イベントレポート

温めると形が戻る形状記憶フィラメント

〜一般的なFDM方式の3Dプリンタで利用可能

 3D Printing 2016では、3Dプリンタメーカーだけでなく、フィラメント専業メーカーも何社か出展していたが、その中でも特に注目が集まっていたのが、フィラメント工房である。フィラメント工房では、ノズル掃除用のパージフィラメント、PP/炭素繊維フィラメント、形状記憶ポリマーフィラメントの3種類の新フィラメントのデモを行なっていた。PP/炭素繊維フィラメントは、ポリプロピレンに炭素繊維を混ぜたフィラメントであり、一般的なABSの3倍の強度を持つという。パージフィラメントは、ノズルの内部のゴミを除去するためのフィラメントであり、定期的にこのフィラメントを使って出力することで、ノズルの詰まりなどのトラブルを防げるという。

 3種類のフィラメントの中でも、もっとも面白かったのが、形状記憶ポリマーフィラメントである。このフィラメントは、高温で出力された時の形状を記憶する性質があり、3Dプリンタで出力後、適当な温度まで温めると柔らかくなり、自由な形状に変形できる。その後、冷やすとその形状でいったん固定されるが、再び高い温度にすると、最初に成型された形状に戻るのだ。形状記憶合金のポリマー版とも言えるものだが、一般的なFDM方式の3Dプリンタで利用できるところがミソだ。医療や介護用途など、いろんな応用が考えられそうだ。

3種類の新フィラメントを出展していたフィラメント工房ブース
手前左がノズル掃除用のパージフィラメント、手前右と奥がABSの3倍の強度を持つPP/炭素繊維フィラメントである
PP/炭素繊維フィラメントの出力例。PP(ポリプロピレン)に炭素繊維を混ぜたフィラメントは、世界初とのことだ
世界初の形状記憶ポリマーフィラメント。3Dプリンタでの出力時の形状を記憶する。その後温度を上げると柔らかくなり、形状を変形させられる。変形させた状態で冷ますと、形状が固定されるが、さらに再加熱すると元の出力時の形状に復元する
形状記憶ポリマーフィラメントが元の形状に戻る様子。これは、新品フィラメントでのデモなので、元の直線状に戻る

(石井 英男)