創業100周年を迎えた日立が見せた歴史的製品の数々
~「日立uVALUEコンベンション2010」で特別展示コーナーを設置


 株式会社日立製作所は、7月22日、23日の2日間、東京・有楽町の東京国際フォーラムで、同社のプライベートイベント「日立uVALUEコンベンション2010」を開催。同社が、2010年に創業100周年を迎えたのを記念して、特別展示として「日立グループ100年の歩み」を行なっている。

 ここでは、1910年(明治43年)に製造された同社第1号製品である「5馬力モーター(誘導電動機)」や、輸出製品第1号製品となった「扇風機」などが展示されるなど、同社のエポックメイキングな製品が展示されている。

 この展示は開催期間中は、誰でも見ることができるようになっている。

 事前登録制となっている「日立uVALUEコンベンション2010」での展示内容を含めて、日立製作所の取り組みを写真で追ってみた。

日立製作所は今年100周年を迎えた創業100周年記念特別展示「日立グループ100年の歩み」。東京国際フォーラムのB1フロアに展示され、誰でも見ることができる
展示コーナー入口にある映像コーナーでは、15分間に渡って日立製作所の歴史を紹介日立のロゴマーク。創業者である小平浪平氏自らが考案したものだというマークの意図は、「日」と「立」という字を同心的に重ねたもので、外周の4つの突起は太陽のフレアを表す。太陽と共に立つという意味を込めた
日立製作所の創業者である小平浪平氏日立の原点といわれる茨城県大雄院にあった日立鉱山の修理小屋
日立製作所の創業当時の様子1910年に生産された5馬力モーター。日立鉱山用に3台を製作したという
1910年に生産された5kVA単相変圧器。日立鉱山用に10台が作られた。初の日立マークを採用した製品
当時国内最大となった1万馬力のフランシス水車ランナー。利根発電(現・東京電力)の岩室発電所の建設にあわせて納入された1万馬力のフランシス水車ランナーに付随する直流励磁機駆動用の325馬力ペルトン水車ランナー1912年に生産された水車発電機第1号。これは回転子部分。静岡県の峯の沢鉱山で活用され、'47年から中部電力7発電所でも使用された。'68年まで約50年以上に渡り利用された
1918年に生産された交流電流計こちらの交流電流計も1918年に生産されている1924年に作られた過電流継続電器
1922年、蒸気機関技術を有していた同社が鉄道省に納めた8620型蒸気機関車。1両は九州で現在も活躍中だという1924年に開発した59t大型電気機関車。最高速度は時速64km特急つばめなどに利用された蒸気機関車C62型にも日立の技術が生きている
日立の文字も力強い鉄道発祥の地・英国のCTRLで利用されるClass395は日立が納入。世界的にも有数の鉄道総合システムインテグレータに進化。写真は英国アシュフォードの車両基地。
1926年に生産し、輸出第1号となった扇風機。当時、小平氏は「扇風機を当社の看板商品にする」と宣言した写真による展示となっていた水電解槽。延べ7,000人を投入して開発。水素99.8%という高純度の分離に成功1932年に発売した日立初の電気冷蔵庫。小型電気製品の工場となっていた亀戸工場で作られた
日立初の電気冷蔵庫につけられたロゴ1945年に開発した民需初の電話交換機。20回線1号単紐共電式構内交換機と呼ばれる
1946年に開発した終戦直後の真空管ラジオ「TB-4形国民型ラジオ」1957年に発売した真空管ラジオ。日立ラジオ H-202
1952年に登場した日立の洗濯機第1号「SM-A1」。日立の生活家電事業の始まりともいえる
日立が1956年に発売した掃除機「ヒーターバック H-H2」。当時の価格は17,200円1956年に日立が発売した第1号テレビ「F-100」。14型で、日立テレビジョンの名称で呼ばれた
1968年に発売されたテレビ電話機。一体型のデザインとしている第2次世界大戦中に焼失した通天閣を地元商店街が出資した復興した際に建設費を支援したのが日立。50年以上、日立の文字がネオンでともる写真展示されていた国産初のスーパーコンピュータ「HITAC S-810」
1967年に出荷した日立の磁気ディスク装置1号機「H-8564」。記憶容量は7.25MB。銀行業務や座席予約などで利用された
磁気ディスク駆動装置「H-6585」。1985年に出荷。14インチの7枚の円盤で1.26GB、これを4基で5GBの容量を達成していた
1970年に開発したHITAC 8700。8000シリーズの最上位機に位置づけられた
世界一高い地上高213メートルのエレベータ研究塔「G1 TOWER」日本原子力研究所に納めた臨界プラズマ試験装置「JT-60」島根原子力発電所1号機の圧力容器
2003年に完成したエジプトのバラクポンプ場。ナイル川の水を砂漠に供給する中核的役割を担う中国の製鉄所向け分塊工場設備。1985年から稼働しているカナダのマイカ発電所に水車ランナーを納入。カナディアンロッキーの断崖を削り、97日間をかけて運び込んだ
創業100周年を記念し、創業製品である5馬力電動機を15分の1に小型化した磁石モーター試作機家庭向けサービスプラットフォームを提供。展示会場で参考展示した照明用無線リレーBOX
OSGi対応のインテリジェントホームゲートウェイ。照明やブラインドなども制御する照度センサーと温度センサー参考展示されたアダプタインタフェースを搭載した薄型テレビ。マルチスクリーン向け映像配信サーバーシステム「Videonet」と接続する
電源と需要の多様化にあわせて活用されるスマートグリッドシミュレータの参考展示7,680×4,320という高精細を実現するスーパーハイビジョンカメラ
メガデータセンター向けの冷却システム「Ref-Assist」
参考出展したSSDユニ・チャームと共同開発した自動採尿システム「ヒューマニー」も展示。2009年度の厚生労働省の障害者自立支援機器等研究開発プロジェクトで開発された「心語り」
富士重工と共同開発したダウンウィンド風力発電システム風力発電用制御弁式据置鉛電池「LL-W」高効率ガスタービン「H-25/15」。CO2排出量抑制を実現する発電用ガスタービン
リチウムイオン電池も日立の特徴とする技術の1つ
次世代券売機。ディスプレイに沿線情報なども表示される列車総合管理ソリューションの1つである自動ダイヤ管理システム
駅や列車におけるにおけるデジタルサイネージの提案
近接ワンセグ機能を活用したエリア限定の旅客情報や広告を配信する仕組みEV充電管理ソリューションも展示。充電スポットで充電した情報が管理される
スバルのレガシーに搭載された自動車を追突させない仕組みが話題集めているが、これも日立が開発に関与ボールを落として空中でインクジェットによる印字を行なうデモストレーションボールにHITACHIの文字。製品名は「Gravis」。主に産業用で利用されている。
脳科学にも日立は進出。前頭部の計測を行なう脳科学を生かした玩具もバンダイと共同で開発している注視した方向の商品を選択してくれる技術
バーチャル試着シミュレーション。iPadで実演していた人の表情や好みにあわせて知能的な振る舞いをするロボット
次の100年に向けた日立の研究の方向性未来の技術として展示したリストバンド型生活モニタ装置。生活状態を掌握できる
エネルギー自立住宅。多温度対応ヒートポンプや変換効率50%の太陽電池システムなどを活用し、住宅エネルギーの地産地消を実現するという

(2010年 7月 22日)

[Reported by 大河原 克行]