークフローにフォーカスしたもので、一方はMac Proを利用したスタジオでの作業、もう一方はHPのワークステーションノートブックを使った環境を再現したものになっている。
IntelはNABに合わせて「Thunderbolt Product Showcase」というパンフレットを配布した。Intelの展示エリアをはじめ、Thunderbolt対応機器を出展する各ブースで入手できる。例年CESのIntelブースなどでも同種のパンフレットが配布されている。2014年のCESでも配布されていたが、NABにあわせて内容がさらに更新された。NAB開幕と同時に発表された製品のいくつかは含まれていないものの、NAB直前までの製品が一覧になっている。2013年CESでの状況と比較してもらうと一目瞭然だが、対応機器は大幅に増加している。
Sonnet Technologies編。Mac Proをラックマントにするキットなど。
古くからMac関連周辺機器を扱うSonnet Technologiesのブースでは、Mac Pro(Late2013)をラックマウントにするキットなどが展示された。製品発表は3月26日(現地時間)で、4UのスペースにMac Proを2台収納する。以前はAppleがXserveというサーバーモデルを発売していたが、現在はラックマウント式のサーバー製品は終息している。終息後もMac Proをラックマウントにするソリューションをサードパーティ各社が提供していたが、これは2013年モデルから円筒状になったMac Pro向けの製品ということになる。
4Uのラックスペースに最大2台のMac Proが収納できる。モジュラーデザインになっており、Mac Pro本体のマウントに加えてPCI Expressの拡張ボックスと、5インチベイが2つ用意され、ストレージやメディアリーダを組み込んで利用できる。
Mac Proの背面インターフェイス部分からケーブルを引き出す必要があるため、正しくセットした場合、底面のMac Proロゴは斜め向きになる。ラック正面に向かって左斜め上がインターフェイスの位置だ。本来は立てて利用するMac Proだが、こうして横向きに設置しても、冷却能力などに問題はないとSonnet Technologiesのスタッフはコメントしている。
以前から開発発表を行なっていたThunderbolt 2対応のドッキングステーションも展示した。構成の違いで2モデルあり、「Echo 15 Thunderbolt 2 Dock」と「Echo 15 Pro+ Thunderbolt 2 Dock」。拡張されるインターフェイスは共通で、USB 3.0×4、eSATA×2、FireWire 800×1、Gigabit Ethernet×1、音声入出力。前面のUSB 3.0ポートの1つは2.1AでiPadの充電にも対応する。Thunderbolt 2のインターフェイスを2つ備えており、デイジーチェーンに対応する。上位モデルには書き込み可能なBDドライブをあらかじめ搭載する。
従来はThunderbolt対応製品として事前予約を受け付けていたが、Thunderbolt対応製品は結果として出荷されずに、Thunderbolt 2対応製品に切り替わることになった。出荷時期は2014年の8月以降を予定している。
Sonnet Technologiesのブースではほかにも、PCI Express拡張ボックスや、プロ向け記録メディアであるP2、SxSのThunderbolt対応メディアリーダなどを展示した。
Promise Technology編。Thunderbolt 2対応のSAN Linkアダプタなど
初めてMacBook ProにThunderboltが搭載された時から対応周辺機器メーカーとして紹介されているPromise Technology。Thunderbolt 2対応製品としては、それぞれ4台、6台、8台の3.5インチHDDを内蔵できるRAIDの「Promise Pegasus2 R4/R6/R8」を出荷しているが、2014 NAB Showに併せて新製品を追加した。同様にRAIDながら、搭載するストレージを2.5インチのHDDあるいはSSDにした「Promise Pegasus2 M4」。最大4台の2.5インチドライブを内蔵する。
またThunderbolt 2をSANに接続するSANLinkもThunderbolt 2に合わせて、SANLink2となり、ファイバーチャネル版のほかに10Gbit Ethernet版が追加されている。
Promise Technologyのブースでも、ワークフローを紹介した展示を行なっていて、それぞれWindowsのワークステーション、Mac Pro、MacBook Proにフォーカスした内容となっていた。
LaCieははラックマウントの「8big Rack Thunderbolt 2」を展示
前日レポートとしてShow Stoppersでの展示を紹介したLaCie。展示ホールには、ShowStoppersでは実物のなかった「8big Rack Thunderbolt 2」も、ラックに入れた状態で展示が行なわれていた。
G-Technology編。Thunderbolt 2対応で新デザインになったRAIDストレージ
本誌でもすでにニュース記事)で取り上げているが、G-Technologyのブランドでストレージ製品を展開するHGSTはThunderbolt 2に対応する外付けHDDを2機種各3モデル発表し、ブース展示を行なった。「G-Speed Studio with hardware RAID」が4ドライブ内蔵製品でRAID 0/1/5/6/10に対応、「G-RAID Studio」が2ドライブ内蔵製品でRAID 0/1/JBODに対応する。いずれもHGSTのHDDを内蔵し1ドライブあたり3TB、4TB、6TBのHDDを採用することで前者は最大24TB、後者は12TBの容量となる。
Thunderbolt 2対応としたことで、デザインを従来から一新。Mac Pro(Late2013)を意識して黒をベースにした色調になっている。Mac Proのような円筒形そのものではなく側面はフラットに近く、前面がさらに丸みを帯びたデザインになっている。従来モデルは、以前のMac Proを意識したデザインで、金属筐体にパンチングが基本要素だったが、新製品では光沢のある黒となっている。ただしMac Proとは異なり金属筐体ではない。
また、ドックングステーションのEvolutionシリーズに「G-DRIVE ev SSD」と「G-DRIVE ev 500GB」のドライブモジュールが追加された。Evolutionシリーズはドライブモジュールが独立してUSB 3.0のポータブルドライブとして利用できるほか、ドッキングステーションに挿入して据え置き型ドライブとしての運用も可能な製品。G-DRIVE ev SSDは米国で4月から499.95ドル、G-DRIVE ev 500GBは同じく99.95ドルで出荷を開始する。