イベントレポート

【CES Unveiled編】スマートフォン連携、センサーデバイスが続々と登場

~定番のデジタルヘルスは、肌ケアや歯磨きなどにも進出

会期:1月7日~10日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention and World Trade Center(LVCC)

LVH

The Venetian

 CES Unveiledの会場には、2013年に続いて、さまざまなセンサーを搭載してスマートフォンとの連携を目指す機器や、センサーそのものを用途に合わせて製品化する動きが見られた。詳細はあらためてレポートすることにして、速報としてこれらの機器を写真を中心に紹介していく。

 2013年は個人向けの気象観測機を出展していた仏netatmo。国内でも代理店から2013年秋に製品が出荷され、年末になって公開データによる共有気象情報がWebで参照可能になった。ちなみに筆者も自宅に設置している。欧米向けにはほかにもサーモスタットなどを出荷しているが、今回は女性向けのアクセサリーを展示した。名称は「June」で、ブレスレット型のデバイス。UVセンサーが内蔵されており、日光の下で紫外線をどれだけ浴びているかモニターできる。iPhoneやAndroid向けのアプリと接続してデータを蓄積し、お肌のケアについてアドバイスをする。北米では第2四半期に99.99ドルで出荷予定。

女性向けブレスレットのデザイン。UVセンサーを内蔵している
デバイスから得られたデータを元にUV指数や累積の数値などを蓄積。肌ケアに必要なアドバイスをする

 Zeppが展示したスポーツ向けのセンサーデバイスは、野球、ゴルフ、テニス向けの製品がある。野球とテニスはグリップに、ゴルフは手袋に取り付けてプレイ。バットやクラブの軌跡、速度などを加速度、角速度といった複数のセンサーで記録する。連携したiOSデバイスを使って、3Dモデルであらゆる角度から自分のスイングを見たり分析したりできるという。3月頃にApple Storeにて149ドルで発売予定とのこと。スタッフは日本をはじめとするアジアの国々で人気が高い野球を推していたが、ユーザー層を考えれば、ゴルフの方が話題を集められるかも知れない。

パッケージもApple Storeでの展示に適した形状になっている点が興味深い。米国でほぼ定型のブリスターパッケージが普及していたのは、流通および店舗における棚の制約が優先され、より展示しやすいものが普及していた。今はこうしたデバイスが最初に売れるのがApple Storeになっていることで、それが標準になりつつある

 国内でもサービスを開始しているスマート決済の「Square」。周辺機器大手のGriffinは専用のケースを用意した。カードリーダはオーディオジャックに差し込むためそのままでは回転しやすいが、専用の形状にすることで、しっかりと固定できる。また使用しない際には背面に収納できる工夫が施されている。Squareのリーダは2世代目となり、より薄いタイプが製造されていて、これはその薄いタイプに対応したケースということになる。

Twitter創業者の1人、ジャック・ドーシーが手がけるモバイル決済サービスのSquare。国内では目にすると「おおっ」と思うぐらいではあるが(とはいえ、コミケなどでもすでに導入しているところは少なくない)、米国ではかなり頻繁に目にするようになった。こうした専用ケースのニーズもそれなりに高いということだろう

 Reebokが発表した「CheckLight」。スポーツサイクルをはじめ、スポーツ全般で起きうる頭部へのダメージを記録するセンサーだ。デバイス部分を薄いキャップに入れ、その上でヘルメットなど必要な装備をする。例えば自転車での落車事故などの際に「どの程度の衝撃がどの角度からどこへ何度当たったか」というデータが記録され、治療や救命措置などに役立てようとするもの。LEDライトの点滅や点灯で、本人が気が付いていない場合でも、後方から確認できる。

 2013年末には不幸にも元F1ドライバーのミハエル・シューマッハ氏がスキー中に事故に遭ってしまったが、まさにそうした事故に備えるデバイスと言えるだろう。

「CheckLight」の製品パッケージ。センサーは頭部を約1/3周するほどの範囲に位置する。ヘルメットなどではなく、キャップにしているのはより頭部に密着した状態でデータを記録するためと思われる
装着した様子。実際には、この上にヘルメット等をかぶってスポーツをするので、外見的には後部のLEDがついたタブの部分が露出する形になる

そのほかの注目デバイス

imedipacのスマートピルケース。飲まなければならない薬を食前、食後、寝る前などに入れて管理。スマートデバイスと連携して飲み忘れを防いだり、服用した薬の記録などをWebで管理する。デバイス自体がGPRSで接続できるため、ひとり暮らしのお年寄りなどの服用状態などを、医療機関や近親者から確認できる
Bluetooth内蔵の歯ブラシ。モーションセンサーで歯磨きの状態をモニターし、結果をiOSアプリケーションで確認できる。2013年も同様のコンセプトでフォークとスプーンが展示されていたが、普及に至ったとは聞いていないので、こちらも普及するかは未知数。北米では第3四半期に99~199ドルの複数パッケージで出荷するとしている
すでに数社から同一コンセプトの製品は出ているが、Blutooth接続の血圧計を展示したQUADIO。ほかに胸部に巻くタイプの心拍センサーなども用意している
デジタルヘルスケア大手のWithingsによるスマート睡眠システム。ベッドの肩にあたる部分にセンサー付きのマットを敷いて、寝返りの状況などをセンシング。睡眠が浅くなり起きるのに適したタイミングで適切なLED光を当てて快適な目覚めにする。2014年の春に299ドルで出荷予定
sen.seの「Mother」。名称の通り“カーチャン”(AA略)のような形状の本体に、Cookieと呼ばれるセンサーデバイスを連携して利用する。センサーデバイスを、例えば牛乳パックや飲料のボトルなどに付けておくことで、消費状況などを集中管理してスマートフォンなどから参照したり、買い足しなどのタイミングを測る。iOSおよびAndroidに対応
Belkinのモーションセンサーシステム「WeMo」に対応するスロークッカー。Clockpot社との提携で製品化する。Wi-Fi機能が内蔵され、WeMoの情報に基づいて調理を管理する
見たままズバリのiPhone 5/5s/5c用ケース。コンセントとバッテリパックが内蔵されているので、そのままコンセントに差して充電が可能
国内でもパナソニックからスマートフォンを固定回線のハンドセットにする製品が発売された。これも同様のコンセプトの製品だが、完全に割り切ったボックス型のデザインになっている。スマートフォン側にアプリケーションを導入することで、固定回線とスマートフォンの電話帳を管理。不在時の固定電話への着信履歴などを参照できる。ヨーロッパでは発売済みで、米国は4月に79.99ドルで発売予定。swissvoiceの製品
Intelligent Energyが開発し、ブルックストーンが発売する燃料電池パッケージ。ユニットは2つに分かれており、グレーの部分が燃料カートリッジ。黒の部分が発電および蓄電機能。スターターキットは3月に199ドルで出荷予定。2014年1月末に予定される規制緩和により、航空機内への持ち込みも可能な製品になる見通し。こちらも前述のように、Apple Storeでの販売を意識したパッケージ。MFi認証をとったiOSデバイス向けの周辺機器として販売される
fitbugの活動量計「Orb」。特徴は連携アプリに追加するコーチプログラム。USBメモリの形式で販売する。ダイエットプラン、トレーニングプラン、結婚式に向けたプラン、ゴルフ向け、スキー向け、あるいは夜の生活向けなどユニークなものが20点用意されている。fitbugはCES期間中にメディア向けのコンペティションを実施。CES期間中の活動量などを競う。筆者も参加することにしてデバイスを受け取ってきた。ただし同時に渡されたコーチプログラムが、出産後に体型を戻すプランだったのは謎

(矢作 晃)