デル株式会社は、最薄部16.5mmのビジネス向けCULV(Consumer Ultra Low Voltage) CPU搭載ノートPC「Vostro V13」を発売した。
本体サイズが330×230×16.5~19.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量が約1.59kgの薄型/軽量ノート。CPUはCeleron 743(1.20GHz)またはCore 2 Solo SU3500(1.40GHz)を搭載し、性能と低価格化の両立を図った。
本体はアルミニウムボディと、亜鉛強化のヒンジを採用し、ビジネス用途における耐久性を重視。また、BTOで暗号化機能付きHDDやセキュリティチップの搭載などを選択可能で、ビジネスにおけるセキュリティ性を確保した。
ベーシック構成は、CPUにCeleron 743、メモリ2GB(DDR3)、Intel GS45 Expressチップセット(ビデオ機能内蔵)、250GB HDD(5,400rpm)、1,366×768ドット表示対応13.3型ワイド液晶、OSにWindows Vista Home Basicを搭載し、価格は53,980円。
おすすめ構成は、上記からCPUをCore 2 Solo SU3500、HDDを320GB(7,200rpm)、OSをWindows 7 Professionalに変更し、価格は69,980円。
インターフェイスは、ExpressCard/34スロット、5in1カードリーダ、USB 2.0×2(うち1基はeSATA共有)、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g対応無線LAN、130万画素Webカメラ、音声入出力などを備える。
バッテリは6セルリチウムイオンで、駆動時間は約4時間30分。
12月18日より、新発売のキャンペーンも実施予定で、同社にメール登録したユーザーを中心に、ベーシック構成を49,980円で提供する案内を送付する。
発表会で展示されたVostro V13 | 本体左側面 | 本体背面にミニD-Sub15ピンやUSB 2.0、USB 2.0/eSATAコンボポート、Gigabit Ethernetなどを装備 |
本体右側面はExpressCard/34スロットと5in1カードリーダ | キーボード。写真は英語配列だが、実際には日本語配列になる | 本体正面 |
天板はアルミニウムで高級感がある | 本体底面もアルミニウム製 |
●SMBに最適化された構成
原田洋次氏 |
20日に都内で開かれた記者発表会では、同社 スモール&ミディアムビジネス マーケティング本部 本部長の原田洋次氏が挨拶。同氏はまず、Vostroシリーズの位置づけを紹介し、「Inspironが個人、Latitudeが500名以上の大企業にフォーカスしているのに対し、Vostroは初期導入費用を重視する、1~500名のSMB(中小企業)に最適化された製品である」とした。
このクラスでは、IT管理者がいない、または通常業務を兼任しているような企業が数多く存在し、メーカー側のサポートに頼ることが多くなる。また、会社で使うPCを家に持ち帰って使うといったユーセージもあるため、セキュリティも必要とされる。そして一番重視されるのは初期投資費用であるとし、Vostroが向いているという。
大企業向けのLatitudeとの比較としては、3年~5年を目処にした継続供給を重視したパーツ構成のLatitudeに対し、Vostroでは最新技術をいち早く投入し、製品のサイクルが短い。また、Latitudeでは管理性を重視したBIOSや、3年間長期保証と一部製品におけるコンプリートケア、IT部門向けのサポート提供であるのに対し、VostroはシンプルなBIOS、1年の製品保証とオプションの追加保証、エンドユーザー向けのサポート提供となっている。
しかし、従来のVostroシリーズは、デスクトップの代わりに使う用途を実現した一方で、モバイル性能が弱く、外出先や、家に持ち帰って使うといったユーセージには応えられなかった。そこで、今回V13の投入によって、初期導入費用を抑えたリアルモバイルを実現し、Vostroシリーズにおいて初めて、これらのニーズに応えられるようになるとした。
SMBユーザーの声 | LatitudeやInspironとの位置づけの比較 |
LatitudeとVostroの特徴比較 | 薄さをアピールする原田氏 |
製品を紹介した、同社 スモール&ミディアムビジネス マーケティング本部ブランドチーム シニアマネージャーの伊田聡輔氏は、「V13は過去にコンシューマ向けに発売したAdamoのノウハウを投入して開発され、アルミニウムボディを採用することで高い堅牢性を実現した。オフィスアプリケーションを外出先で使う際にも十分な性能を持ち、Vostroシリーズで初めて、モバイルユーザーの立場に立って考え、作った製品である」と述べた。
また、10日より、同社はVostroシリーズ全製品向けに、オンラインで暗号化したデータをバックアップするサービスを開始。2GBまでは無償で提供し、追加料金で5GB/10GB/20GBといった容量にアップグレードできる。同氏はこのサービスも合わせて提供することで、モバイルユースにおけるデータ紛失を防げるとアピールした。
伊田聡輔氏 | Vostroの特徴 |
V13の主な仕様 | 他のVostroシリーズとの比較 |
質疑応答では、なぜCore 2 Duoなどを採用しなかったかという質問がなされ、伊田氏は、「1つはLatitudeとの差別化を図るため、そしてもう1つはVostroが初期導入費用に最適化された構成であるため」と答えた。
(2009年 12月 10日)
[Reported by 劉 尭]