【CES 2011レポート】iOS、Mac OS関連製品編
~「健康」をテーマにした電化製品もiOSデバイス対応に

会期:1月6日~9日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center



 iLounge Pavilion編に続いて、International CESにおける他の展示ホールやCES Unveiled、そして併催されたメディア向けイベントのDigital ExperienceやShow Stoppersにおいて紹介された、他のiOS、Mac OSの関連製品について紹介する。

●「健康」は今回のキーワード

 iOSデバイス(Andrioidデバイスを含む)の活用方法としてクローズアップされていたキーワードの1つに、『健康』があった。USB接続なりBluetooth接続なりを使って、身体に付けるセンサー機器のモニタリング機器としての利用が進んでいる。例えば血圧計など、日本の家電量販店では家庭向けに一体型がお馴染みで、高機能な物になるとメモリ内に朝昼晩の数値を蓄積したり、日月年単位でデータの推移を記録できる製品も少なくない。またハイエンド製品ではPCとの連携もできるようになっている。CES 2011ではこうしたモニタリングやデータの記録蓄積をiOSデバイスに任せる形で、血圧計ならいわゆるカフの部分を製品化したものなどがいくつか展示されていた。

 すでにWi-Fi接続によりPCやMacとの連動(日々の体重を自動的にツイートすることも可能)が行なえる体重計「Wifi Body Scale」を発売しているWithingsからは、iOSデバイスと接続できる血圧計「Blood Pressure Monitor」が発表された。1月中には出荷が開始される見込みで、米国内では129ドルで販売される。

 仕組みは簡単で、iOSデバイスに付属する30ピンのUSBケーブルを使って接続。カフを二の腕に適切に巻いたら、Appを起動して測定開始ボタンをタップするだけだ。iOSデバイスの時計機能を利用して測定日時を記録。その時の最高血圧、最低血圧、脈拍などが自動的に記録される。継続して記録されたデータは期間単位でグラフ化して推移の把握が可能。WithingsではAPIを公開しており、前述したWi-Fi体重計などと一緒にGoogle HealthやMicrosoft HealthVaultといったクラウドサービスでモニタリングすることも可能となる。

圧力をかけるための空気送出部分などはカフにスッキリと一体化している「Blood Pressure Monitor」。iOS AppはApp Storeから無償でダウンロードできる
iHealth LAB incの「iHealth Blood Pressure Dock」もほぼ同機能の製品。こちらはiOSデバイスをDockに置くスタイルで接続する。記録はデータベース化されるが、クラウド連携などの機能がない。その分価格はやや安くなっており、99.95ドルの設定。筆者が被験中に写真を撮るべくちょっと動いたせいか(血圧は安静にして測るのが常識)、172/106とえらく高血圧な結果になった
マッサージチェア「human touch」もiOSデバイスとBlutoothで接続できるという大型製品。App Storeからダウンロードできる「HT-Connect:Wireless Connectivity」を利用することで、付属のリモコン以上の使い勝手を実現する。例えば背骨の位置を認識させたり、背中の両側に当たる部分の温度調整も行なえる。また希望する部位のマッサージの強さ、時間などがiOSデバイス上から制御できるうえ、マッサージの手順なども複数記録しておける
上記で紹介した3製品が利用時に機器を接続するものであるのに対し、「BodyMedia FIT Armband BW」は日常的に身につけて健康のバランスを考える製品。アームバンドのスタイルで就寝時を含む日常生活で身につけることによって、カロリーの総消費量や運動量、脈拍の変化などを記録して生活の改善に役立てるという。Amazonなどでは販売が開始されており、価格は99ドル
お馴染みのNike+からはGPS内蔵の腕時計とシューズセンサーユニットが登場。ワークアウトを終えて、ベルト接続部に搭載されているUSBプラグをMacやPCに接続すると、ランニングしたコースやかかった時間、カロリー消費量などが自動的に記録される。データはNike+のサイトで管理され、友人などとデータ共有も可能。同じ仕組みは一部のiPodやiOSデバイス+センサーユニット、あるいはGPS内蔵のiOSデバイスで実現されているが、この製品はGPSと地図情報にTomtomのデータを使っているのが特徴

●iOSデバイスとAndroidをBluetooth機器のコントローラへ
ウェアラブルカムコーダー「LOOXCIE」がiOS4.2以降にようやく対応した。同時にいくつかの対応アプリケーションもリリースされている。AppはApp Storeからダウンロードできるほか、本体のファームウェアもAppを使って更新できる。

 もう少しiOSデバイスとBluetooth接続が可能な機器について触れておこう。まず、2010年末にAndroid端末向けにリリースされて、iOSユーザーをやきもきさせたウェアラブルなカムコーダー「LOOXCIE」がiOS 4.2以降にようやく対応した。ソフトウェアはApp Storeから無償でダウンロードできる。この「LOOXCIE」は耳かけ式のカムコーダーで、レンズ方向を視線と一致させやすいのがポイント。またバッファをもって撮影できるのも特徴の1つで、撮影したいシーンがあったときにはその約30秒前からのデータが記録できる。そのため重要なシーンを取り逃すことが少ない。ハードウェアはAmazonやBestBuyなどで販売されており、価格は199ドル。

 また携帯電波の届かない山岳地帯などにおいて、チェックイン情報やSOSコールなどを発信することができるデバイスが「SPOT CONNECT」。iPhoneやAndroid端末とBluetoothで接続することで、これらのスマートフォンに衛星通信機能を持たせることができる。実際にできることはTwitterやFacebookに自分の位置情報を知らせるチェックインメッセージを送ることや、任意のショートメッセージを送信すること、GPSのトラッキングデータを記録することなど。そして何より、緊急事態の発生時には自分の位置情報とSOSコールを発信することができるようになっている点がポイントだ。もちろん遭難してしまってからではAppのインストールを行なうことはできないので、あらかじめ準備を怠ってはいけない。ちなみにSOSの発信後にスマートフォン側の電池が切れたあとでも、SPOT CONNECTの電池がフルの状態なら5日間にわたってSOS情報を発信し続けることが可能とのこと。

iPhoneやAndroid携帯に衛星通信機能を持たせることができるデバイス「SPOT CONNECT」。Bluetoothでスマートフォンと接続して利用する。携帯電波の届かない場所からでもTwitterやFacebookと連携した簡単なチェックイン機能をはじめ、緊急事態発生時にはSOSコールを発信することができるという
Bluetoothで接続するiPhone 4対応のQwertyキーボード。iPhone 4のケースを兼ねるスタイルで、キーボードを引き出して横向きでの文字入力が可能になる。69ドルで2月中旬に発売予定。日本人にとって見逃せないのは、このキーボード付きケースにはストラップホールが付いている点ID8 MOBILE社の「MoGo Talk XD for iPhone 4」。Bluetooth対応ヘッドセット自体はなんら珍しくはないが、iPhone 4対応のケースを兼ねるヘッドセット充電用機とデザインが一体化していて、持ち運びが容易な点は利用価値が高いと思われる
iPadケースを兼ねてBluetoothでiPadを接続できるキーボードを内蔵した製品は、数えるのが面倒なほど多くの会社から発表されたり展示されたりしていた。ここまでしてiPadでキーボード入力が必要な作業があるのならば、むしろノートPCを使ったほうがいいと個人的には思えるのだが……

充電、そしてコンタクトリストと写真のバックアップだけという割り切ったソリューション「SuperHero」。4GBのSDカードメモリも付属するので、大量に写真データが入っているという場合を除けば、買ったその日から使えるはずだ

 iomegaのスタンドアローンなiPhoneバックアップソリューション「SuperHero」。スタンドにあるのは電源コネクタとSDカードスロットだけで、iPhoneをこのスタンドに差すと自動的に充電が開始され、コンタクトリストと写真だけのバックアップがSDメモリに作成される。

 これはMacやPCを使ったiTunesとの同期とは別物で、コンタクトリストと写真だけがセキュアな状態でバックアップされるという割り切った仕組み。設定ソフトはApp Storeからのダウンロードにより入手する。日常は充電だけで、全体的な同期は使う頻度が少ないというユーザーであれば手軽に使えそうなアイテムだ。米Amazonでは69ドルで事前予約を受け付けており、1月下旬から出荷される見込み。

CES取材をしているせいでかなり便利そうに思えたのが、このEnergizer製のトラベルキット。iPhoneやiPodなどのiOSデバイスのDockになるほか、1つのウォールコンセントに差すだけで、コンセントが3つとUSB充電が可能なポートが2つ使えるようになるOxygen Audioの「O Car」。iPhone 4をカーステレオの音楽ソース兼カーナビとして利用する1DINタイプのカーステレオユニットBowers&Wilkins社のパーソナルオーディオシステム「Zeppelin Air」。Appleの無線映像/音声伝送技術「AirPlay」に対応。第1四半期に600ドル程度での販売を予定している

●Macユーザーなら知っておきたいDisplayPortのあれこれ

 Mac製品にmini DisplayPortが採用されるようになって2年余りが経過した。VESAではDisplayPort規格の1.2でmini DisplayPortを正式に採用しており、PC向けのグラフィックスカードやあるいはメーカー製PCにmini DisplayPortが搭載される例も増えてきている。

 一方で、ディスプレイ側の入力端子の形状はDisplayPort対応モデルであってもそれは標準サイズのものがほとんどだ。特にディスプレイ側は頻繁に抜き差しするものではないことを考えると、ツメでロックできる標準タイプを選択するのは一般的な考え方と言えるだろう。実際、モニタ側がminiタイプという例は、純粋なディスプレイではないが27型iMacのmini DisplayPort入力と、現行のApple LED Cinema Displayぐらしか思い当たらない。かつApple LED Cinema Displayはモニタから直接ケーブルが生えている製品で、mini DisplayPortのオスのコネクタを、MacBookなどのポータブル製品にそのまま接続することを前提に作られている。

 実際、MacBookなどのポータブル製品ユーザーやMac miniのユーザーが外部ディスプレイに出力しようとしたときにディスプレイ選びで悩むことも少なくない。一般的にはApple純正のmini DisplayPort to DVI-Dかmini DisplayPort to VGAアダプタを利用するケースがほとんどだが(現行のMac miniに限ればHDMI出力が楽だ)、接続対象を標準サイズのDisplayPortにしたり、HDMIにしようとする場合は工夫が必要だ。前者はmini to 標準サイズの製品自体が少なく、後者は音声信号の出力の可否で変換アダプタに関しての細かい条件が多い。

 そこで必要なるのが各種変換のアダプタやケーブル群の情報だ。CES 2011には新たにさまざまな変換アダプタやケーブルが出展されていたので、この機会にまとめて紹介しておく。製品によっては、MacユーザーだけでなくPCユーザーにとっても有用な製品も多い。

KANEXの「KANEX C247D」。DVI-D映像出力とUSBデジタル音声をミックスして、mini DisplayPortに出力するアダプタ。対象となるディスプレイは24型と27型のApple LED Cinema Displayで、最大1,920×1,200の解像度。PCからの出力ではいずれも1,920×1,200(60Hz)に対応。Macから出力する場合は、24型Cinemaに対しては最大1,920×1,200(60Hz)だが、27型Cinemaに対しては最大1,280×720(60Hz)となる。99ドルを予定KANEXの「KANEX C247M」。mini-DVI映像出力とUSBデジタル音声をミックスして、mini DisplayPortに出力するアダプタ。対象となるディスプレイは24型と27型のApple LED Cinema Displayで、最大1,920×1,200の解像度。PCでmini-DVIをサポートしている例はないので、実質的にMac専用のアダプタとなる。24型Cinemaに対しては最大1,920×1,200(60Hz)だが、27型Cinemaに対しては最大1,280×720(60Hz)となる。99ドルを予定mini DisplayPortからHDMI対応ディスプレイに音声信号も含めて変換するアダプタ「KANEX iAdapt v2」。mini DisplayPortからHDMIの音声信号パススルーに対応するMac製品は2010年に発表されたMac製品ならば問題ないが、それ以前の製品はMac OS Xのバージョンなどによって対応状況が異なるので注意が必要だ。29.95ドルを予定
Cinema ViewのDisplayPortハブ。入力側がmini DisplayPortで出力側はmini DisplayPortが2つ。デモはAlienwareのノートを使って行なわれていて、標準サイズのDisplayPortからminiタイプに変換後にこのハブを通している。Alienware本体側からは外付けパネル2枚が1枚のビッグデスクトップとして認識されているのがわかる。ビッグデスクトップにおける最大解像度などは、使用しているGPUに依存する
ACCELLのマルチディスプレイアダプタ。DisplayPortの映像信号を最大3個のDVI-DディスプレイやDisplayPort搭載ディスプレイに出力。こちらのデモも3枚のパネルが1枚のビッグデスクトップとして認識されている。DVI-Dタイプの場合はUSBバスパワーによる給電が必要で、USBケーブルをPC本体側に接続しておく必要がある
GefenのDislpayPort関連の展示。mini DisplayPortから標準サイズのDisplayPortへのケーブルや変換アダプタなどが展示されている。mini DisplayPort to DisplayPortのケーブルはMacユーザーがDisplayPort搭載ディスプレイを利用するときに非常に都合がいい製品ATLONAのmini DisplayPort対応のPC切り換え機。2台のmini DisplayPort搭載Macから1台のApple Cinema Displayに外部出力を切り替え可能。OUT側にはUSBのマウスとキーボードも接続できて、映像が表示されている側のMacをそのマウスとキーボードで操作することが可能だ

(2011年 1月 12日)

[Reported by 矢作 晃]