東芝、PCの2011年度出荷実績は1,900万台に
~2012年度は2桁の台数増も、利益は半減へ

5月8日 発表



 株式会社東芝は8日、2011年度(2011年4月~2012年3月)の連結業績を発表した。

 売上高は前年比4.7%減の6兆1,002億円、営業利益は14.0%減の2,066億円、税引前利益は22.1%減の1,524億円、当期純利益は46.5%減の737億円の減収減益になった。

 そのうちPC事業については、国内を中心に販売台数が増加したものの、急激な円高に起因する外貨換算調整の影響と、欧米での伸び悩みにより、売上高は前年比10%減の8,229億円。しかし、国内の増収に加えて、コスト削減施策の徹底、部材価格の低減効果などにより、営業利益は13億円増の114億円となった。

売上高6兆1,003億円、営業利益2,066億円の減収減益PC事業は円高の影響で減収、コスト削減や部材価格低減で営業利益は114億円

 2011年度のPC事業の出荷実績は1,900万台となり、前年並の実績となった。

 2012年度については、前年比10.5%増の2,100万台の出荷を見込むが、売上高は前年並の8,200億円、営業利益は56.1%減の50億円としている。

 販売台数が2桁成長するものの、売上高が横ばいとなり、営業利益が半減以下となるのは、引き続き為替の影響があるとみられるほか、世界的なPC価格の下落が見込まれるためだ。

 Ultrabookやタブレット端末の広がりも、薄型、軽量のノートPCを得意とする東芝にとって、付加価値モデルの構成比を減少させ、普及モデルの構成比を高める要因の1つといえ、これも収益性を悪化させる要因にもなりそうだ。


 一方、PCを含むデジタルプロダクツ部門は、売上高が13%減の1兆6,640億円、営業損失が571億円悪化のマイナス282億円の赤字となった。

 赤字の最大の要因は、液晶TVだ。

 東芝の久保誠代表執行役専務は、「液晶TV事業は、国内における想定以上の大幅な需要減、競争激化による価格下落の影響などにより大幅な減収となり、500億円程度の赤字となっている。新興国での成長を見込んだが、赤字を消すことはできなかった。国内では第3四半期(10~12月)は7割を超える落ち込み、第4四半期(1~3月)は市場以上に絞り込んだ影響もあり、7割近い落ち込みとなった。下期は7割を超える落ち込みだった」とし、「年間1,500万台としていた液晶TVの出荷計画には届かなかった」とした。

 2012年度については、「液晶TVは、コスト改善や市場ニーズにあったTVの投入に取り組む。インドやアジア市場向けにローカルフィットのパワーTVを投入しており、こうした製品で確実に利益を出していく」とするものの、「2012年度上期のTV事業は2桁程度(数10億円)単位の赤字が続く。下期にはブレイクイーブンに転じるとみているが、通期では赤字が残る」とした。

 また、「国内では、固定費、変動費のほか、オペレーションの手法、製品の出し方、損益管理について、大至急検討している段階である。この内容についてはまだ決まっていない」などとした。

 2012年度の液晶TVの出荷計画については、「2011年度が底になるとみており、1,600万台の出荷を目指す」と語った。

 2012年度のデジタルプロダクツ部門の売上高は3%増の1兆7,100億円、営業利益は432億円改善の150億円の黒字を目指す。

 この中には、IBMからの買収が決定し、東芝テックに統合するPOS事業の増加も含まれている。「正式契約のクロージング作業を行なっており、地域ごとに6月末、9月末という2段階での話しを進めている。売上高では600億円程度のプラスとなるが、利益での貢献は盛り込んでいない」という。


 2012年度の連結業績見通しについては、売上高が4.9%増の6兆4,000億円、営業利益が45.2%増の3,000億円、税引前利益は37.8%増の2,100億円、当期純利益は83.2%増の1,350億円の増収増益を目指す。

 2011年度は社会インフラ部門が、グローバル展開の加速の効果などにより増収。電子デバイスは部門は営業利益で902億円、社会インフラでは1,342億円の増益を達成したが、その一方で、営業利益において、東日本大震災で470億円、タイの洪水被害の影響で430億円のマイナスがあった。

 2012年度は、電子デバイス、社会インフラの売り上げ伸張が高く、損益ではTV事業の改善と、電子デバイスおよび社会インフラの伸張、家庭電器での100億円の営業利益獲得を目指す。

 2012年度のセグメント別業績見通しは、デジタルプロダクツ部門の売上高が3%増の1兆7,100億円、営業利益が432億円改善の150億円、電子デバイス部門の売上高が14%増の1兆6,400億円、営業利益が246億円増の1,000億円、社会インフラ部門の売上高が2兆6,000億円、営業利益が308億円増の1,650億円、家庭電器部門の売上高は11%増の6,400億円、営業利益が43億円増の100億円、その他部門の売上高が33%減の3,400億円、営業利益が77億円減の100億円とした。

2012年度の見通しセグメント別の見通し

(2012年 5月 9日)

[Reported by 大河原 克行]