ソニーは国際コンシューマエレクトロニクス展(IFA 2009)で、詳細・発売日とも未公開のまま、VAIO Xシリーズとして開発された最新の軽量端末を披露した(参考展示)。スペックは製品発表時まで非公開だが、ソニーCEO兼社長のハワード・ストリンガー氏は厚みが14mm以下であること、重さが約700gであること、それに3Gネットワークに接続するワイヤレスWANアクセス機能を内蔵できることを明らかにした。
展示会場のVAIO Xはデバイスマネージャなどユーザーインターフェイスが見えない仕様になっており、製品版ではハードウェア構成の細かな部分が変わる可能性があるため、断言はしにくい。ハードウェアの操作感は試せるものの、実際のパフォーマンス(アプリケーションの実行速度)などについては分からなかった。ただし、重さの約700gは、言うまでもなく“相当に軽い”と感じさせる重量だと、手にするとなおさらに実感する。
外装はカーボンファイバープラスティックで、圧力をかけて焼成したドライカーボン(色はブラックとブラウンの2色が、ここでは展示されていた)となっており、薄さと軽さに強さを兼ね備えている。超薄型ではあるが、パームレストをつまんで激しく振動させるなど、厳しいトーチャーテストが行なわれた丈夫な設計の製品であることを強調している。
さらに製品を裏返していると、パームレスト下の大部分が薄型バッテリパックで構成されていることが分かる。14mmと超薄型のため、キーボード下はあらゆる部品を重ねずに設計していると予想できるが、その面積はさほど大きくない。放熱なども考えると、超低電圧のIntel Coreプロセッサではなく、Atom系のプロセッサが使われている可能性が高そうだ。
キーボードはキーが独立したタイプ | パームレストだけを掴んでいる様子 |
ブラックとブラウンの2色が展示されていた | 裏面の半分近くをバッテリパックが占める |
なお、薄く打ちにくそうなキーボードに見える本機だが、11型クラスのワイド液晶パネルを搭載するパソコンとしては、かなり打ちやすい方だ。キー間のギャップが広く取られているため、やや小さめのキーピッチながらミスタイプしにくく、ストロークはとても短いのにクリック感はしっかりとある。
また、超薄型ながらアナログRGB出力用のミニD-Sub15ピン端子が用意されており、LAN端子(RJ-45)も特殊な構造でフタとなっている部分をコネクタの構造物として利用するスタイル(かつて、カードモデムで似たような構造を持つものがあった)を採用するなど、細部にまでこだわった設計が施されていた。
バッテリ持続時間は「出先で常にパソコンを使う人たちにも十分な持続時間を提供する」とストリンガー氏。どのぐらいのバッテリ持続時間が実現できるのか、具体的な数値は示されなかったが、薄くて小さくて軽いだけでなく、きちんとスタミナもあるところは見せられるというから期待したい。
手前側にSDカード、メモリースティックのスロット | 左側面にはUSB×2、ヘッドフォン端子 |
右側面はミニD-Sub15ピン、LAN端子がある | 工夫されたフタのLAN端子 |
(2009年 9月 3日)
[Reported by本田 雅一]