大塚商会は7日、「インテル vProテクノロジー体験DAY」を開催した。このイベントは、vProを搭載したPCと、対応ソリューションの展示、vProテクノロジー対応メーカーのワークショップなどを通じて、企業クライアントが抱える現在の問題点を、vProと対応製品がどのように解決するのかを紹介していくことを目的に開催された。
各メーカーが開発したソリューション、PCについては、各社の展示ブースとワークショップで展示された。現在の企業がクライアントに対してどんな問題を抱えているのかについては、フリーランスライターである山田祥平氏と、インテルのマーケティング本部エンタープライズ・プラットフォーム・マーケティング プロダクト・マーケティング・マネージャーの花村実氏が「インテルのvProテクノロジーが解決する5つの『困った』」というタイトルで解説した。
ゲストスピーカーとして講演を行なった山田祥平氏 | インテル花村実氏 |
まず、山田氏はvProについて「私の理解では、コンピュータの中にもう1台コンピュータが入っているようなものと理解している」とvProの構造について、私見を入れながら簡単に紹介した。
その上で、「vPro単体では何もできないのは、他のコンピュータと同じ。そこに本日紹介されているようなシステムインテグレーターの皆さんのテクノロジーが入って『困った』が解決される。各テクノロジーの詳細については、ワークショップや展示ブースを見てください」と説明した。
この後、花村マネージャーが登場。まず、第1番目の困ったとして、「ウイルス感染があとを絶たない」ことがあげられた。
山田氏は、「プロが細心の注意を払ってもウイルス感染を起こしてしまうケースがある。そんな問題にvProは何ができますか?」と質問。すると花村氏が、「vProはファームウェアレベルでネットワークを遮断するので、物理的に線を外すのと同様のことができる。OSの上のレベルに外部からはアンタッチャブルな世界ができあがっている」とvProの構造的な特徴を説明した。
それを受け山田氏は、「先ほど、コンピュータの中にもう1台コンピュータが入っているようなものとvProを紹介したが、その中に入っているコンピュータは絶対にウイルス感染はしないと思っていいですか?」と念押しで花村氏に質問。すると花村氏が、「大丈夫です! 万が一、ウイルス感染するような事態になっても、復旧できます」とウイルス被害にも強いvProの特徴をアピールした。
さらに対応ソリューションとして、日立製作所の「JP1」、シマンテックのソリューションが会場に展示されていることが紹介された。
山田祥平氏がゲストとして登場したワークショップのメインタイトル | 第1番目の困ったはウイルス対策 |
vProはウイルスによって起こる困ったをこのように解決する | 対応ソリューションの紹介 |
2番目の「困った」として挙がったのは、「社内に散在するPCを把握するのが大変」。これについて山田氏が、「企業を取材している際によく耳にするのが、東京にあったはずのPCが大阪にあった、社員の自宅にあったといった管理の難しさ」と企業の実態を明らかにした。花村氏は、「人の手では難しい管理も、vProと対応ソリューションを使うと簡単にできる」と対応ソリューションの利用が有効であると説明した。対応ソリューションとしては、クォリティ、エムオーテックス、シマンテック、Skyの製品が会場に展示された。
2つ目の困ったは企業内に散財するPCの管理 | vProはPC管理を次のように実現 | PC管理を実現する対応ソリューション |
3番目の困ったは、「障害対応のために割く時間と手間が膨大」という問題。「問題がどこで起こったのかを確認する際にも、クライアントの台数、設置場所が拡大すればするほど、人の手で怪しいところを片っ端から調べていくには無理が生じる」と山田氏がPCの利用台数拡大により、問題が掌握しにくくなっていることを指摘した。それに対し、花村氏はvProのリモート診断機能、BIOS設定やOSリカバリが可能な点を説明した。
さらに、「インテルのアクティブ・マネジメント・テクノロジーに対応したソリューションを利用すれば、ブルースクリーン状態になっていても対応できる。サーバー向けにはそういうソリューションがあったが、クライアント用にもそういうソリューションが登場している」と問題により細かく対応できるソリューションが登場していると話した。
対応ソリューションとしては、エムオーテックス、シマンテック、クォリティ、Skyの製品が展示された。
3つ目の困ったは障害対策 | vProが実現する障害宅際 | 障害対策対応ソリューション |
ブルースクリーン状態のPCのリモート操作も実現するソリューションを展示したエムオーテックスのブース | vProを活用したリモート電源制御や瞬間復元、ディスクイメージ配信などの機能を持つ富士通の「瞬快」の展示ブース |
4番目の困ったは、「PCが持ち出せない」。情報漏洩の観点からPCの社外持ち出しを禁止する企業が増えているが、「仕事の能率も下がり、正確な最新データをもとにお客様を説得したい営業マンなどには非常に暮らしにくい世の中になった」と山田氏は指摘した。
それに対し花村氏は、「対応ソリューションを利用することで、電源がオフの状態のPCを自宅など社外から操作したり、1台のPCを仕事、プライベートそれぞれ別のOSで利用したり、オフラインでシンクライアントを利用できる」と説明。
それを聞いた山田氏は、「シンクライアントはオフラインになると、全く使い物にならなくなってしまう。そうした問題をリカバーできるのは大きなプラス」と話した。
実際のシンクライアントソリューションとしてはシトリックス・システムズ・ジャパンの「XenDesktop」、データ消去ができるソリューションとしてワンビ、リモートデスクトップとして日立ビジネスの製品などが展示された。
4つ目の困ったはPCの持ち出し禁止を行なう企業が増えている問題について | vProが持っているPCを外に持ち出す際の問題を軽減する機能 | PCを持ち出した場合でも適切な管理を実現するvPro対応ソリューション |
5番目の困ったは、「電源オフではバックアップできないし、業務時間内にはネットワークに負荷がかかる」という問題。最近ではエコの観点からPCを使わない時間は電源をオフにすることが当たり前になってきているが、それが支障となってバックアップなどの作業が夜間に行なえなくなっている。
この問題に対し、「vProは電源オフ状態のPCを自動的に起動しバックアップできる、夜間や休日などトラフックの少ない時に作業を行なうので、ネットワークの負荷をなくす」という特徴があると花村氏が説明した。
それを聞いた山田氏が、「遠隔地から電源をオンするまでに、どれくらい時間がかかりますか?」と花村氏に質問すると、「ネットワーク速度にもよりますが、2~3秒でできるのでは」という答えが返ってきた。
さらに、「TCOの削減という観点からすると、どれくらいの効果がありますか?」と山田氏は質問。花村氏は、「信州大学医学部で、1,500台のPCを導入され、彼らの試算では2,000万円のコスト削減効果があったということです。15カ月ほどで、新規PC導入コストも回収できる見込みです」と答えた。
対応ソリューションとしては、シマンテック製品などが展示された。
(2010年 9月 8日)
[Reported by 三浦 優子]