ブラザーは17日、オフィス向けプリンタ/複合機「ジャスティオ」の新製品を発表した。これに合わせて都内で記者会見を開き、新製品の戦略や特徴などを紹介した。
なお、製品の詳細については関連記事を参照されたい。
ブラザー販売株式会社 代表取締役社長 片山俊介氏 |
発表会の冒頭では、ブラザー販売株式会社 代表取締役社長 片山俊介氏が挨拶。3月11日に発生した東日本大震災の影響について振り返り、「ブラザーへの直接の被害はないが、部品調達に多少が影響があった。しかしながら製品の供給には大きな問題が発生しないよう、今後も努力する」と語った。
ジャスティオというブランドについても触れ、「2007年以来立ち上げた新しいブランドではあるが、SOHO市場に好評であり、複合機については非常に高いシェアを得ている。今回の新製品は、従来からプリントボリュームを必要とする顧客の声を聞いて反映して開発したものであり、新製品の投入によりターゲット市場の拡大を目指す」とした。
また、震災の影響により、コスト削減や夏に向けた節電への要求は高まりつつある。「今回の新製品は低コスト、コンパクト、省電力でこれらのニーズに応えられる」とし、「不透明な経営環境が続く中、今後ともブラザーらしい製品の開発をしていきたい」と述べた。
●今回の主力はA3カラーインクジェット複合機
ブラザー販売株式会社 取締役 三島勉氏 |
続いて、ブラザー販売株式会社 取締役 三島勉氏が、新製品の特徴およびターゲットの市場について説明した。
片山氏はまず、A3カラー複合機の過去を振り返り、「2008年にジャスティオ初のA3カラーインクジェット複合機“MFC-6490CN/6890CN”を投入して以来、建築や不動産、教育分野などで多くの採用事例があり、A3カラー複合機として非常に高い評価を得て、これまでに合計7万台を販売した」と述べた。
その一方で、片山氏も述べたように、プリントボリュームを必要とするユーザーから、より高速なモデルが欲しいといった声が挙がってきており、今回の「MFC-J6710CDW」では従来のカバー層からやや上のレンジを狙うとした。
これまでのカバーレンジ | よりハイエンド市場を狙う同社の戦略 | 設計事務所での導入事例 |
工務店での導入事例 | 塾での導入事例 |
A3カラー複合機の売上推移 | 新製品の投入により新規領域を狙う |
また、利用ユーザー向けにアンケート調査したところ、コスト削減に対する意識があると答えたところが約9割あり、さらに東日本大震災以降では、節電対策も含めて特に強く意識するようになったという。調査時点では、震災地に近い関東のユーザーがもっとも意識が高いが、浜岡原子力発電所の停止により今後は西日本でもコスト削減に対する意識や電力不足に対する認識が高まるだろうとした。また、製品や使用方法を見直せば大きくコスト削減ができる機器は何か、という問いでは、PC本体に続いて、複写機やプリンタが挙げられ、ここでもMFC-J6710CDWの低コストをアピールできるとした。
コスト削減の意思調査 | 機器ごとのコスト削減効果 | ユーザーのニーズに応えられるMFC-J6910CDW |
まず、高速性については、カラー10ipm/モノクロ12ipmと従来機の2倍以上の速度を実現し、ハイボリュームの用途に応えた。一方コスト削減面では、自動両面印刷機能、ブラック約2.5倍/カラー約1.6倍の大容量インク(A4サイズ1枚あたりのインクコスト6.6円)、インク節約モードの搭載、インクジェットならではの低消費電力(コピー時でも約26W、年間電気代約749円)などの特徴を挙げ、ユーザーのニーズに真正面から応えたものであるとアピールした。
その一方でユーザビリティも改善。新たにストレート給排紙の対応により厚紙やラベル紙に対応し、利用シーンを増やした。また、ワンタッチダイヤルが従来の6件から16件、スキャン速度がカラーで約1.4倍/モノクロで約1.8倍、顔料系黒インクの採用で水に濡れてもにじみにくいといった特徴を紹介した。
これらの性能向上や機能向上、細部改善により、従来からやや上のレンジの市場をターゲットとし、MFC-J6710CDW単体で年間目標販売台数10万台を掲げた。
プリントエンジンの高速化 | コスト削減機能 |
ユーザビリティの向上 | 年間販売台数目標は10万台 |
●A4モノクロレーザー複合機やハイエンドの「ジャスティオ プロ」シリーズ
モノクロレーザー複合機については、「MFC-7460DN」、「DCP-7065DN」、「DCP-7060D」の3モデルを投入する。「A4モノクロレーザー複合機はブラザーが約50%のシェアを獲得している分野であるが、2011年以降も引き続き堅調な需要が見込まれる。今回の新製品では全機種で自動両面印刷機能に対応しながらも、高さを最高でも316mmに抑えられ、スタイリッシュな筐体を実現した。その一方で印刷速度を21ppmから26ppmに向上、スリープ時の消費電力を1.5W以下に抑えるなど、製品の基本性能の向上により競争力を高め、市場シェアの拡大を目指すとした。
堅調なモノクロ複合機市場 | これまでに投入した製品 | 新製品の特徴 |
また、今回新たにハイエンド向けの「ジャスティオ プロ」シリーズとして、「HL-4570CDWT」、「MFC-9970CDW」、「MFC-J6910CDW」の3モデルを投入。前2モデルで最大5年間の無償保証、後1モデルで最大3年間の無償保証をつけたほか、専用のサポートダイヤルを設け、ヘビーなユーザーに応えられるとした。こちらの年間販売台数目標は合計で約1万台という。
最後に三島氏は、「今回のラインナップ拡充により、多彩なニーズに応えられるようになり、今後さらなるシェアの拡大を目指す」と心意気を語った。
ハイエンド向けの「ジャスティオ プロ」シリーズ | 保証期間の延長や専用サポートダイヤルなどがウリ | ジャスティオ プロのラインナップ |
ジャスティオ プロシリーズの合計年間販売台数目標 | オフィス向けラインナップの充実 |
発表会では、CMのイメージキャラクターである松下奈緒さんも招かれ、トークショーが開かれた。ブラザーのCMに出演している女優としての松下さんだが、アーティストとしての実績もあり、ブラザーのCMのBGMも彼女が手がけている。
新製品について問われると松下さんは、「オフィスに置いても、コンパクトで場所をとらず、なおかつ性能に優れているジャスティオに私も魅了されました。今後もCMのキャラクターとして頑張っていき、ジャスティオとともに成長していきたい」などと語った。
(2011年 5月 17日)
[Reported by 劉 尭]