富士通、PC組立体験の新サービスを提供開始

8月9日 提供開始



 富士通株式会社は、自分のPCを組み立てながらハードウェアの基礎知識の習得を目指す「パソコン組立体験サービス」を提供する。

 主に親子やシニア層、初心者を対象にした、PCのハードウェアの基礎知識を得ることを主目的とするサービス。富士通は組み立てるPCのパーツ、必要な工具類、スタッフなどを提供し、3年間のメーカー保証を付ける。実際の組み立て教室などの開催は提携パートナーが行なう。

 夏休み恒例の富士通アイソテック、島根富士通での「パソコン組み立て教室」を、他の地域でも実施して欲しいという要望に応え、全国のパソコン教室や旅行代理店などのパートナーとともに順次開催する。

 最初のサービスとして、「旅の発見」(ティー・ゲート運営)の川崎工場の見学ツアーを8月9日に開催。その中で今回のサービスを使って、ノートPCを組み立てる。続いて8月25日にはアビバのパソコンスクール、秋にはグループのパソコン教室「富士通オープンカレッジ」(富士通ラーニングメディア主催)で順次開催予定。サービス提携先も募集し、順次開催する。

 今回のサービスでは、2004年から開催してきたパソコン組み立て教室のノウハウを活用。当面の対象が初心者ということもあり、断線の恐れがある難しい配線や細かい作業の多いマザーボードなどは組み込み済みの状態でユニット化。分かりやすいパーツ15点程度にまとめ、20~30工程程度で組み上がるように配慮されている。その行程で、各パーツがどのような役割かを説明しながら進められる。ハードウェアの基礎知識を学ぶことで、トラブルの原因を想像できるようにする目的もある。

 対象のPCは、15.6型ノート「LIFEBOOK AH」シリーズ、液晶一体型の「ESPRIMO FH」シリーズ、デスクトップPC「ESPRIMO DH」シリーズ、シニア向けの「らくらくパソコン」の4種類。直販モデルがベースで、主催者に合わせてスペックをカスタマイズできるほか、PC本体やマウスに名前を刻印するサービスも提供する。保証は通常1年だが、3年間のメーカー延長保証が受けられる。


富士通株式会社 パーソナルビジネス本部 リペアサービス統括部 シニアディレクター 中藤慶一郎氏

 同社は7月5日に本社で説明会を開催。今回のサービスの詳細を説明したほか、実際の組み立てのデモンストレーションを行なった。サービスの詳細は富士通株式会社 パーソナルビジネス本部 リペアサービス統括部 シニアディレクターの中藤慶一郎氏が説明した。

 サービス提供の背景として、PCに対してもっと知ってもらいたい、もっと身近な存在にしたい、もっと触れる環境を作りたいといった目標があり、その実現のために、富士通が持つインフラとして、自社開発の商品や国内生産、サポート体制などを活用し、ユーザー自身で組み立てるという新しい付加価値を提供していきたいとする。

 一般的にPCの組み立てに対するイメージは、知識が無く手を出しにくかったり、トラブルが不安といったものがあるとし、子供向けに行なってきたパソコン組み立て教室のノウハウを投入。組み立てたり知識を得ることの楽しさや、自分だけのPCを作ったという思い出、その上でメーカーサポートが受けられるという安心を提供したいという。中藤氏は「挫折しても困るので、万全のサポートを敷いていきたい」とした。

サービス提供の背景

 提供イメージとしては、富士通が組立キットや用具、スタッフ、告知などを担当し、パートナーが会場の提供や集客/申し込みなどを担当。パートナーとして、すでに予定のある旅行代理店やパソコン教室のほか、メディア(雑誌/Web等)、学校や自治体、地域コミュニティなどの発注も見込んでいるという。中藤氏は形態として「B to B to Cの形が多くなるイメージ」だとした。

提供イメージ8月9日より実際のサービスがスタート

 次に組立キットの構成を解説。国内生産ゆえに柔軟なキット構成が実現可能とし、例としてLIFEBOOK AHシリーズは15部品24工程、1.5~2時間程度で組み立てられる「初心者でも可能なレベルに設定した」という。一方で、「30部品60工程など複雑なものにもできる」とし、中級者以上に向けたキットも用意できるという。対象PCは、当面は先述の4機種だが、パーツの難易度も含めて、色々な機種や構成を提携先の需要に合わせて提供していく。

 富士通のスタッフは、10組程度の開催規模で、講師1名、技術スタッフ2名を想定。組み上がったPCについては、自分で作ったものがきちんと長く使えるのかといった不安を解消するため、専用の診断ツールを用意。また、組み立てたものをそのまま持ち帰ってもらいたいが、現状は工場に戻して不備が無いか調べ、故障などの不安が無いようにしてからユーザーへ届けるという。

初心者向けのLIFEBOOK AH組立キットは15部品24工程講師と技術スタッフを派遣専用診断ツール、3年保証を提供

 今回の新サービスによって、提携先や参加者の意見を取り入れつつ、さらに充実したサービスを形として提供していくとした。

 最後に、実際の組み立ての様子を披露。普段は事務をしていてPC内部のことはほとんど知らないという女性社員が、手首にアースバンドを着け、ACアダプタのDCケーブル、無線LANカードの取り付けを行なった。PC内部を見たのは「昨日が初めて」ということだが、講師の説明通りに進めきちんと取り付けられた。手順の説明書は島根富士通のパソコン組み立て教室で使われたプレゼンをベースにしたものとみられ、分かりやすく図解されているほか、要所でパーツの解説が加えられている。

静電気対策のアースケーブルとアースバンド装着の指示ネジはケースに区分けされ、色で分類している
液晶ユニットの取り付け図解吹き出しで各種パーツを解説
無線LANカードの取り付けページ無線LANカードの吹き出し解説差し込み方や止め方を図解
実際に未経験の女性社員が取り付け、ネジ止めしている様子

 なお、今回のサービスを使ったイベントの参加費用は主催者が決めるが、富士通側の価格としては、WEB MARTでのPC構成の価格とサービス料(台数、内容、場所により異なる)の合計になるとした。

会場に展示されたLIFEBOOK AHの組立キット一式ESPRIMO FHシリーズの組立キット

(2012年 7月 5日)

[Reported by 山田 幸治]