イベントレポート

【2014 NAB Show】続々と発表されるThunderbolt 2対応の周辺機器(前編)

~Mac Proのラックマウントキットなど

会期:4月5日~10日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center

 2014年のNAB ShowレポートはThunderbolt関連機器から紹介する。これまでは普及に向けた段階としてとらえ、イベントレポート等でThunderboltインターフェイスそのものについても毎回簡単に触れてきたのだが、認知度もそれなりに高まっていることから、今後は規格部分については直近のアップデートを除いては関連記事を参照していただきたいと思う。紹介したい製品の数がやや多めなので前後編とする。

NAB ShowのSTUDIO ExperienceゾーンにあるIntelの展示ブース

 さて、Thunderboltを推進するIntelはNAB ShowのSTUDIO Experienceゾーンに出展。同エリアでIntelは3つのテーブルを用いてデモンストレーションを行なっていた。1つは7日(現地時間)に発表された「Thunderbolt Networking」規格のデモ。本誌記事でも概要を紹介しているが、2台のThunderbolt 2対応のPCやMac間をThunderboltケーブルで接続するだけで、相互にデータ転送を行なうことができる。

 デモではMac上にある映像データのストリーミング再生をPC上で視聴していた。Ehternet接続がエミュレートされるため、それぞれのThunderbolt 2ポートにはIPアドレスが割り振られている。Macの場合はターゲットモードで起動することでMac本体をThunderbolt対応のストレージとして扱うことができるが、それとは異なり、相互に起動している2台で直接接続を行なえるのが特徴。PC-PC、PC-Mac、Mac-Macのいずれでも利用できる。

 他の2つのテーブルはいずれも4Kの映像制作ワークフローにフォーカスしたもので、一方はMac Proを利用したスタジオでの作業、もう一方はHPのワークステーションノートブックを使った環境を再現したものになっている。

「Thunderbolt Networking」。MacBook Pro Retinaディスプレイモデル(Late2013)の2つのThunderboltポートのうち一方がPCに直結。もう一方はLaCieのRAIDドライブに繋がっている。このドライブ内の映像をPCからストリーミング視聴している
スタジオでの作業をイメージした4K映像制作のワークフロー。Mac Proを中心に、Promise TechnologyのRAID「Promise Pegasus2 R8」、AJAの「IO 4K」、PCI Expressのエクスパンションボックスなどが接続されている
こちらはHPのワークステーションノートブックを利用したワークフロー。Black Magic DesignのCinema Cameraをはじめ、ラックマウントのUltrastudio 4K、Promise TechnologyのRAIDなどを接続。モニタはThunderbolt 2に対応するLG製の21:9ディスプレイ「34UM95」

 IntelはNABに合わせて「Thunderbolt Product Showcase」というパンフレットを配布した。Intelの展示エリアをはじめ、Thunderbolt対応機器を出展する各ブースで入手できる。例年CESのIntelブースなどでも同種のパンフレットが配布されている。2014年のCESでも配布されていたが、NABにあわせて内容がさらに更新された。NAB開幕と同時に発表された製品のいくつかは含まれていないものの、NAB直前までの製品が一覧になっている。2013年CESでの状況と比較してもらうと一目瞭然だが、対応機器は大幅に増加している。

2013年は三つ折りだったパンフレットが四つ折りになった。一部の製品にはアイコンが付与されており、Tnunderbolt 2対応製品と「Certified for PC」(PCで利用可能)な周辺機器にそれぞれアイコンが付いている。ちなみにMacは基本的に全対応とされている。マーキングがあるのは、たまたま入手したブースの自社製品にあたる
ほかにもThunderbolt対応周辺機器を展示するブースの配置が示された会場マップも用意。NAB ShowはLVCCの全館を使って開催されているが、カテゴリごとにおおまかにホールがわかれているため、Tunderbolt関連機器はSouthホールに集中している

Sonnet Technologies編。Mac Proをラックマントにするキットなど。

Mac Pro(Late 2013)をラックマウントにするソリューション。PCI Expressの拡張ボックスを含む「xMac Pro Server」と最大2台のMac Proを収納する「Rack Mac Pro」の2モデル。必要なスペースはいずれも4U

 古くからMac関連周辺機器を扱うSonnet Technologiesのブースでは、Mac Pro(Late2013)をラックマウントにするキットなどが展示された。製品発表は3月26日(現地時間)で、4UのスペースにMac Proを2台収納する。以前はAppleがXserveというサーバーモデルを発売していたが、現在はラックマウント式のサーバー製品は終息している。終息後もMac Proをラックマウントにするソリューションをサードパーティ各社が提供していたが、これは2013年モデルから円筒状になったMac Pro向けの製品ということになる。

 4Uのラックスペースに最大2台のMac Proが収納できる。モジュラーデザインになっており、Mac Pro本体のマウントに加えてPCI Expressの拡張ボックスと、5インチベイが2つ用意され、ストレージやメディアリーダを組み込んで利用できる。

 Mac Proの背面インターフェイス部分からケーブルを引き出す必要があるため、正しくセットした場合、底面のMac Proロゴは斜め向きになる。ラック正面に向かって左斜め上がインターフェイスの位置だ。本来は立てて利用するMac Proだが、こうして横向きに設置しても、冷却能力などに問題はないとSonnet Technologiesのスタッフはコメントしている。

ラックに搭載した様子。「Rack Mac Pro」への収納分はダミーなのでロゴが正常に見えているが、実際の運用は「xMac Pro Server」のように斜めになるのが正しい
モジュラー化されたMac Proの収納ユニット部分
ラックの背面。「xMac Pro Server」はPCI Expressの拡張ボックス(写真右下)を標準で備え、ほかに5インチベイを2つ搭載するMobile Rack Kitを導入可能
Mobile Rack Kitには、ニーズに合わせたストレージやメディアリーダなどを搭載できる
こちらは既発のMac miniをラックマウントにするキット

 以前から開発発表を行なっていたThunderbolt 2対応のドッキングステーションも展示した。構成の違いで2モデルあり、「Echo 15 Thunderbolt 2 Dock」と「Echo 15 Pro+ Thunderbolt 2 Dock」。拡張されるインターフェイスは共通で、USB 3.0×4、eSATA×2、FireWire 800×1、Gigabit Ethernet×1、音声入出力。前面のUSB 3.0ポートの1つは2.1AでiPadの充電にも対応する。Thunderbolt 2のインターフェイスを2つ備えており、デイジーチェーンに対応する。上位モデルには書き込み可能なBDドライブをあらかじめ搭載する。

 従来はThunderbolt対応製品として事前予約を受け付けていたが、Thunderbolt対応製品は結果として出荷されずに、Thunderbolt 2対応製品に切り替わることになった。出荷時期は2014年の8月以降を予定している。

 Sonnet Technologiesのブースではほかにも、PCI Express拡張ボックスや、プロ向け記録メディアであるP2、SxSのThunderbolt対応メディアリーダなどを展示した。

「Echo 15 Pro+ Thunderbolt 2 Dock」。内蔵ドライブベイと、光学式ドライブベイを備えるドッキングステーション
Thunderboltで接続できるSxSのメディアリーダ
Thunderboltで接続できるP2のメディアリーダ
PCI Expressを3スロット拡張する「Echo Express III-D」
PCI Expressを2つあるいは1スロット拡張する「Echo Express SE II」と「Echo Express SEL」。後者には10Gbit Ethernetカードをあらかじめ搭載したモデルもある。Echo Express SELに利用できるのはハーフハイトまで。いずれもThunderbolt 2接続で、イジーチェーンに対応するほか、ケーブルの抜けを防止する仕組みも備えている

Promise Technology編。Thunderbolt 2対応のSAN Linkアダプタなど

Promise Technologyのブースの様子

 初めてMacBook ProにThunderboltが搭載された時から対応周辺機器メーカーとして紹介されているPromise Technology。Thunderbolt 2対応製品としては、それぞれ4台、6台、8台の3.5インチHDDを内蔵できるRAIDの「Promise Pegasus2 R4/R6/R8」を出荷しているが、2014 NAB Showに併せて新製品を追加した。同様にRAIDながら、搭載するストレージを2.5インチのHDDあるいはSSDにした「Promise Pegasus2 M4」。最大4台の2.5インチドライブを内蔵する。

 またThunderbolt 2をSANに接続するSANLinkもThunderbolt 2に合わせて、SANLink2となり、ファイバーチャネル版のほかに10Gbit Ethernet版が追加されている。

 Promise Technologyのブースでも、ワークフローを紹介した展示を行なっていて、それぞれWindowsのワークステーション、Mac Pro、MacBook Proにフォーカスした内容となっていた。

2.5インチドライブ4台でRAIDを構成できる「Promise Pegasus2 M4」。電源は内蔵されており、背面にThunderbolt 2インターフェイスを2つ搭載する。デイジーチェーンが可能
Thunderbolt 2とSANの接続ボックス「SANLink2」。ファイバーチャネル版に加えて、10Gbit Etnernet版が追加された
Windowsワークステーションでのワークフロー。Black Magic Designの4K Cinema CameraとUltrastudio 4Kで撮影。ストレージにはPromise Pegasus2 R6を利用してAdobe Premiereで編集する
Mac Proでのワークフロー。Mac ProにSANLink2のファイバーチャネル版と10Gbit Ethernet版を接続。ほかにPromise Pegasus2 R8をストレージとして使用。映像はAJA Ki Pro Quadから、AJA IO 4Kを介して4枚のモニタに出力している
受付に置いてあるのが、リモートを想定した環境で、MacBook Pro RetinaディスプレイモデルにPromise Pegasus2 M4とSANLink2の10Gbit Ethernet版を接続

LaCieははラックマウントの「8big Rack Thunderbolt 2」を展示

LaCieの展示ブース

 前日レポートとしてShow Stoppersでの展示を紹介したLaCie。展示ホールには、ShowStoppersでは実物のなかった「8big Rack Thunderbolt 2」も、ラックに入れた状態で展示が行なわれていた。

新デザインになる3.5インチを2台内蔵するモデルの「2big Thunderbolt 2」。ドライブの換装は前面から行ない、インターフェイス部分もケーブルマネジメントを兼ねたカバーが付くデザインになっている。
5台のHDDでHDDでRAID 5/6を運用できる「5big Thunderbolt 2」は、従来の同社の5台内蔵モデルのデザインを継承。ブースのデモでは、5big Thunderbolt 2をMac Proに3基デイジーチェーンしてデータ転送を行なっていた
ラックマウント型「8big Rack Thunderbolt 2」。最大8台の3.5インチHDDを1Uスペースに収納する。

G-Technology編。Thunderbolt 2対応で新デザインになったRAIDストレージ

G-Technologyの展示の様子。向かって左手がThunderbolt 2に対応する新ラインナップ。モニタの下に、Evolutionシリーズのドッキングステーションがある

 本誌でもすでにニュース記事)で取り上げているが、G-Technologyのブランドでストレージ製品を展開するHGSTはThunderbolt 2に対応する外付けHDDを2機種各3モデル発表し、ブース展示を行なった。「G-Speed Studio with hardware RAID」が4ドライブ内蔵製品でRAID 0/1/5/6/10に対応、「G-RAID Studio」が2ドライブ内蔵製品でRAID 0/1/JBODに対応する。いずれもHGSTのHDDを内蔵し1ドライブあたり3TB、4TB、6TBのHDDを採用することで前者は最大24TB、後者は12TBの容量となる。

 Thunderbolt 2対応としたことで、デザインを従来から一新。Mac Pro(Late2013)を意識して黒をベースにした色調になっている。Mac Proのような円筒形そのものではなく側面はフラットに近く、前面がさらに丸みを帯びたデザインになっている。従来モデルは、以前のMac Proを意識したデザインで、金属筐体にパンチングが基本要素だったが、新製品では光沢のある黒となっている。ただしMac Proとは異なり金属筐体ではない。

 また、ドックングステーションのEvolutionシリーズに「G-DRIVE ev SSD」と「G-DRIVE ev 500GB」のドライブモジュールが追加された。Evolutionシリーズはドライブモジュールが独立してUSB 3.0のポータブルドライブとして利用できるほか、ドッキングステーションに挿入して据え置き型ドライブとしての運用も可能な製品。G-DRIVE ev SSDは米国で4月から499.95ドル、G-DRIVE ev 500GBは同じく99.95ドルで出荷を開始する。

「G-Speed Studio with hardware RAID」。これまで4基の製品ではThunderbolt対応製品がなかったが、Thunderbolt 2対応で登場した。ドライブは上から挿入する。Mac Proでは、とあるゴミ箱がAmazonのヒット製品になったが、これまた応用が利きそうなデザイン
「G-Speed Studio with hardware RAID」の背面。電源は内蔵型。Thunderbolt 2のデイジーチェーンに対応する
Evolutionシリーズのドッキングステーション。ポータブルドライブの挿入で据え置き型として利用できる。新たにドライブモジュールとしてSSDの「G-DRIVE ev SSD」などを追加した

(矢作 晃)