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Samsung未発表のBGA型SSDやOEM向け超高速SSDなどが多数展示
~「2016 Samsung SSD Forum Japan」レポート
(2016/3/15 14:16)
日本サムスンが開催した「2016 Samsung SSD Forum Japan」は、その名の通り、SamsungのSSDに関するフォーラムで、経産省による基調講演や、Samsung製SSDの導入事例など紹介が行なわれた。講演については、別記事を見ていただきたいが、講演会場の外には、製品展示スペースが設けられており、数多くの製品が展示されていた。その中には、まだ未発表のSSD製品がいくつかあったので、こちらでまとめて紹介したい。
NVMe対応の第2世代製品「SM961」、「PM961」が展示される
最近のSSD業界のトレンドが、NVMe(Non-Volatile Memory Express)対応である。NVMeは、AHCIに代わるストレージデバイスのプロトロルであり、SSDの性能をフルに発揮できるように策定されたものだ。もちろん、インターフェイスの物理層の高速化も重要であり、高速SSDでは、SATA 6Gbpsの速度では足りないため、PCI ExpressをインターフェイスとするM.2やSATA Expressへの移行が始まっている。
Samsungは、2015年4月に業界に先駆けて、PCI ExpressとNVMeに対応したM.2 SSD「SM951」の量産を開始している。現在、数社からNVMe対応のM.2 SSDを搭載した高性能モバイルノートPCが登場しているが、そのほとんどが、Samsungの「SM951」か「PM951」を搭載している。
今回のフォーラムの展示会場では、SM951の後継製品である「SM961」と、PM951の後継製品である「PM961」が展示されていた。どちらもまだ正式発表されていない製品である。
SM961は、2bit MLCのSamsung V-NAND(以下、V-NAND)と新コントローラ「Polaris」を搭載したハイエンドモデルであり、容量は128GB/256GB/512GB/1TBの4モデルが用意される。シーケンシャルリードは最大3,200MB/sec、シーケンシャルライトは最大1,800MB/sec。ランダムアクセスも非常に高速で、4Kランダムリードが最大45万IOPS、4Kランダムライトが最大40万IOPSに達する。ちなみに、現行のSM951は、シーケンシャルリード最大2,260MB/sec、シーケンシャルライト最大1,600MB/sec、4Kランダムリードが最大30万IOPSであり、SM961ではリードが大幅に高速化されている。
一方のPM961は、3bit MLCのV-NANDと新コントローラ「Polaris」を搭載したメインストリーム向けモデルであり、容量は128GB/256GB/512GB/1TBの4モデルが用意される。シーケンシャルリードは最大3,000MB/sec、シーケンシャルライトは最大1,150MB/secと高速だ。ランダムアクセスも高速で、4Kランダムリードが最大36万IOPS、4Kランダムライトが最大28万IOPSである。2016年後半には、これらを搭載したノートPCなどが登場しそうだ。
SATA対応SSDの新製品「PM871a」、「CM871a」が登場
SATA対応SSDについても、未発表の新製品がいくつか展示されていた。「PM871a」は、SATA対応2.5インチフォームファクタのSSDで、3bit MLCのV-NANDと「MAIA」コントローラを搭載。容量は128GB/256GB/512GB/1TBの4モデルがあり、シーケンシャルリードは最大530MB/sec、シーケンシャルライトは最大515MB/secだが、一部の領域をSLCモードで利用し、キャッシュとして使うことで書き込みを高速化するターボライトを有効にすると最大526MB/secに向上する。4Kランダムリードは最大97,000IOPS、4Kランダムライトは最大88,000IOPSと高速だ。
また、「CM871a」は、V-NANDではなく、従来のプレーナ型3bit MLC NANDと「MAIA」コントローラを採用したエントリーモデルである。容量は128GB/256GBの2モデルがあり、シーケンシャルリードは最大535MB/sec、シーケンシャルライトは最大215MB/secだが、ターボライトを有効にすると最大515MB/secに向上する。4Kランダムリードは最大97,000IOPS、4Kランダムライトは最大59,000IOPSだが、ターボライトを有効にすると最大88,000IOPSに向上する。こちらはかなり低価格でOEM向けに出荷されるとのことで、エントリークラスのノートPCでも、SSD搭載機が増えてくることになりそうだ。
そのほか、既に発売されているリテール向け製品の「850 PRO」と「850 EVO」も展示されていた。850 EVOについては、現在販売されている製品は2TBまでだが、2016年後半には4TBモデルを投入する予定とのことだ。
世界初のBGA SSD「PM971」が展示
今回のフォーラムで展示されていた製品の中でも、特に興味を持った製品がBGA SSD「PM971」である。その名の通り、BGAパッケージ内にNANDフラッシュメモリ(3bit MLCのV-NAND)と新型コントローラの「Photon」、キャッシュ用DRAMを集積した製品だ。
一見ただのフラッシュメモリチップのように見えるが、それだけでSSDとして動作するため、M.2などと比べても遙かにコンパクトで、重量も軽い。容量は128GB/256GB/512GBの3モデルが用意され、シーケンシャルリードは最大1,500MB/sec、シーケンシャルライトは最大600MB/sec、4Kランダムリードは最大19万IOPS、4Kランダムライトは最大15万IOPSと、性能に関してもSATA SSDを大きく上回る。PM971は、一般的なモバイルノートPCよりもさらに薄型化や軽量化が求められるタブレットや2in1ノートPCを主なターゲットとした製品であり、2016年後半や2017年に登場する製品への搭載が期待できる。
USB接続の高性能ポータブルSSD「Portble SSD T3」
また、USB経由で接続するポータブルSSD「Portable SSD T3」(以下T3)も展示されていた。この製品は、2015年1月に発売された「Potable SSD T1」の後継製品で、フォーラム開催時点では国内未発表であった。T3の容量は250GB/500GB/1TB/2TBの4モデルが用意されており、本体にUSB 3.1 Type-Cポートを備えている(USB 3.1 Gen1対応なので速度はUSB 3.0相当)。シーケンシャルリード/ライトともに最大450MB/secであり、SATA対応SSDに迫る性能を誇る。
そのほか、Core i5+HDD搭載マシンとCore i3+SSD搭載マシンの性能比較デモも行なわれていた。
エンタープライズ/データセンター向けの新製品ではリード最大5,000MB/secを実現
エンタープライズ/データセンター向けSSDの新製品も多数展示されていた。NVMe対応の「PM1725」は、HHHLを採用しており、PCI Expres 3.0 x8インターフェイスに対応。3bit MLCのV-NANDを搭載し、容量は1.6TB/3.2TB/6.4TBの3モデルがある。シーケンシャルリード最大5,000MB/sec、シーケンシャルライトは最大1,800MB/sec、4Kランダムリードは最大100万IOPS、4Kランダムライトは最大12万IOPSと、桁違いの性能を誇る。
「SM1725」も、HHHLタイプの超高速SSDだが、こちらは2bit MLCのV-NANDを搭載。容量は1.6TB/3.2TBの2モデルがあり、シーケンシャルリードは最大3,000MB/sec、シーケンシャルライトは最大2,200MB/sec、4Kランダムリードは最大75万IOPS、4Kランダムライトは最大185,000IOPSであり、リード性能はPM1725の方が高いが、ライト性能はこちらの方が高い。特にライト性能を重視する用途向けの製品である。
NVMe対応2.5インチSSDの「PM963」は、PM953の後継製品で、3bit MLCのV-NANDを採用。容量は960GB/1.92TB/3.84TB/7.68TBの4モデルがあり、シーケンシャルリードは最大1,600MB/sec、シーケンシャルライトは最大1,200MB/sec、4Kランダムリードは最大38万IOPS、4Kランダムライトは最大35,000IOPSである。PM1725は、HHHLフォームファクタだけでなく、2.5インチフォームファクタのモデルも用意されており、そちらの容量は800GB/1.6TB/3.2TBの3モデル。シーケンシャルリードは最大3,100MB/sec、シーケンシャルライトは最大1,800MB/sec、4Kランダムリードは最大75万IOPS、4Kランダムライトは最大12万IOPSである。
エンタープライズ/データセンター向けSATA対応SSDやSAS対応SSDの展示も
エンタープライズ/データセンター向けのSATA対応製品やSAS対応製品も展示されていた。SATA対応2.5インチフォームファクタの「SM863」は、2bit MLCのV-NANDを採用しており、容量は120GB/240GB/480GB/960GB/1.92TB/3.84TBと、小容量ものから大容量のものまで幅広い。シーケンシャルリードは最大520MB/sec、シーケンシャルライトは最大485MB/sec、4Kランダムリードは最大97,000IOPS、4Kランダムライトは最大29,000IOPSである。
同じくSATA対応2.5インチフォームファクタの「PM863」は、3bit MLCのV-NANDを採用。こちらも容量は120GB/240GB/480GB/960GB/1.92TB/3.84TBの6モデルが用意されている。シーケンシャルリードは最大540MB/sec、シーケンシャルライトは最大480MB/sec、4Kランダムリードは最大97,000IOPS、4Kランダムライトは最大18,000IOPSである
SATAよりも高速なSAS対応2.5インチフォームファクタのSSDとしては、「SM1635」と「PM1633a」が展示されていた。SM1635は、2bit MLCのV-NANDを採用しており、容量は400GB/800GB/1.6TBの3モデル。シーケンシャルリードは最大1,490MB/sec、シーケンシャルライトは最大1,290MB/sec、4Kランダムリードは最大20万IOPS、4Kランダムライトは最大37,000IOPSである。
一方のPM1633aは、3bit MLCのV-NANDを採用。容量は480GB/960GB/1.92TB/3.84TBの4モデルで、シーケンシャルリードは最大1,400MB/sec、シーケンシャルライトは最大930MB/sec、4Kランダムリードは最大194,000IOPS、4Kランダムライトは最大41,000IOPS。
そのほか、DDR3メモリ+HDDシステムとDDR4メモリ+NVMe SSDシステムの性能と消費電力の比較デモも行なわれていた。両者はCPUの世代も違うので、その分も考慮する必要はあるが、DDR4メモリ+NVMe SSDシステムの性能は、DDR3メモリ+HDDシステムの160倍以上もあり、消費電力は約14%小さいという結果が出ていた。