イベントレポート

IoTを目玉に据えた展示に見るIntelの本気度

〜Samsungの湾曲液晶搭載液晶一体型PCなどが展示される

ラスベガスコンベンションセンター(LVCC)のセントラルホールに設置されているIntelブース

 Intelは、例年International CESに出展し、基調講演に加え、展示会場に巨大なブースを設置して、その年に推したい製品などを展示して注目を集めている。2015年も、基調講演で「Curie」というボタンサイズのモジュールを発表した(別記事参照)ほか、ブースに多数の採用製品を展示した。

 ただ例年であればIntelブースで最も注目されるのはノートPCやタブレットといった端末だが、今年(2015年)はやや状況が異なっている。依然フロア面積で最大を占めているのはPCだが、ブースの目立つところに設置されているのがIoT(Internet of Things)のエリアで、昨年発表したIoT用モジュール「Edison」を搭載した製品が多数展示された。

 とは言え、いずれも大企業が作ったような製品ではなく、キックスターターと呼ばれる、これから企業を目指すエンジニア達が作った製品となる。そこには、Intelが全社的な方針としてIoTを推していきたいという狙いがあると窺い知れる。

IoTに本気で取り組むIntel

Edisonを利用したラジコン、こんなのも工夫次第で自分で作れてしまうというのが、IoTの楽しいところではある

 Intelは、2013年のIDF San Franciscoにおいて「Quark」と呼ばれるIoT向けのプロセッサを発表して以来、IoT向けのビジネスを拡大し続けている。Quarkを搭載した製品としては開発ボードの「Galileo」を発売し、2014年には「Edison」と呼ばれるSDカードよりも若干大きい程度のモジュール製品を投入している。Galileoは純粋に開発ボードだったのに対して、EdisonはOEMメーカーや開発者が自社製品に組み込んで販売可能なモジュールとなっており、既に開発者が製品を作って注目を集めている。

 今回のIntelブースに展示されたのは、2014年Intelが行なった「Make it Wearable チャレンジ」という、IoT機器の発明コンテストで上位に入賞した製品。Intel CEOのブライアン・クルザニッチ氏の基調講演でも紹介された、ウェアラブルな飛行型カメラなどを中心に、ユニークな展示が行なわれた。いずれも大規模な企業の製品というよりは、キックスターターと呼ばれる、これから投資家を募って起業するという類の企業がほとんどで、そこにIntelがコンテストという場でお墨付きを与えることで、じっくり採用企業を増やしていこうという取り組みだ。

 最近のIntelはこうしたIoT関連に力を入れており、IoTの事を公の場で語る場合にはクルザニッチCEO自らが登場して語ることが多い。通常であれば、CEOではなく事業部長(ニューデバイス事業部を率いる副社長のマイク・ベル氏)が出てきて話すのだが、それをCEO自らがやるということは、IoT関連はCEOたるクルザニッチ氏自らの肝入り事業であることを意味している。

 実際、今回IntelはCESに合わせて第5世代Coreプロセッサを発表したが、基調講演ではさらっと触れられた程度で、一番スポットライトが当てられていたのはQurieだった。つまり、Intelは今IoTに本気で取り組んでいる、それをCESの基調講演やブースの展示は反映していると言えるだろう。

Intelブース内に用意されているIoTコーナー。初日などは人が多すぎて近寄れなかったほどだった
SMS Audioがリリースしている心拍数が計れるヘッドフォンを利用したデモ。余談になるが、今年のCESではこのように自転車に乗ったり、ランニングマシン上でひたすら走るというデモが多かった。展示員の人の疲労がむしろ心配になるぐらいだったが……
クルザニッチ氏の基調講演でも登場した、ウェアラブルな飛行型カメラ。このように飛ぶだけでなく、腕に巻き付けても利用できる。カメラが自分で飛ぶってある意味究極のセルフィーだ。棒なんてもう必要無い?
スマートウォッチ的なデバイスだが、バンド部分が交換できるようになっている
手袋にEdisonとセンサーを統合したもの。スキーなどで速度を測ったりとかいろいろな用途が考えられるという
赤ちゃん見守り用のセンサー
スキー板に取り付けれたEdisonとセンサー

Intel Securityが提供するTrueKey、PC・スマホでのパスワードを一元的に管理

 もう1つのCESでの大きな発表は、子会社のIntel Securityが発表した「TrueKey」だ。Intel SecurityはIntelが買収したMcAfeeが社名変更した企業で、Intelのセキュリティ関連のソフトウェア開発を担当している。McAfee時代から続いているアンチウィルスソフトウェアの開発、販売は引き続き行なわれているが、それと平行して新しい形のセキュリティソフトウェアの開発も進められている。

 そのコンシューマ向け製品の第1弾として登場するのが、TrueKeyだ。TrueKeyは、ユーザーがコンピュータ上で管理するパスワード(Windowsのログオンパスワード、ブラウザで各種のWebサービスにログインするパスワード)を一括管理できるソフト。パスワードは暗号化されてクラウドに保存され、ユーザーが新しいデバイスを導入する際は、TrueKeyをインストールすれば自動でパスワードが同期される。対応しているOSは、Windows OS、Android、iOSで、一般的なWebブラウザ(Internet Explorer、Firefox、Chromeなど)に対応しており、クロスプラットフォーム、クロスブラウザで利用できることが特徴。さらに、Windows版とAndroid版には顔認証の機能が用意されており、ログインに顔認証を利用できる。

 TrueKeyは、既存のアンチウイルスソフトウェアと同様に、サブスクリプションとして提供される。ただベーシック版は無料で15個のパスワードまで保存することができる。それ以上のパスワードを保存したい場合プレミオアムサブスクリプションを契約することが必要で、米国では月額1.99ドル、年額19.99ドルに設定される予定だという。

 なお、現在早期リリースに向けての準備が行なわれており、早期リリース中に申し込むと6カ月間プレミアムサブスクリプションが無料で利用できる。申し込みはTrueKeyのサイトからだが、日本にVPNして申し込んでみたが特に問題なく申し込みはできた(実際に運用が始まって日本語環境で利用できるのかなどに関しては現時点では不明だが、説明員によれば当初は英語のみでの提供となるようだ)。

TrueKeyの画面、パスワードがWebブラウザに自動入力される
顔認証の画面
Android版のソフトウェア
PCのワイヤレス充電のデモ。Intelが加盟しているA4WPのRezenceが方式として採用されている

Samsung Electronicsの曲面液晶を採用した液晶一体型PCが展示される

 このほかブースでは、第5世代Coreプロセッサを搭載したPCが多数展示された。NECの次期「LaVie Z」、日本で発売済みのパナソニック「Let'snote RZ4」などの日本メーカーのモバイルノートPCに加えて、Dellの新しい「XPS 13」、Lenovoの新しい「ThinkPad X1 Carbon」など、軽量小型が魅力のノートPCなど多数の製品が展示された。

 本誌のCESレポートにまだ登場していないPCとしては、曲面液晶を採用した液晶一体型PCとなるSamsungの「ATIV One 7」が目についた。ATIV One 7は2014年の年末に発表された、CPUに第5世代Coreプロセッサを搭載した製品で、27型フルHDの曲面液晶を採用している一体型PCだ。一見すると曲面液晶TVのようだが、画面に表示されているのはWinodws 8.1 Updateの画面そのものだ。メモリは8GB、ストレージは1TBのSSDとなっている。Samsungの発表によれば、価格は1,299.99ドルで、米国では2015年の第1四半期に出荷される予定だ。

 残念ながら日本で販売される可能性は低いものの、曲面液晶ディスプレイにPCが内蔵されているのは圧巻で、注目の製品だと言えるだろう。

発表されたばかりのXPS 13も展示されていた
NEC PCの次期LaVie Zも展示された。余談だがNEC PC/LenovoのLaVie Zは米国EngadgetのBest of CESという賞のPC部門見事受賞した
パナソニックのLet'snote RZ4も展示されていた
Samsung ElectronicsのATIV One 7は27型液晶を搭載した液晶一体型PC
TVチューナーも内蔵しており、USBポート×4、HDMI×2の端子類、Ethernet端子も見える

(笠原 一輝)