イベントレポート
Panasonic「LUMIX DMC-CM1」現地実機レビュー
~スマートフォンからの投稿に作品としてのこだわりを
(2014/9/17 06:00)
9月16日(現地時間)、世界的なカメラと写真のイベント「Photokina 2014」が開幕した。Photokinaは2年に1度、ドイツのケルンにあるケルンメッセを会場にして開催される。
展示ホールのオープンにより、開催前日のカンファレンスレポートとして紹介したPanasonicの新製品「LUMIX DMC-CM1」を実際に手に取ることができたので、現地レビューとして紹介する。最初に、第1報として紹介した内容に一部誤りがあったので、お詫びして訂正する。記事では「バッテリは交換可能なリチウムイオンで容量は2,600mAh」としているが、これは「Pack」を誤認した誤りだった。バッテリは本体内蔵となっており、Micro USB端子経由で充電する。キャプション内でバッテリスロットとした部分は、実際はSIMカードとmicroSDのスロットが正しい。なお、展示製品は最終製品化前のエンジニアリングサンプルで、最終製品では細部の仕様は変わる可能性がある。
カンファレンスにおける発表とニュースリリースによる資料から、昨日時点では確定情報が出せなかったが、気になるポイントであるモバイル通信機能については、ほぼスマートフォンと考えて間違いない。デモ機に搭載されているAndroid OSは、4.4.4(Kitkat)でSIMカードが入っていれば通話も行なえる。Google Playにも対応し、任意のアプリケーションをダウンロードしてインストールすることが可能だ。搭載メモリは2GBで、本体内ストレージは16GB。加えて最大128GBのmicroSDカードカードが利用できる。
本体サイズは135.4×68.0×21.1mm(幅×高さ×厚さ)。21.1mmの厚さは撮影時のレンズ部分で、本体自体は15.2mm厚となっている。
気になるのは日本で発売されるかどうかだが、これは現時点で非公表とされている。デモ機では電磁的な技適表示を確認できた。言語は英語(UK)で設定されていたが、Google IMEの日本語がインストールされていたことから、期待して良さそうな雰囲気は感じられる。
デモ機のプリインストールアプルケーションはシンプルで、Kitkat標準のGoogleアプリケーションを中心に、本製品のポイントであるLUMIXのカメラアプリと写真管理アプリケーションがドックから起動することができる。
本体はラバー素材のグリップだが、しぼ加工によりカメラ然とした面持ち。スマートフォンの壁紙も同様のテクスチャーで統一されている。
スマートフォンモードとカメラモードの切り替えは、本体側面(横位置での撮影時は天面)の「Camera」というスイッチのスライド操作で行なえる。前回も紹介したように、スタンバイ状態からでも、このスライド操作でAndroidのホーム画面を経由することなく直接カメラ機能を起動できるので、シャッターチャンスにも強い。
撮影した写真のシェアはカメラアプリから直接行なうことができる。カメラ機能が起動している時に、もう一度Cameraボタンをスライドさせると、Androidのホーム画面へと移行する。カメラアプリケーションにはAndroidのホームボタンは表示されず、Androidのホーム画面のときのみホームボタン、メニューボタン、戻るボタンがスクリーン表示される仕様。パネル面に物理ボタンはなく、ほぼ平らになっている。
カメラのハードウェア仕様としては、2,000万画素の1型センサーを搭載。スマートフォンへの1型センサーは世界初としている。コンパクトデジタルカメラの中でも、同サイズのセンサーを搭載している製品は「高級コンデジ」のカテゴリに分類されることが多い。Panasonicが同製品を「LUMIX」として位置付けている理由の1つでもある。光学系はF2.8の「LEICA DC ELMARIT」レンズを搭載。35mm版換算で、28mm相当の単焦点レンズ。画像処理エンジンには、PanasonicのVenus Engineを採用する。
操作部分は、電源ボタンのほか前述のCameraスイッチ、そして専用シャッターを搭載する。横位置で構えた場合、右手人差し指でシャッターを切る。もちろん、背面のプレビュー画面にもシャッターボタンがあるため、パネルへのタッチでシャッター操作を行なえる。
撮影モードは、いわゆるお任せモードのiA(インテリジェントオート)モードのほか、「P(プログラミングオート」、「A(絞り優先オート)」、「S(シャッタースピード優先オート)」、「M(マニュアル)」の各モードを備える。シーン別(SCN)、ピクチャーエフェクト、パノラマ撮影なども、モード選択画面からタッチ操作で選ぶことができる。
A、S、Mなどでの設定値は、レンズ周囲にあるコントロールリングを回す操作で、その値を変更することができる。パネルへのタッチ操作でも同じことはできるが、インターフェイスが円弧を描いているので、リングの操作の方がしっくりくる。リングには軽いクリック感があるので、カリカリっという感じで、シャッタースピードや絞りなどを調整できるからだ。ISO感度や、ホワイトバランスなども、同様にリング操作で変更することが可能。レンズ自体は単焦点だが、同じリング操作で、デジタルズームも倍率を明示しながら変更することができる。
開発途上のサンプルと言うことで、撮影画像をデータとして持ち帰ることはできないが、実際にブース周囲での撮影は可能。ブース内では、作例をプリントアウトした印刷見本をはじめ、プロカメラマンによる作例の上映なども行なわれている。
同社の公式ドイツサイトでは899ユーロの価格が表記されている。発表どおり、当初はドイツ向け、フランス向けに早ければ10月にも出荷を開始するとしている。ここドイツでは法律によってキャリアロックのないSIMロックフリーモデル。Panasonic側もカメラ売り場、スマートフォン売り場の双方でアピールしたいとしている。
仮に日本でも出荷が期待できるとした場合の899ユーロという設定だが、そのまま円-ユーロ換算をするのは早計。ドイツは内税で20%前後のVATが入っている。日本の場合、消費税増税後は外税表記が一般的だ。先日発表されたAppleのiPhone 6の場合、iPhone 6の128GBモデルが、独Apple Storeでそのままズバリの899ユーロ。同製品が日本のApple Storeでは、89,800円(税別)とされていることから、推測に推測を重ねたと念を押した上で参考にしていただきたい。
製品のターゲットは「写真にこだわりのあるSNSユーザー層」。これまでは高級コンデジやミラーレスで撮影した写真をPCなどからSNSに投稿しているという想定。それだけに、スマートフォンなどで撮った写真はわざわざ『iPhoneで撮影』といった注釈をつい付けてしまう写真に対する作品性を求める層が、いわゆるお散歩カメラとしても十分に満足できるクオリティを目指し、高級コンデジとスマートフォンという持ち物を1つにまとめることができる提案としている。
【記事更新】技適表示を確認できましたので、写真を追加し、該当箇所の記載を改めました。