一般社団法人情報処理学会は28日、第4回目となる情報処理技術遺産12件、分散コンピュータ博物館1件の認定を行なった。
情報処理技術遺産の制度は、国内のコンピュータ技術発達史上、重要な研究開発成果や国民生活、経済、社会、文化などに顕著な影響を与えたコンピュータ技術や製品などの中で、現存する貴重な史料の保存を目的としている。
今回は、東芝が1985年に製造した世界初のIBM PC互換ラップトップ「T1100」などが認定された。詳細は以下の通り。
情報処理技術遺産 | |||
認定リスト | 製造者 | 製造年 | 説明 |
東京大学生産技術研究所微分解析機(トルク増幅機などの構成部品) | 東京大学生産技術研究所 | 1953~1955年 | 東京大学生産技術研究所が開発し、当時世界最高水準の性能を実現した機械式微分解析機の構成部品 |
HIPAC MK-1 | 日立製作所 | 1957年 | 日立における最初のデジタルコンピュータ。論理素子にパラメトロン、記憶装置に磁気ドラムが使用された |
NEAC-1101 | 日本電気 | 1958年 | 日本電気が開発した同社初のデジタルコンピュータ。日本で初めて浮動小数点演算方式を採用した |
MELCOM 1101 | 三菱電機 | 1963年頃 | 三菱電機の最初のデジタルコンピュータ。全回路トランジスタ化。主記憶に遅延線形磁気ドラムを使用 |
ASPET/71光学的文字読取装置 | 東芝・電気試験所(現・産業技術総合研究所) | 1971年 | 従来技術をはるかに凌駕した高性能光学的文字読取装置。産業技術総合研究所と東芝が共同開発 |
Busicom 141-PF | ビジコン | 1971年頃 | Intel 4004の開発のきっかけとなり、それを初めて搭載した電子式卓上計算機。プロセッサの開発ではビジコンも大きな役割を果たした |
NEACシステム100 | 日本電気 | 1974年 | 日本電気が1973年に発売した初期のオフィスコンピュータ。伝票処理、一括処理、オンライン処理を可能にした |
LSIパッケージMB11K搭載のMCCボード | 富士通 | 1976年 | 世界初の全面LSI採用の超大型コンピュータモデルに用いられたLSIパッケージとその高密度実装ボード |
オートテラーターミナルAT-20P | 沖電気工業 | 1977年 | 現金自動預払機。1971年に始まる金融機関向けオンライン自動取引機で、CDに替わる日本における本格的なATM時代の幕開けを担った装置 |
神戸大学Lispマシン FAST LISP | 神戸大学工学部システム工学科 | 1978~1979年 | ビットスライスプロセッサ上に、マイクロプログラム化したLispインタプリタを載せ、1979年に神戸大学で開発された、我が国初のLispマシン |
大阪大学EVLISマシン | 大阪大学工学部応用物理学第一講座 | 1979~1982年 | Lispの並列処理を目的とするEVAL IIプロセッサを搭載し、1982年に大阪大学で開発されたLispマシンで、Prologやニューロ手続きの実行にも使われた |
T1100 | 東芝 | 1985年 | 世界初のIBM PC互換ラップトップPCを商品化。PCをいつでもどこでも使える身近なデバイスへと進化させ、現在のノートPC市場の創造に大きく貢献した。 |
分散コンピュータ博物館 | |
NTT技術史料館(NTTの歴史的なコンピュータの展示エリア) | MUSASINO-1B、DIPS-11/45など、NTTが開発した歴史的なコンピュータを展示 |
(2012年 2月 28日)
[Reported by 山田 幸治]