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日本マイクロソフト、開発中の最新技術を披露

加治佐俊一氏

 日本マイクロソフト株式会社は29日、都内で「2015 Technology Update」と題された記者説明会を開催し、マイクロソフト ディベロップメント株式会社 代表取締役 社長 兼 日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 最高技術責任者の加治佐俊一氏が、マイクロソフトが現在取り組んでいる新技術について説明した。

 Microsoftは1975年に設立されてから、今年(2015年)で40周年を迎える。初代のCEOは言うまでもなくビル・ゲイツ氏であるのだが、2代目のスティーブ・バルマー氏(2000年~2014年)の時代を経て、現在のサティア・ナデラ氏は3代目となる。

 そのナデラ氏は現在、Microsoftという会社全体を大きく変革させようとており、新たな戦略を打ち出した。それは過去に囚われず、革新に向け、モバイルファーストとクラウドファーストに注力することである。それに伴い、研究開発を担う部門も組織変更を行ない、方針を転換させた。

 これまでは、3年を1つの区切りとして、3年以内で実現できる技術を開発するチームと、実現に3年以上かかりそうな技術を開発するチームを分けてきたが、2つのチーム間での人員の交流や、3年間という区切りを取り払い、開発サイクルを短くした。これにより、常に製品に最新技術を反映させるようにした。

 また、これまで“競合”と呼ばれてきた企業とのパートナーシップ、W3Cのようなオープンソースとの連携による規格の標準化、データセンターのプライバシーやセキュリティ、BingやXbox、Outlook.comでの機械学習、そしてマルチプラットフォーム対応などについても、研究開発の方向性として取り入れている。

Microsoftは設立から今年までで40週年を迎える
ナデラCEOの戦略
スライドで言う左側はこれまで3年以内の技術、右側は3年以降の技術を開発研究していたのだが、1年前より統合された
Microsoft Researchのミッション。ちなみに設立は1991年だ
Microsoftの開発モデルと方向性
技術革新のためにはオープンソースとの協業、ナチュラルUI、機械学習などが不可欠

 海外の研究開発チームでの成果としては、Kinect 2を使った手の細かな動きのキャプチャや、Windows 10用のVRヘッドマウント「HoloLens」などを挙げた。一方、国内のチームの研究成果としては、TV会議を一歩進めた「ViiBoard」と、マルチプラットフォーム向けにコンテンツが作成できる「Sway」をデモした。

 ViiBoardは、簡単に言ってしまえばKinect 2とタッチ対応の大型ディスプレイを組み合わせたTV会議システムである。Kinect 2で得られたユーザーの画像を背景から切り抜き、ホワイトボードの前に立っているような画像に合成。そしてタッチ対応TVに描いたコンテンツを、ホワイトボード上に合成する。

 視点を変えれば、あたかも透明なガラスを1枚挟んだ向こうの人と会話しているようなものとなり、ガラスの向こうに描かれたコンテンツが透けてこちらから見えるようになっている具合だ(ただし、鏡像となっており、きちんと文字が読めるようになっている)。つまり、ナチュラルなUIでTV会議を行なえるわけだ。

 一方でSwayは、簡単に言ってしまえばホームページ作成ツールなのだが、ユーザーは写真や文書を挿入してテンプレートを選ぶだけで、見栄えが良いインタラクティブ性に富んだコンテンツが作成できる。コンテンツはPCやスマートフォンに最適化して表示され、後からデザインをいくらでも変更できるのが特徴だ。

 Sway自体は既に発表/公開されており、英語版であれば日本からでも利用できるのだが、現在日本の開発チームでiOS向けのコンテンツ作成用アプリを制作しており、近日中に公開するとした。

Kinect 2を使った手の細かな動きのキャプチャ
HoloLensによる仮想現実
ViiBoardのデモ
1枚のガラスを挟んで、ガラスに文字を書いたような視点でコンテンツを共有できる
手書きデータのみならず、スキャンデータなどの共有も行なえる
Swayのホームページ
現在開発中のiPhone用アプリ。デモでは、発表会見の様子を編集していた
テーマを選んで適用する
適用したテーマはiPhoneのみならず、PCで表示した際もすぐに反映される

(劉 尭)