日本マイクロソフト、夏商戦に向けた取り組みを紹介
~地デジ移行前の駆け込み需要や、Officeの活用を訴求

6月15日 開催



五十嵐章氏

 日本マイクロソフト株式会社は15日、報道関係者向けの定例説明会「マイクロソフト メディア エクスチェンジ」を開催し、コンシューマ向けの夏商戦に向けた取り組みを紹介した。

 冒頭では、執行役 ホーム&エンターテイメント事業本部 リテールビジネス事業部長の五十嵐章氏が、PC市場全体の動きを紹介。Windows 7が発売して以来、(ネットブックを含まない)スタンダードPC市場全体が対前年比で連続して成長しているほか、震災があった3月は落ち込んだものの、4月で回復基調に向かい、5月には対前年比24%増を示したことなどを挙げ、PC市場の好調さをアピールした。

 震災後、原子力発電所事故による電力不足が懸念される中、日本マイクロソフトはWindowsの設定変更による節電方法を紹介するWebサイトを立ち上げ、節電に関する冊子などを配布し、Windows 7用のパッチもリリースした。Webサイトへは75万のページビューがあり、パッチも8万ダウンロードがあったという。

 これらの活動により、新型のWindows 7 PCは従来のWindows XP PCより平均消費電力が低いということを消費者に訴求でき、日本マイクロソフトに寄せられる電話の問い合わせも増えたという。さらに、ピーシーデポでもPC新規購入者に日本マイクロソフトが配布している節電パッチを適用するサービスを行なうなど、ユーザーのWindows 7 PCへの買い替え需要の喚起意識が高まった。


Windows 7搭載PC市場の動きと、震災後のPC市場の動き震災後の日本マイクロソフトの取り組み

 夏商戦への取り組みだが、まずWindowsでは「やっぱり、いいね! Windows PC」というフレーズのもと展開していく。Windows PCを選ぶ理由として、地デジ搭載モデルが用意されていること、スレート型端末が用意されていること、スペックやカラーバリエーションなど、さまざまな製品が用意されていることの3つを挙げ訴求していく。

 一方で、震災後、家族や友人の大切さを感じたユーザーも多く、それに向け「シェア スマイル」のキャッチフレーズでキャンペーンを行なう。Office 2010では、カレンダーやTシャツ、うちわなど、家族で楽しめるグッズが制作できる。一方Windows Liveでは、家族や友人と写真やビデオを共有できる。そしてハードウェアでは、Webカメラを通して顔を見ながら会話コミュニケーションが楽しめることをユーザーに訴求する。

 シェア スマイルのキャンペーンに向けて、店頭のPCでイメージビデオを流す、Smileシールを配布するほか、Windows 7パッケージ版/Officeパッケージ版を購入すると21,000円相当、HD Webカメラを購入すると10,500円相当、Windows 7 PCを購入すると31,500円相当の体験カタログギフトをペアで各10組に抽選で当たるキャンペーンを実施する。

Windows 7 PC搭載の訴求は「やっぱり、いいね! Windows PC」Windows 7を利用するユーザーシナリオの視点で訴求シェア スマイルのシール。Windows Live Messengerの顔文字のキャラクターがベース
キャンペーン用にプロモーションビデオも制作したプロモーションビデオの1コマ。遠くに離れた家族間のコミュニケーションを紹介したものシェア スマイルキャンペーンの概要

 また、6月25日/26日は、JR新宿駅東口前(新宿ステーションスクエア)で、神原サリーさんなどを招いたトークショー、「TKO」、「ますだおかだ」などのお笑い芸人によるステージを開催する。開催時間は11時~18時。

 このほか、Webカメラである「LifeCam HD-5000」と、「同HD-3000」の2台をセットにし、さらにWindows Live Messenger用のイラストガイドを同梱した「LifeCam KIZUNA Pack」を7月1日に発売するとした。

 実施中のキャンペーンとしては、Windows 7のパッケージ版購入で3,000円~10,000円キャッシュバックするキャンペーン(6月26日まで)、Xbox 360のKinectゲームである「DANCE CENTRAL」の体験会などを挙げ、需要喚起や新規ユーザーの取り込みなどを狙うとした。

新宿で行なわれるイベントの内容Webカメラの2台セット
実施中のWindows 7のキャッシュバックキャンペーンKinectゲーム「DANCE CENTRAL」のキャラバン

●OfficeのプレインストールPCの訴求
宗像淳氏

 OfficeのプレインストールPCの夏商戦に向けた取り組みは、執行役 オフィスプレインストール事業統括本部長の宗像淳氏が説明した。

 同氏はまず、2012年度の家庭向けPC出荷の予測について挙げ、「人口あたりに換算すると、日本はカナダの約2分の1の市場でしかない。逆に言えば、日本はまだ約2倍、つまり仮に現在年間700万台の市場規模とすると、1,400万台のポテンシャルがあると言える。そのポテンシャルへの需要喚起をしたい」と述べた。

 日本が他国と比べて人口あたりの家庭向けPCの普及率が低い理由として、行政、および教育分野でIT化が遅れている問題を指摘しながらも、もっとも身近な課題では、PCによる利便性を家庭ユーザーに訴求しきれていない部分があるとし、この夏商戦で解決していきたいとした。

 具体的には、Officeのテンプレートサイトを充実させ、プリンタで制作できるさまざまなグッズを増やし、紹介するとともに、グッズに使われる用紙のメーカー製品情報へのリンクを行なうとした。

 また、6月11日から7月3日まで、全国11店舗でOffice 2010の使い方を紹介するデモイベントを開催し、PowerPoint 2010を使ったフォトムービーの作り方の紹介や、景品があたるじゃんけん大会を実施する。

他国と比較して日本のPC普及率は今ひとつOffice 2010の家庭での利用法を訴求テンプレートサイトの充実
店頭でのキャンペーンOffice 2010を利用して作られたグッズの一例

●地デジPCの取り組み
笠原健司氏

 地デジチューナを搭載したPC(以下地デジPC)のユーザーへの訴求について、WDLC事務局長でもある、コンシューマー&オンラインマーケティング統括本部 パートナー&マーケティングコミュニケーションズ本部 本部長の笠原健司氏が説明にあたった。

 過去を振り返ると、地デジPCは、2009年度には59万台出荷され、2010年度には105万台と約80%増となった。JEITAの予測によれば、2010年度の地デジPCは前年比10%増と予測されていたため、WDLCの活動により約40万~50万台の市場開拓に成功したと分析している。

 WDLC独自の調査でも、WDLCの活動により約380万人が地デジPCを購入する意向に変わり、このうちの12~13%前後が、実際に地デジPCを購入したという。逆算するとやはり40~50万台であり、日本マイクロソフトが中心だが、PCメーカー、量販店、TV局など、業界を超えた枠組みで活動しているからこそ実現できた数字だと評価した。

 量販店における具体的な取り組みとして、エディオンやケーズデンキで、新聞折込チラシ(数千万部単位)や、地デジPC専用コーナーの設置(エディオンで360店舗、ケーズデンキで300店舗)などを行なった。

 夏商戦では、地デジへの完全移行を控えているため、「乗り遅れには、十分ご注意ください」というキャッチフレーズを展開し、PC/TV/レコーダの1台3役による利便性を訴求。新聞折込チラシの配布(合計30万部)、駅貼りポスター(大阪10種類/新宿12種類)の展開、タッチ&トライイベントの実施も行なう。イベントは、7月2日/3日に大阪のなんばパークスキャニオンコート、7月9日/10日には新宿東口ステーションスクエアで行なうとした。

WDLCによって開拓した地デジPC市場エディオンとケーズデンキの店頭展開
最終駆け込み需要を喚起するキャッチフレーズWDLCが行なうタッチ&トライイベント

(2011年 6月 15日)

[Reported by 劉 尭]