イベントレポート

【詳報】Intel、4+3eのXeon E3-1500 v5発表や第7世代Coreプロセッサの今四半期中の出荷を発表

 米Intelは、COMPUTEX TAIPEIのメインの基調講演に相当する「e21 Forum」の基調講演に登壇し、同社の最新製品に関しての説明を行なった。今回の基調講演にはIntel副社長兼クライアントコンピューティング事業本部本部長のナビン・シャノイ氏、Intel主席副社長兼データセンター事業本部本部長のダイアン・ブライアント氏の二人が登壇し、それぞれの担当分野に関する発表を行なった。

 この中でシャノイ氏は、同社が5月31日に発表した“Broadwell-E”こと「Core i7 Extreme Edition」などについての説明を行なったほか、同社が現在主力製品として展開している第6世代Coreプロセッサ(Skylake)の後継となる、開発コードネーム“Kaby Lake”が第7世代Coreプロセッサのブランド名になることを初めて明らかにし、2016年第2四半期中にOEMメーカーなどに出荷を開始することを明らかにした。

 また、ブライアント氏はデータセンター向けのCPUとして、「Xeon E3-1500 v5」を発表した。Xeon E3-1500 v5は、“Skylake-S”の開発コードネームで呼ばれる、デスクトップPC向けのSkylakeをベースとしたサーバー用製品で、最大の特徴はIntelの社内で「4+4e」と呼ばれている、4コアCPU+72個のEU(実行ユニット)と、eDRAMを搭載する内蔵GPUのGT4eの組み合わせが用意されていることだ。

Kaby Lakeこと第7世代Coreプロセッサは第2四半期中にOEMメーカーに出荷開始

 4月上旬に行なわれたIntelの製品事業部の幹部の交代劇で、新しくクライアントコンピューティング事業本部の事業本部長に就任したばかりのナビン・シャノイ氏は、IDF Shenzhenでの基調講演に続いて、Intelのクライアント製品の各種製品の説明を行なった。

 その中でも最大の注目は、5月31日にIntelが発表した新CPU、Core i7 Extreme Editionだ。開発コードネームの“Broadwell-E”と呼ばれてきたこの製品は、3月にサーバー用として発表されたXeon E5 v4(別記事参照)のLCC(Low Core Count)ダイと共通のダイを活用しており、CPUコア数が最大10コアとなっていることが特徴となっている。

 IntelはこうしたExtreme Editionの製品を、PCゲーマー向け、さらにはコンシューマでも動画や写真の編集を高速に行ないたいユーザー向けと位置付けており、今回のCOMPUTEX TAIPEIでもそうしたアピールが行なわれた。実際そのデモでは、担当者がホログラムで登場し、その魅力を語るというデモが行なわれる。

 さらに、PCゲーミングのデモでは、MSIが開発したリュックサック型のPC(別記事参照)が紹介された。通常のVRのデモでは、VRのヘッドセットとコントローラ、センサーを、ケーブルないしは無線などで接続する必要があり、自由に動き回るのに障害となる。しかし、PC自体を背中に背負ってしまうというこの斬新なシステムを使うと、ユーザーはある程度自由に歩き回れるようになる。

 さらにシャノイ氏は、同社が現在開発中の2製品についても触れた。最初に紹介したのは、4月に行なわれたIDF Shenzhen(別記事参照)で紹介された「Apollo Lake」で、現在Pentium/Celeronとしてバリュー向けPC向けのSoCとして投入されている「Braswell」の後継製品となる。Apollo Lakeは14nmプロセスルールで製造され、バリュー向けの2in1デバイスやノートPCなど向けの製品となる。CPUやGPU性能が強化され、現在のBraswellよりも性能が向上することが期待されている。

 もう1つの製品が、開発コードネームKaby Lakeで知られる次世代の主力プロセッサだ。シャノイ氏はこのKaby Lakeが「第7世代Coreプロセッサ」というブランド名になることを初めて公式に確認し、「今四半期中に出荷開始する」(シャノイ氏)と、2016年第2四半期中にOEMメーカーに出荷を開始すると説明した。

 Kaby LakeはSkylakeと同じ14nmプロセスルールで製造される製品で、Skylakeをベースに改良が行なわれる製品となる。基本的なマイクロアーキテクチャはほぼSkylakeと同じだが、細かな修正が入ることで性能も向上するという。

 今回発表されたのはOEMメーカーへの出荷という事だけで、具体的な発表時期に関しては公式な発表はなかったが、OEMメーカー筋の情報によれば、Intelは8月中旬~9月上旬のタイミングで発表を予定しているとのことで、8月中旬にサンフランシスコで行なわれるIDF前後に発表、9月上旬に行なわれるIFAでお披露目という可能性が高いと見られる。

Intel 副社長兼クライアントコンピューティング事業本部本部長 ナビン・シャノイ氏
“Broadwell-E”ことIntel Core i7 Extreme Editionを発表
シャノイ氏が手に持つのがボックスプロセッサの箱
VRヘッドセットをつけてデモを行なうシャノイ氏。後半のBlueNoteのデモでは、ブライアント氏は「髪型が崩れるからダメだ」とVRヘッドセットのデモを拒否していたが、シャノイ氏は文句を言わずちゃんとデモしていた
2つのVRを同時にデモというのはちょっと新しい
MSIのリュックサック型のPC。なかなか楽しいアイディアだ、腰への影響は無視するとすればだが……
ホログラムで登場した担当者と話すシャノイ氏
最後は実物の本人がIntel Core i7 Extreme Editionのウェハをもって登場するという、お約束のオチも
3D XPoint SSDのデモも行なわれた。PCI Express接続のSSD(Intel 750シリーズSSD)に比べて3.5倍高速だとアピール
今年の後半に発表される予定のApollo Lakeと、Kaby Lakeこと第7世代Coreプロセッサ

GT4e内蔵のXeon E3-1500 v5を正式発表

Xeon E3-1500 v5を紹介するIntel 主席副社長兼データセンター事業本部本部長 ダイアン・ブライアント氏

 最近、Intelの主要幹部の座とも言える、主席副社長に就任したダイアン・ブライアント氏は、同氏の担当分野であるサーバー製品に関する説明を行なった。

 ブライアント氏が発表したのは、Xeon E3-1500 v5という製品。Xeon E3-1500 v5は、クライアント向けのSkylakeをサーバー向けに投入した製品で、一般的なサーバー向け製品との大きな違いは、GPUを内蔵していることだ。Xeon E3-1500 v5の一部製品には、Intelの社内用語で「4+4e」と呼ばれる、4コアCPUと、GT4eというIntelのGPUでは最大のEU(実行ユニット)になる72個のEUを内蔵したGPUが統合されたダイが用意されていることだ(他にも2コア版、4コア+GT2などの組み合わせもある)。このGT4eの正式なブランドは「Iris Pro Graphics P580」で、72個のEUと128MBのeDRAM(グラフィックスメモリのキャッシュとして利用できるDRAM、パッケージ上に統合されている)が搭載されている。

 このため、サーバー上でGPUをGPGPU的に利用したり、いわゆる仮想GPUと呼ばれる、サーバー上で展開される仮想マシンからGPUを利用したりという使い方が可能になる。今回の基調講演では、このXeon E3-1500 v5を利用して、米ニューヨークにある有名なジャズバーの「BlueNote」から、360度撮影可能なカメラによるライブ映像をストリーミング配信するサーバーとして、Xeon E3-1500 v5を利用してデモした。なおXeon E3-1500 v5のSKUはIntelのARKサイトで公開されている。

 このほか、ブライアント氏は次世代の「Xeon Phi」や、FPGAを統合した「Xeon E5-2600 v4」の初期評価システムの出荷を明らかにし、5Gの普及ではEMS/ODMメーカーの鴻海精密工業(Foxconn)との提携を行なっていくことなどを明らかにした。

Xeon E3-1500 v5のパッケージ
Xeon E3-1500 v5の性能
ニューヨークのジャズバー「BlueNote」に設置された360度カメラを、リモートで操作してストリーミングするというデモ。その配信にXeon E3-1500 v5が利用されている
鴻海精密工業(Foxconn)の上級副社長兼クラウド・ネットワーク事業部CEOのファン・ミン・リュー氏(左)が登壇し、IntelとFoxconnが協力して5Gへの取り組みを進めると明らかにした。