パナソニック、神戸工場からLet'snote「CF-SX1」第1号機を出荷
~日本のビジネスマンの戦う武器に

神戸市にある神戸工場

2月8日 出荷



 パナソニックは2月8日、2月24日に発売する第4世代の新Let'snote「CF-SX1」および「CF-NX1」の出荷式を、Let'snoteの生産拠点であるAVCネットワークス社ITプロダクツビジネスユニット神戸工場で行なうとともに、内部の様子を公開した。

パナソニック AVCネットワークス社ITプロダクツビジネスユニットの原田秀昭ビジネスユニット長

 8日午後3時30分から行なわれた出荷式では、パナソニック AVCネットワークス社ITプロダクツビジネスユニットの原田秀昭ビジネスユニット長が挨拶。「素晴らしいスタートを切れた。Let'snoteの進化にさらに力を注いでいきたい」とした。

 また、パナソニックシステムソリューションズジャパンの岩佐次夫社長は、「神戸工場では、お客様の要望にすばやく対応することができ、法人向け販売を担当する我々も打って出ることができる。日本の企業はグローバルで外資系企業と戦っている。新たなLet'snoteを、日本のビジネスマンが世界で戦うための武器として提供していきたい」と挨拶した。

 CF-SX1およびCF-NX1は、数日前から生産が開始されており、同日午前に、幹部社員による出荷認定会議を行ない正式出荷を決定。午後3時30分過ぎに、全国の量販店やシステムインテグレータなどの倉庫に向けてトラックが出発した。24日から量販店店頭などで販売される。


Let'snote「CF-SX1」御輿で運ばれる出荷第1号機出荷第1号機を手にするパナソニック AVCネットワークス社ITプロダクツビジネスユニットの原田秀昭ビジネスユニット長(左)と、パナソニックシステムソリューションズジャパンの岩佐次夫社長
トラックに第1号機を積み込むトラックに積み込まれたLet'snote「CF-SX1」
走り出すLet'snote「CF-SX1」を搭載したトラック出荷式でのテープカットの様子
【動画】トラックが出発し、いよいよ出荷開始

●15周年を迎え第4世代へと進化

 Let'snoteシリーズは、発売から15周年を迎えており、CF-SX1およびCF-NX1は、その節目の年に、「第4世代への進化」を実現した製品と位置づけられている。

 第1世代では「軽量/長時間」。第2世代ではこれに「頑丈」のコンセプトを追加。さらに第3世代では、通常電圧版CPUを採用した「高性能」を実現。今回の第4世代では、「タフ」と「クリエイティブ」というコンセプトを追加した。

 CF-SX1およびCF-NX1は、クリエイティブモバイルと位置づけ、いずれも12.1型の液晶ディスプレイを搭載。天板には強度を維持しながら、薄型の新たなボンネット構造を採用することで、従来製品に比べて筐体を11.2mm薄型化しているのが特徴。SX1は、光学ドライブを内蔵した12.1型のノートPCとしては世界最軽量になるという。

 パナソニック AVCネットワークス社ITプロダクツビジネスユニットの原田秀昭ビジネスユニット長は、「お客様の困り事を解決するすることによって、Let'snoteは進化を遂げてきた。開発設計による差別化技術と、神戸工場のモノづくり技術の15年間の積み重ねが、現在のLet'snoteにつながっている。これからも国内でのモノづくりにはこだわっていきたい」と語る。

 パナソニックの2011年度のPCの出荷見通しは74万台、2012年度は2桁増の80万台以上を目指すという。

 「15周年という節目を迎えた2011年度に、過去最大規模の出荷台数となった」(原田ビジネスユニット長)という。

●法人ビジネスが65%占める
パナソニック ITプロダクツビジネスユニット国内営業グループの向坂紀彦グループマネージャー

 出荷式を前に、パナソニック ITプロダクツビジネスユニット国内営業グループの向坂紀彦グループマネージャーが、パナソニックのPC事業の方針について説明。「事業機会の明確化、一歩先行く商品、お客様とのパートナーシップによって、狙った市場において、ナンバーワンを目指すのが事業に対する基本的な姿勢」としたほか、「すべての職能の社員が、お客様の声を真摯に伺い、それに一体となって対応するのが当社の手法。こうした繰り返しにより、お客様とのパートナーシップの結果に、生まれたのが新たなCF-SX1である。国内販売においては、マーケティング機能重視のアンテナショップであるWeb販売は全体の5%、ユーザーの認知度向上およびブランドイメージ向上のための量販店店頭での販売が30%。残りの65%が法人向けの販売となっている。事業の軸足は企業向けビジネスであり、業種・業界を絞って、全国展開を進める」とした。

 また、「今後は日本・アジア地域への総合的ソリューションを提供する考えであり、海外市場でも国内と同様に、Let'snoteを使いたいというお客様の声に答えて、アジアモデルを展開する。クロスボーダーでのセールスおよびサポートを提供していくことになる」とした。


●PC生産から21年目を迎えた神戸工場
パナソニック ITプロダクツビジネスユニットプロダクトセンターの清水実所長

 神戸工場は、1990年6月、神戸市の西神工業団地内に、パーソナルコンピュータ事業部が取り扱っていたワープロ専用機の生産拠点として稼働。1991年8月には、PCの生産を開始し、今年でPCの生産では21年目を迎える。

 1995年の阪神・淡路大震災では神戸工場も影響を受ける一方、2001年にはビジネスモバイルに用途を絞り込んだ製品コンセプトへと一本化。Let'snoteおよびTOUGHBOOKの生産拠点として、年間70万台規模の生産を行なっている。


 神戸工場は、57,000平方mの敷地内に、27,000平方mの生産棟などを有し、マザーボードの実装から最終組立までを行なう数少ない国内一貫生産のPC生産拠点となっている。米国および欧州向けの量産を行なう台湾の生産拠点、米国および英国の各コンフィグレーション拠点の指令塔となる、同社PC事業のモノづくりの中核拠点であるとともに、国内、アジア向け製品の主力生産拠点となっている。

 また、国内の立地を生かした国内ユーザー向けの顧客直結サービス・サポートにも取り組んでいるのも特徴だ。

 パナソニック ITプロダクツビジネスユニットプロダクトセンターの清水実所長は、「神戸工場は、品質力、スピード力、対応力という領域において進化を遂げてきた。しかし、これからは一品一様のカスタマイズにも対応でき、お客様に直結する神戸工場を目指す。特定ユーザー向けの保守・運用サービス、導入後すぐに利用できる導入支援サービスを含め、商品ライフサイクル全般に対して、ソリューションを提供できる体制づくりを目指す」とした。

 1台からの注文に応じる多品種少量変量生産に対応。工場と直結する材料倉庫を設置し、必要に応じてタイムリーに部品を調達。さらにセル生産方式の採用も、日々の生産変動に柔軟に対応できるという。

 また、導入支援サービスは、届いたその日に開梱して、すぐに利用できるように、神戸工場で事前にネットワーク設定、アプリケーションソフトウェアのインストール、納入先の社員の1人1人の環境設定などを行なうもので、IT部門の作業の軽減し、生産性を高めることができるという。

 保守・運用サービスでは、神戸工場に専用保守窓口、環境復旧サービス窓口を用意。法人向けには、法人の営業日にあわせた対応を可能とするほか、到着翌日には修理返却するサービスを行なう。

 「これらで得られた品質情報などを量産工程、開発・設計、品質保証に反映させることで、次の1台から、次の新製品からフィードバックを図る」としている。

 では、神戸工場の様子を写真で見てみよう。


神戸工場で生産されているCF-SX1のマザーボードマザーボードの実装ラインの様子このラインでSX-1およびNX1用のマザーボードの実装が行なわれている
チップ部品の高速実装マシンボードに実装したあとには高温炉ではんだ付けを行なう表側の実装が終わったら、今度は裏面の実装ラインが続く
これまで手作業で行なっていた、ボード検査の基板着脱作業を自動化する機器。年間500万円のコスト削減効果があるというまだ手作業でのラインも残っている完成した基板。このあと組み立てラインに投入される
組み立てラインは、LCD組み立て、本体組み立て、完成検査で構成される天板および液晶部の生産工程の様子
完成した天板部分本体組み立てラインの様子完成検査を行なうライン
マイレッツ倶楽部によるカスタマイズ対応を行なうスペース。限定された人しか入れない導入支援サービスを行なう部屋。顧客ごとの仕様にする法人ごとにまとまった台数でのキッティングを行なっている
この中のサーバーからそれぞれのPCごとの設定情報が送られる完成した製品を梱包し、出荷する体制を整える完成したLet'snote
自動倉庫の様子。出荷前の状況だ26カ所の落下衝撃を試験できる落下衝撃試験機毎分1.8Lの水を360度から散水できる防水試験機
熱衝撃試験機。温度変化での耐久性を試験する磁波の測定を行なえる10m電波暗室部品単位での恒温恒湿室試験を行なう試験機。暑さと寒さでの耐久試験を行なう
複合振動試験機。自動車内を想定し、温度、湿度と振動を同時に試験する神戸工場内に設置されたコールセンター。特定顧客に対応する

(2012年 2月 9日)

[Reported by 大河原 克行]