本稿ではMicrosoft Open House 2009のZune HDについてレポートする。なお、Zune HDの基本機能については、先だって別途レポートしているのでそちらを参照して欲しい。ここでは、イベント中でアピールされた機能や、レビュー時に不明だった点について説明したい。
まずはZune Passについて。Zune Passは1/3/12カ月単位で購入する加入サービス。Xboxに対する、Xbox LIVEメンバーシップのようなものだ。Zune HDのホームページによると、「Zune Passによる音楽サブスクリプションに加入すると、月額14.99ドルで音楽を好きなだけストリーミングあるいはダウンロード再生できます」とある。これは分かるが、その後に「また、Zune Passによってお客様は毎月10曲を受け取ることができます」と書かれている。
この2つの記述は矛盾するように見える。この点について担当者に質問したところ、次のような答えが返ってきた。「Zune Passのユーザーは、Marketplaceにある全ての音楽をすきなだけダウンロードして、ローカルに保存することができます。もし1カ月のパスを購入して、翌月更新をしなかった場合、ダウンロードした曲は失われますが、10曲だけは手元に残すことができるのです。もし、3カ月のパスを購入した場合は、30曲になります」
すなわち、Zune Passの契約が続いている間は、文字通り音楽をダウンロードし放題で、契約を中止しても、過去に契約していた月数×10曲までは手元に残せるということだ。
直販サイトのみで買える赤モデル | その背面 | 色は、緑と青もあり、背面には模様や文字を刻印できる |
現時点で、Marketplaceには約600万曲の音楽が登録されている。とはいえ、「これらすべてをダウンロードして、聞き放題!」というのは、契約上は可能だが、物理的には無理だろう。それ以前に、多くのユーザーは音楽的嗜好範囲が限定されているので、多数の曲を用意されても、それらにたどり着けない可能性の方が大きい。
そこでMicrosoftでは、新たな音楽を発見できるよう、いくつかのお勧め機能を実装している。その1つが「Smart DJ」。好みの曲/アーティスト/アルバムを指定すると、それに応じてお勧めの曲をピックアップし、プレイリストを作成する機能。これと同等の機能はiTunesにもあるが、Zuneの場合、Zune Passに加入していると、選曲の対象がMarketplaceにまで広がるという点が異なる。
つまり、ローカルにある曲だけでなく、Marketplace上の600万曲の中からお勧めを探し、プレイリストが作られるのだ。Zuneではストリーミング再生もできるので、プレイリストが作成された直後から、Marketplace上の曲も再生可能となり、バックグラウンドでローカルHDDに保存される。
これとは別に、MarketplaceにはChannelといものも用意されている。これは、ヒットチャート、ロック、ジャズなどいろいろなジャンルの曲をMarketplace側でとりまとめてリスト化したもの。毎週更新される。こちらも、全ての曲がストリーミング/ダウンロード可能となっている。
あるいは、コミュニティ機能を使い、自分の友人が今聴いている曲をZuneソフトウェア上で確認し、それを即座に自分もダウンロードして聴くこともできる。
音楽のサブスクリプションサービスを行なっているところはほかにもあるが、iPod/iTunesと比較すると、何とも豪快な機能と言えるだろう。なお、Zune Passに加入していなくても、音楽は曲単位で購入することもできる。
Smart DJにお気に入りのアーティストとしてGreen Dayを入れてみた | するとGreen Dayファンが好きであろう推薦曲のプレイリストが作られた。Zune Pass加入者ならMarketplaceからも自動的に曲がダウンロードされる | こちらはChannel。週替わりでテーマに沿った曲目のリストを提供する |
せっかくの機会なので、日本など米国以外への展開、内蔵ブラウザのFlashサポート、ユーザーによるアプリケーションのアップロードの可能性について聞いてみた。しかし、いずれも回答は「今のところ具体的な計画はない」というものだった。ただし、全く可能性がないわけではなく、検討はしているような雰囲気はあった。ちなみに、アプリケーションについては、FacebookやTwitter向けのものと、ゲームとして「Project Gotham Racing」が提供予定とのことだ。
(2009年 10月 8日)
[Reported by 若杉 紀彦]