【WWDC 2009】【基調講演続報】
iPhone 3G Sの詳細


●iPhone OS 3.0の新機能

 新しいMacBookとMacOS X Snow Leopardの話題を取り上げた約50分間の前半の後は、iPhone関連のパート2だ。登壇したスコット・フォーストール副社長は、iPhoneとAppStoreの大成功に謝辞を述べた後、「iPhone OS 3.0」の新機能の紹介を始めた。

 最初に取り上げた新機能は、カット/コピー・アンド・ペースト。iPhone上の広範なアプリケーション間で、データのカット/コピー・アンド・ペーストができるようになる。もちろんアンドゥ可能で、開発者向けにAPIも公開される。カット・アンド・ペーストは、GUIの基本ともいえる機能であり、なかったことが不思議だったわけだが、これで大きな不便が解消する。

iPhone OS 3.0の紹介をするスコット・フォーストール副社長 ようやくアプリケーション間でのカット・アンド・ペーストが可能に 横型キーボードのサポートも新機能の1つ

 もう1つiPhone OS 3.0の利便性を大きく改善しそうなのがSpotlightだ。トップ画面を左から右にスワイプすることで呼び出されるSpotlightで、iPhone内のデータを横断的に検索することが可能になる。ほかにも横向き画面で利用可能な横型キーボードがサポートされ、これにより従来は縦でしか使えなかったアプリケーションの多くが、横向き、縦向きを問わず利用可能になる。

 こうしたiPhoneで完結する新機能に加え、キャリアが提供するサービスと一体となった新機能として、グローバルに提供されそうなのがMMSだ。Multimedia Messaging Seviceの略であるMMSは、写真やビデオ、音など、SMSではやりとりすることのできなかった様々なデータを、他の端末の電話番号宛て、あるいは電子メールアドレス宛てに送信できるサービスを指す。

 わが国でiPhoneを展開しているソフトバンクのS!メールもこのMMSである。従来のiPhoneは、MMSをサポートしていなかったため、iPhoneユーザーはS!メールのアカウントを取得することができなかった。が、iPhone OS 3.0がリリースされた後、どのような形でiPhoneユーザーにS!メールアカウントの提供を行なうのか注目される。iPhoneでS!メールがサポートされれば、iPhone以外のソフトバンク端末からの機種変更も容易になるだろう。

 このMMSについて、フォーストール副社長が示したサービス提供キャリアに、ソフトバンクのロゴがしっかり含まれていたが、お膝元のAT&Tのロゴが無い。AT&Tも夏遅くごろには対応する予定であるとのことだったが、会場にはちょっと失望感が広がった。

MMSを提供するキャリア(29社)のロゴ一覧。ソフトバンクのロゴが左上に見えるが、AT&Tのロゴが無い。 ティザ機能もユーザーからのリクエストが多かった機能の1つ ティザをサポートするキャリア(22社)のロゴ一覧。ここにソフトバンクのロゴは無い。

 それ以上に会場を失望させたのは、ティザ機能を取り上げた時のことだ。ティザというのは、iPhoneとPCをUSBあるいはBluetoothで接続し、iPhoneをモデム代わりに使う機能だ。iPhone OS 3.0は、MacとPCの両方でiPhoneをモデムとして利用可能なのだが、この機能を提供するキャリアのリストにAT&Tが無い。ユーザーの要望が強かっただけに、またお隣のカナダではサポートされる(キャリアはRogers Wireless)だけに、落胆の度合いも大きかったのだろう。またAT&Tのサポートが無いこともあって、ティザ機能を利用した場合の料金プランのモデルケースも不明である。

 ティザサービスには、Telefonica、O2、T-Mobile、Vodafoneなどヨーロッパの大手や、HutchsonやSingTelなどアジア太平洋のキャリアが名を連ねるものの、ソフトバンクの名前は無い。米国で提供されないサービスのせいか、フォーストール副社長はティザについて簡単な説明しか行なわなかったが、早い時期にわが国でこの機能が利用可能になると考えない方が良いのかもしれない。

 キャリアとは別にAppleが提供するサービスと一体化したiPhone OS 3.0の新機能がFind My iPhoneだ。紛失したiPhoneを地図上に表示したり、ディスプレイ上にメッセージをプッシュしたり、音で場所を知らせる(たとえマナーモードに設定していても)といった機能で、最悪の場合はiPhoneをリモートから初期化しデータを消去することもできる。ただし、利用するにはMobileMeの契約が不可欠だ。

Find My iPhoneを使うと、iPhoneの現在位置を地図上に示すことが可能 ディスプレイ上にメッセージをプッシュすることもできる

 Appleのサービスとの連携という点では、iTunes Music Storeとの連携が強化され、iPhoneだけでムービーをレンタルしたり(わが国では現在このサービスは提供されていない)、ゲームの続編(追加レベル等)を購入することもできる。ゲーム向きの機能としては、2台のiPhoneを無線LAN(adhoc)やBluetoothで接続することも可能だ。全体で100を超える新機能をサポートしたiPhone OS 3.0は、既存のiPhoneユーザーには無償で、iPod touchユーザーには9.95ドルで、6月17日から提供される。

●待望の新形「iPhone 3G S」

 フォーストール副社長によるiPhone OS 3.0の紹介とサードパーティによるiPhoneアプリの紹介が約50分間続いた後、再びシラー副社長が登壇した。今度は新しいiPhone、「iPhone 3G S」のお披露目だ。iPhone 3G SのSは、Speedを示しており、最大で2倍の高速化が図られている。が、単に速度の向上だけでなく、改善されたカメラ、ボイスコントロール、地図アプリケーションと一体化されたデジタルコンパスといったハードウェアの強化を含む。また、バッテリも強化され、ビデオやオーディオの再生時間が延長されている(3Gによる通話時間は延長されていない)。

iPhone 3G Sの紹介を行なったフィル・シラー副社長 カメラの改良はiPhone 3G Sの主要な改善点の1つ 中身は一新されたiPhone 3G Sだが、外観のデザインに大きな変化は無い

 iPhone 3G Sが搭載する新しいカメラは、300万画素で、オートフォーカス、マクロ撮影機能を備えたもの。オートフォーカスは画面上のピントを合わせたい場所をタップするだけで、AEやオートホワイトバランス(この2点も改善されている)もフォーカス点に追随する。またモノラル音声付きの動画撮影にも対応しており、VGA画素で最大30fps(フレームレートは周囲の明るさ等、条件に依存する)のH.264動画を撮影できる。iPhone 3G Sが簡単なカット編集機能を内蔵しており、iPhoneだけで動画共有サイトへのアップロードが可能だ。

 ボイスコントロールは、本体内蔵あるいはヘッドセット内蔵のマイクでiPhoneのコントロールを行なうもの。電話をかける、再生中の曲のタイトルを読み上げさせるなど、主要な機能を音声により指示することができる。日本語にも対応しているが、音声処理をiPhone側で行なうため、利用できるのは処理性能の高いiPhone 3G Sのみとなる。同様にコンパス機能を利用できるのもハードウェアでデジタルコンパスを内蔵するiPhone 3G Sだけだ。

 このiPhone 3G Sの発売時期は、米国とヨーロッパの一部が6月19日、日本やオーストラリアは6月26日となっている。その後も7月、8月と段階的に提供国が追加されていく。米国での価格は16GBモデルが199ドル、新しく追加される32GBモデルが299ドルだ。国内の販売価格も発表されているので、関連記事をごらんいただきたい。

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