【CES 2011レポート】Lunch at Piero's編
~VIAのNano X2デモや8型AndroidタブレットPCなど

VIA Nano X2のデモ機。VX900チップセットと組み合わせた評価用ボードで動画再生を行なった

会期:1月6日~9日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center/The Venetian



 Lunch@Piero'sは、Digital ExperienceやShow Stoppersなどと同じく、International CESに参加する人を対象にした併設イベントの1つだ。例年、CES開幕日のランチタイムにPiero's Restaurantで開催されている。小規模ながらも、ユニークな製品の展示が目立った本イベントから、興味深かった展示をピックアップして紹介する。

●VIAはNano X2やUSB 3.0のゼロ・クライアントをデモ

 VIAはCESのタイミングで発表した、デュアルコアNanoこと「Nano X2」のデモを実施。Nano X2は、従来のシングルコアNanoで使われるIsaiahコアをデュアル化、40nmプロセスでワンダイ化したもの。

 デモはシンプルなもので、Nano X2とVX900チップセットを組み合わせた評価用ボード上で、1080pのHD動画を再生させ、そのCPU使用率の低さをアピールした。このデモにおけるCPUの動作クロックは1.4GHzとのこと。

VIA Nano X2プロセッサ。TSMCの40nmプロセスで製造裏面。従来のシングルコアNanoとはピンコンパチブルとなっている左のEPIAボード上のプロセッサがシングルコアNano、スタッフが持っているのがNano X2。デュアルコア化しながらもダイサイズはそれほど大きくなっていないことがわかる

 また、VIAではUSB 3.0対応のホストコントローラ、Hubコントローラ、SATAブリッジコントローラをプッシュしており、これらを組み合わせて設計された、CPUやストレージなどを持たない仮想環境専用のゼロ・クライアントをデモンストレーションした。こちらは、Phenom II X6システムにインストールされたWindows Multipoint Serverをホストコンピュータとし、そこからUSB 3.0 Hubを介して接続されたゼロ・クライアントを動作させるというもの。

 クライアント側はホストとの接続用USBのほか、汎用USB端子、キーボード&マウス用USB端子、DisplayLinkのコントローラを介したディスプレイ出力端子のみを備えるシンプルなシステム。1台のゼロ・クライアントはUSB 3.0のオプティカルケーブルを用いることで、100mの距離を転送させている。

USB 3.0関連チップをプッシュするVIAが行なったテクノロジデモ。USB 3.0でホストと接続したゼロ・クライアントを動作させるもの。うち1台はオプティカルケーブルを用いて100mを転送させているホスト側はPhenom II X6をベースとしたシステムで、Windows Multipoint Serverが動作している
ゼロ・クライアントの基板。VIAのUSB関連チップが向かって右側に4つ載っている。左側のやや大きめな正方形のチップはDisplayLinkのチップ、その左側の長方形のチップはDRAMだ写真では伝わりにくいが、ゼロクライアント上の動画再生もスムーズに行なわれていた

●ユニークな液晶サイズを採用する8型Androidタブレット

 今回のCESにおいて旋風を巻き起こしているAndroidタブレット。液晶ディスプレイ製造を本業とするAOCも、Android 2.1を搭載するタブレットPCを展示した。「breeze TABLET」と名付けられた本製品は、8型という珍しいディスプレイサイズが大きな特徴。この点についてスタッフは、「ユニークなサイズで訴求していきたいし、7型より良いユーザ体験を提供できる」としている。

 また、タブレットやスマートフォンで一般的なmicroSDスロットのほかに、外部ストレージ用のUSB端子を備えているのも特徴の1つ。ここにUSBメモリやUSB接続のHDDなどを接続し、Androidからアクセスできる。USB上のビデオファイルを登録したプレイリストを内蔵メモリに作成しておき、USBメモリを装着して再生するというデモを実施していた。

 8型液晶の解像度は800×600ドット。重量は1.1ポンド(約500g)。バッテリ駆動時間は6時間としている。プロセッサはRockchip製を採用。200ドル前後で、2月にリリースされる見込みという。

 このほかAOCでは、2011第1四半期にリリース予定というUSB接続のセカンドディスプレイを展示。1,366×768の12型液晶で、USBバスパワーで駆動可能。LEDバックライトの採用をアピールしている。こちらの価格は99ドルを予定している。

AOCが展示した8型液晶採用のAndroid2.1搭載タブレット「breeze TABLET」ヘッドフォン出力、PCと接続するUSB-Mini端子のほか、外部ストレージ用USB端子とmicroSDスロットを備える
USBメモリを装着した際のファイラーの表示。SDカード、内蔵メモリに加え「USB」がマウントされていることが分かる第1四半期にリリース予定の12型のUSBセカンドディスプレイ。LEDバックライトを用い、USBバスパワーで駆動が可能

●HannspreeもAndroidタブレットを強化

 ユニークなデザインの液晶TVなどで知られるHannspreeも、昨年、Androidタブレット市場に参入。このLunch@Piero'sで製品の展示を行なった。

 展示したタブレットは10.1型/1,024×600ドットのタッチパネル液晶を持つ製品で、Android 2.2を搭載。プロセッサにはTegra 2を採用している。同型の製品でSKUを展開するとしており、プロセッサ、内蔵メモリ容量、液晶ディスプレイの解像度などを変更したモデルのリリースも計画しているという。

 UIは独自に開発したというものが採用されており、ランチャーだけでなく、Webブラウザなどのアプリケーションにも独自UIのものがバンドルされている。

 さらに、この場では展示が行なわれなかったが、10.1型のほかに7型のタブレットPCを投入する予定で、すでにプロトタイプはできあがっているという。

Hannspreeが展示したTegra 2搭載の10.1型AndroidタブレットAndroid 2.2をベースに独自のUIを採用
UIをカスタマイズした独自のWebブラウザをバンドルTegra 2搭載製品では珍しくないが、HDMI出力を備えている

(2011年 1月 7日)

[Reported by 多和田 新也]