情報処理技術遺産に世界初のラップトップPC「東芝 T1100」などを認定

東芝「T1100」

2月28日 発表



 一般社団法人情報処理学会は28日、第4回目となる情報処理技術遺産12件、分散コンピュータ博物館1件の認定を行なった。

 情報処理技術遺産の制度は、国内のコンピュータ技術発達史上、重要な研究開発成果や国民生活、経済、社会、文化などに顕著な影響を与えたコンピュータ技術や製品などの中で、現存する貴重な史料の保存を目的としている。

 今回は、東芝が1985年に製造した世界初のIBM PC互換ラップトップ「T1100」などが認定された。詳細は以下の通り。

情報処理技術遺産
認定リスト製造者製造年説明
東京大学生産技術研究所微分解析機(トルク増幅機などの構成部品)東京大学生産技術研究所1953~1955年東京大学生産技術研究所が開発し、当時世界最高水準の性能を実現した機械式微分解析機の構成部品
HIPAC MK-1日立製作所1957年日立における最初のデジタルコンピュータ。論理素子にパラメトロン、記憶装置に磁気ドラムが使用された
NEAC-1101日本電気1958年日本電気が開発した同社初のデジタルコンピュータ。日本で初めて浮動小数点演算方式を採用した
MELCOM 1101三菱電機1963年頃三菱電機の最初のデジタルコンピュータ。全回路トランジスタ化。主記憶に遅延線形磁気ドラムを使用
ASPET/71光学的文字読取装置東芝・電気試験所(現・産業技術総合研究所)1971年従来技術をはるかに凌駕した高性能光学的文字読取装置。産業技術総合研究所と東芝が共同開発
Busicom 141-PFビジコン1971年頃Intel 4004の開発のきっかけとなり、それを初めて搭載した電子式卓上計算機。プロセッサの開発ではビジコンも大きな役割を果たした
NEACシステム100日本電気1974年日本電気が1973年に発売した初期のオフィスコンピュータ。伝票処理、一括処理、オンライン処理を可能にした
LSIパッケージMB11K搭載のMCCボード富士通1976年世界初の全面LSI採用の超大型コンピュータモデルに用いられたLSIパッケージとその高密度実装ボード
オートテラーターミナルAT-20P沖電気工業1977年現金自動預払機。1971年に始まる金融機関向けオンライン自動取引機で、CDに替わる日本における本格的なATM時代の幕開けを担った装置
神戸大学Lispマシン FAST LISP神戸大学工学部システム工学科1978~1979年ビットスライスプロセッサ上に、マイクロプログラム化したLispインタプリタを載せ、1979年に神戸大学で開発された、我が国初のLispマシン
大阪大学EVLISマシン大阪大学工学部応用物理学第一講座1979~1982年Lispの並列処理を目的とするEVAL IIプロセッサを搭載し、1982年に大阪大学で開発されたLispマシンで、Prologやニューロ手続きの実行にも使われた
T1100東芝1985年世界初のIBM PC互換ラップトップPCを商品化。PCをいつでもどこでも使える身近なデバイスへと進化させ、現在のノートPC市場の創造に大きく貢献した。

分散コンピュータ博物館
NTT技術史料館(NTTの歴史的なコンピュータの展示エリア)MUSASINO-1B、DIPS-11/45など、NTTが開発した歴史的なコンピュータを展示

(2012年 2月 28日)

[Reported by 山田 幸治]