イベントレポート

HP、初のBay Trail+64bit Windowsの10型WUXGAタブレット

~360度回転型の2-in-1デバイスや6/7型Androidファブレットも展示

HP ElitePad 1000 G2
会場:Fira Gran Via

会期:2014年2月24日~27日(現地時間)

 米Hewlett-Packard(HP)は、MWC 2014(Mobile World Congress 2014)の開幕に先立って報道関係者向けのプレビューイベントとして開催された「MobileFocus」に参加し、企業向け10型Windowsタブレット「HP ElitePad 1000 G2」などを展示した。

 HP ElitePad 1000 G2はアスペクト比16:10の10型/1,920×1,200ドット表示液晶を採用しているほか、SoCにはIntelのAtom Z3700シリーズ(Bay Trail)を採用し、64GBまたは128GBのeMMCというスペックであるほか、メモリは4GBを搭載しており、IntelのBay Trailを搭載したタブレットとしては初めて64bitのWindows 8.1、Windows 8.1 Proに対応している。

 また、HPはいわゆる“ヨガスタイル”と称される、ヒンジが360度回転するタイプの2-in-1デバイスの「HP Pavilion x360」、6型または7型のタッチ液晶、Android OSを採用し、3G内蔵モデム+デュアルSIMに対応する「HP Slate6 VoiceTab」(数字の6は上付き)と「HP Slate7 VoiceTab」(同)を発表した。

Bay Trail搭載のWindowsタブレットとしては初めて64bitに対応

 HPが展示したHP ElitePad 1000 G2は、SoCにAtom Z3700シリーズ(Bay Trail)を、液晶には10.1型WUXGA(1,920×1,200ドット)を採用した10型Windowsタブレットとなる。HPはClover Trail世代でも「HP ElitePad 900」という製品をリリースしていたが、このElitePad 1000 G2はその後継となる。最大の特徴は、Bay Trailを搭載したWindowsタブレットとして初めて、64bit Windowsに標準で対応していることだ。メモリも標準で4GBを搭載しており、デスクトップアプリケーションなどでややメモリ消費量の多いアプリケーションでも楽々と使えることが特徴となる。

 これまで発表されたBay TrailベースのWindowsタブレットはいずれも32bit Windowsが搭載されおり、メモリは2GBまでとなっていた。これは、IntelがBay Trailの最初のデザインで、InstantGo(Connected Standby)のサポートも含めて64bitのドライバを提供できていなかったからだ。32bit Windowsの場合は、メモリが4GB搭載されていてもOS側の制限で3GB程度しか利用できず、スペックが中途半端になってしまうため、多くのOEMメーカーが2GBまでサポートに留まっていた事情があった。IntelはBay Trailでの64bitサポートを、2013年のIDFで、今春(2014年春)に行なう意向を表明しており、今回はそれが現実となったことを意味している(現時点でIntelからは正式な発表は無いが、現地時間の2月24日朝にIntelの記者会見が予定されており、その場で公開される可能性が高い)。

 QualcommのGobi 4G LTEモデムを内蔵したモデルも用意されている。ElitePad 900の国内向けモデルでは、NTTドコモおよびKDDIのLTEモデムを内蔵した製品が用意されており、仮に国内に投入されるのであれば、同じ形が期待できるだろう(現時点では米国以外の市場への展開は未定とのことだった)。また、ElitePad 1000 G2でもElitePad 900と同じようにドッキングステーションやバッテリジャケット、指紋認証付きジャケットなどが用意される。

 HPによれば、ElitePad 1000 G2は3月に米国市場へ投入し、価格は739ドルからになる予定だ。日本を含む米国以外の市場への投入予定は現時点では未定とのことだった。

Atom Z3700シリーズ(Bay Trail-T)を採用した10型Windowsタブレット「HP ElitePad 1000 G2」の裏面
メモリは4GB搭載され、OSが64bitのWindows 8.1であることが分かる
液晶ディスプレイはWUXGA(1,920×1,200ドット)
USBや拡張スロットなどはなく、下側にドッキングコネクタとスピーカーがあるだけ
デジタルスタイラスやドッキングステーションがオプションで用意されている
キーボードケースも用意されている
拡張ポートに挿す各種アダプタとACアダプタ(後方)
こうした各種のジャケットが用意されている、これは指紋認証用ジャケット
サポートしているスタンバイモードを確認しているところ。InstantGo(Connected Standby)がサポートされていることが分かる

1.4kgの2-in-1デバイスとなるHP Pavilion x360、360度回転型ヒンジを備える

 このほか、ヒンジが360度回転する変形機構を備え2-in-1デバイス「HP Pavilion x360」、6型または7型の液晶を搭載したAndroidファブレットとなる「HP Slate7 VoiceTab」と「HP Slate6 VoiceTab」を発表した。

 HP Pavilion x360は、いわゆる“ヨガスタイル”と称される、360度液晶ヒンジが回転して、クラムシェルモード、スレートモード、ビューワモード、テントモードと4つの形状に変形するタイプの2-in-1デバイスとなる。同じような変形機構を持っている製品としてはLenovoの「Yoga」モデルや、Panasonicの「Let's note MX3」などがある。

 ただし、LenovoのYogaや、PanasonicのLet's note MX3がCPUにCoreプロセッサを採用するハイエンド向け製品となるのに対して、HP Pavilion x360はBay Trail-MベースのPentiumまたはCeleronを搭載しており、低価格寄りの製品となる。重量は1.4kg。液晶は11.6型HD(1,366×768ドット)液晶で、10点マルチタッチに対応する。メモリやCPUは製品によって異なるが、展示されていた製品には4GBメモリ、500GBのHDDが搭載されていた。なお、筐体色はブリリアントレッドとスモークシルバーの2色。

 HPによれば、3月にEMEA(ヨーロッパ/中近東/アフリカ地域)に投入され、価格は399ユーロ。日本を含むEMEA地域以外に投入されるかは、現時点では未定とのことだった。

液晶のヒンジが360度回転してスレート、テント、ビューワ、クラムシェルの各モードで使うことができる
本体の左側面。USBポートが用意されている
本体の右側面。カードスロット、USB×2、HDMI、Ethernetが用意されている
赤いモデルもある、ちなみに左のオレンジはLenovoのYoga

 HP Slate7 VoiceTabとHP Slate6 VoiceTabは、7型および6型のHD IPS液晶を搭載したファブレットで、3G+(HSDPA)モデムを内蔵していることが特徴となる。当初インド向けとして発表された製品だが、今回EMEA地域向けにも販売されることが明らかにされた。

 SoCはMarvellのクアッドコアARMプロセッサ、メモリ1GB、16GBの内蔵ストレージを備えている。EMEA向けの製品は「HP Data Pass」と呼ばれる月に250MBまで無料で2年間利用できる「Fogg Mobile」のSIMカードが付いてくる。もちろん足りなくなった場合には有料で追加することも可能で、Wi-Fiがない環境でも使いたいユーザーには有益な選択肢となる。ユニークなのは、HP Slate6 VoiceTabのSIMカードスロットは成長市場向け仕様のデュアルSIMになっており、旅行先では普段自分が使っているSIMカード以外に、旅行先で買ったプリペイドSIMカードを入れて使うこともできる。また、HP Slate6 VoiceTabの裏蓋にはオプションでカラーバリエーションが用意されており、好きな色に交換することも可能だ。

 HPによればHP Slate7 VoiceTabはフランス、ドイツ、スイス、スウェーデン、イギリスで5月に229ユーロで、HP Slate6 VoiceTabはフランス、ドイツ、スイス、スウェーデン、イギリスで5月に249ユーロで提供される予定だ。

左がHP Slate6 VoiceTab、右がHP Slate7 VoiceTab
HP Slate6 VoiceTabの裏蓋を開けたところ、SIMカードスロットが2つ用意されている
HP Slate7 VoiceTabの裏蓋を開けたところ

(笠原 一輝)