ブルースター株式会社は、米PC PitstopのPCチューニングサービス「PC Matic」の説明会を開催した。2月にライセンス販売を開始しているソフトウェアで、今後の機能強化などが明らかにされた。
価格は1年間(365日)制で、5台のPCで利用できる1ライセンスが4,980円、10台のPCで利用できる2ライセンスが9,980円、50台のPCで利用できる10ライセンスが59,800円。1年後にライセンスを再購入する必要がある。また、1年以内に1ライセンスから2ライセンスや10ライセンスにアップグレードした場合、利用期限はアップグレード日より1年間となる。近日中に店頭パッケージ版も販売され、価格は5,980円。
PC Maticは、Javaで作られたクラウドベースのPCチューニングサービス。小容量のクライアントソフトをPCにインストールし、そこからインターネットにアクセスすることで、ディスクの断片化分析や不要レジストリエントリーの削除、アドウェア/ウイルスの検出、不要なファイルの分析、PCのスペック報告、およびドライバの更新の有無の確認などができ、これらを修正することでPCを最適化してくれる。
ソフトウェアはすべてサーバー側のプログラムで行なわれ、クライアント側はInternet ExplorerとJavaのエンジンを利用してレンダリング/実行する仕組み。そのため、ほかの同類のソフトと比較して、システムリソースを消費しない、プログラムの更新を必要としないなどのメリットが得られる。
また、データベースは常に更新されるため、ユーザーは常に最適化されたPCが利用できる。さらに、1ライセンスで5台までインストールできるため、同一のライセンスでログインすれば、1画面にほかのPCのスキャン状況が表示され、一元管理できる。
なお、現時点ではウイルスとアドウェアのスキャンは手動で実行する必要があるため、マイクロソフトの「Security Essentials」との併用を推奨しているが、8月末から9月に行なわれるアップデートで、ウイルスのリアルタイムスキャン機能を追加する予定。よってセキュリティ管理ソフトも一本化できるとしている。
ホーム画面 | PCの速度に関わる項目のスキャン中 | ディスクの断片化も分析する |
ドライバの更新の有無を自動的にチェックしてくれる | ウイルスやトロイの木馬などの検出機能も備える | スキャンの結果画面 |
●口コミ効果でフリーミアムを広める
11日に行なわれた記者会見では、米国から来日したPC Pitstop 最高執行責任者(COO)のKeith Linden氏が、新製品の特徴を説明。PC Maticはあたかもクライアントソフトのように見えるが、実はクラウドベースのサービスであり、そのためPCのリソースを消費しないことを強調した。
提供形態に関しては、「ユーザーがスキャンするだけなら無料、自動的に修復する機能を利用したいなら、その時に購入していただく“フリーミアム”のビジネスモデルを採用。それによって、さまざまなパートナーと提携して提供できる」ことをアピール。また、マーケティングについては、欧州や日本、ブラジルで展開しており、米国ではTV CMも上映されているとした。
Keith Linden氏 | 海外や日本でのマーケティング | クラウドベースのアプリケーション |
あたかもローカルにあるアプリケーションのように見える | サーバー側でプログラムが更新されるため、ローカルにおける更新は不要。また、そのため年間契約としている | フリーミアムのビジネスモデル |
坂本光正氏 |
日本国内における展開について、ブルースター株式会社 代表取締役社長 坂本光正氏は、「量販店に行くと、PCソフトの売り場が年々縮小していくことがわかる。それを打開できるのがフリーミアムのビジネスモデルではないか」と説明した。
特に、クラウドベースのソフトウェアに関しては、フリーミアムのビジネスモデルが最も多いとする。その引き合いにIP電話ソフト「Skype」やファイル転送サービス「Dropbox」を紹介し、「SkypeではPC同士で話すのは無料だが、電話に掛けるユーザーは料金を支払う。また、Dropboxも2GBまでなら無料だが、それ以上の大容量のファイルを共有する場合は有料というように、コアなユーザーのみが支えていくビジネスモデルである」とし、PC Maticも同様の展開を行なうとした。
一方で、クラウドサービスはユーザー間の「口コミ」で広げていく必要があることを強調。「Skypeは当然1人では話せないので、友人を誘う必要がある。Dropboxも、友人を1人招待するたびに、250MBの容量が追加される。PC Maticについても、5台のPCを管理できるライセンスを提供することで、いつもPCのメンテナンスを頼まれる知人や友人のPCを管理するといったことができる」と述べた。
同様にフリーミアムでの展開が期待できるソフトとしては、財務会計、法人/個人向けセキュリティソフト、契約書管理ソリューション、オフィスソフト、翻訳ソフトなどを挙げた。
これまでのパッケージソフトとSaaS(Software as a Service) | フリーミアムのビジネスモデルでは口コミでの展開が必要 |
アフィリエイトや広告などでの展開では、ライセンス販売に結びついた場合は販売数に応じた報酬を広告主が受けられる | 今後予想されるフリーミアムで展開されるソフトウェア |
PC Maticの日本での展開としては、ブルースターが行なうライセンス販売のほかに、グリーンハウスのUSBメモリにプリインストールされている。将来的にPC Maticの割引クーポンが添付する商品での展開を図る。ユーザーへのアピールは店頭ポスターのほか、Webの広告バナーなどを用意した。
8月末以降に対応予定のリアルタイムスキャン機能についても、競合他社と真正面からぶつけるのではなく、共存できるようにする、ライセンスが切れたらそのままPC Maticの機能に移行してもらうなど、横からの展開をしていきたいとした。
また、キャンペーンとして、8月31日まで、女性が中心の製品モニター/レビューコミュニティ「モニプラ」と連携。PC Maticをモニターしてもらい、レビューをブログとTwitterで公開し、そこからPC Maticのサイトへもっともアクセスが多かった参加者に、日本HPの「Pavilion Notebook PC dv6i/CT」をプレゼントする。
USBメモリ製品へのプリインストール | 店頭ポスターやWebバナーでの広告展開 |
ほかのセキュリティソフトとは真正面ではなく、横から切り込む | モニプラと連携したキャンペーン |
(2010年 8月 11日)
[Reported by 劉 尭]