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デル、世界初の4K搭載12型2in1「New XPS 12」の実機を展示

~第4四半期は量販店好調、今後も直販より量販店を重視

キックスタンド付きカバーのFolioスリムキーボードを採用した「New XPS 12 2-in-1」

 デル株式会社は9日、コンシューマ向け新製品説明会を開催し、今年(2016年)1月に日本国内で販売を開始した「New XPS 12 2-in-1」と、本日発表のエントリーノート「New Inspiron 11 3000」および小型デスクトップPC「Inspiron マイクロデスクトップ」の概要説明などを行なった。

 仕様等に関しては別記事を参照していただき(XPS 12の記事へのリンクInspironの記事へのリンク)、ここでは説明会の模様とそれぞれの機種の実機写真を紹介する。

コンシューマ市場が好調だった2015年第4四半期、量販店が大きく牽引

デル株式会社の執行役員 ビジネス&コンシューマー事業統括本部 ジェネラル・マネージャーの原田洋次氏

 説明会では最初に、デル株式会社の執行役員 ビジネス&コンシューマー事業統括本部 ジェネラル・マネージャーの原田洋次氏が登壇し、コンシューマ事業の現状やこれからの見通しについて説明した。

 原田氏は、2015年の第4四半期は市場的には厳しい時期だったが、デルではコンシューマ事業が好調だったと述べ、国内PCの販売台数は-10%縮小したものの、前年比で販売台数が1.5倍に、シェアは2.8ポイント伸びたことを伝えた。特に量販店での実績が前年同期比で2倍になり、取り扱い店数が1.5倍に増えたことが今回の好調の理由であるという。

 量販店での成長があった背景について原田氏は、コンシューマ向け製品のラインナップをWeb直販よりも拡充するという、これまでの直販重視から量販店重視へと比重を移すことによって達成できたと分析。結果的に量販店での取り扱い店数が増え、前年度(2014年)と比較するとノートPCは1.7倍と、今まで以上に売れたと語った。

 また、こうした好調の裏には3つの要因があったと述べ、前述の量販店向けラインナップの拡充のほかに、社内体制の増強と販促活動の強化を挙げた。

 前者については、製品開発部門や他国リテール部門との連携を強化し、外勤の営業とマーケティングの専任者を追加、中国やインドなどではリテール/コンシューマ部門のシェアが伸び続けているとのことで、他国の量販店向けの体制を参考にしたという。後者については棚作り、広告、店舗回り、イベント開催など、デリバリ部隊も設け、量販店向けに包括的に戦略を練った。

 原田氏は「1年前から話し続けてきた結果が第4四半期で出せた」と今期の内容に満足した様子で、直販では既に3割のシェアを持っており、現状は量販店優先で製品を展開していく構えを見せた。

前年比で販売台数が1.5倍、シェアが2.8ポイントに伸長
量販店事業成長の要因として、社内体制の増強、量販店向けラインナップの拡充、販促活動の強化を挙げる

メインストリームに2in1を投入、エントリーモデルも拡充

デル株式会社 クライアント製品&ソリューション マーケティング本部 本部長の田中源太郎氏

 続いて、デル株式会社 クライアント製品&ソリューション マーケティング本部 本部長の田中源太郎氏が登壇し、「New XPS 12 2-in-1」、New Inspiron 11 3000」、「Inspiron マイクロデスクトップ」の3製品説明を行なった。

 デルでは、製品ラインナップを写真・動画編集、マルチユース、上質・洗練、デイリーユース、ゲーミングの5つの使い方で提案しており、今回は「上質・洗練」のNew XPS 12 2-in-1、「デイリーユース」のNew Inspiron 11 3000」と「Inspiron マイクロデスクトップ」が追加されることになる。

 田中氏は、メインストリーム向けのXPSシリーズのノートPC販売台数が前年同期比で2.8倍伸びており、XPSシリーズの新しいデザインと機能がユーザーに広く受け入れられたとし、今回はこういった要素を取り入れつつ、世界初となる4K着脱式の2in1「New XPS 12 2-in-1」を投入したと述べた。

デルの製品ラインナップは、写真・動画編集、マルチユース、上質・洗練、デイリーユース、ゲーミングの5つの使い方を想定して展開している
XPSシリーズのノートPCは前年同期比で2.8倍も販売台数が伸びた

 田中氏はNew XPS 12 2-in-1は4K(3,840×2,160ドット)の解像度も注目すべきところだが、IGZOパネルを採用し、400cd/平方mという高輝度液晶となっていることも重要な点とし、光沢液晶でも屋外での視認性が悪化しないようになっていると説明。クラムシェルよりも可搬性が要求される2in1という性格を配慮しての実装となっているようだ。

 また、既に発表済みのNew XPS 13やNew XPS 15などと同様に、堅牢性を重視した筐体となっていることも挙げ、液晶部分は通常のガラスよりも8倍の強度を備えたCorning Gorilla Glass NBTを採用しており、表面にゴミや砂が付いても簡単には傷が付かなくなっていることをアピールした。それに加え、筐体の素材にはマグネシウム合金とカーボンファイバーが使われており、剛性を増すための施策も怠っていないとする。12型のタブレットのみで重量は約790gと軽量ではないが、堅牢性を重視していたずらに軽量化はしていないという。

New XPS 12 2-in-1は、世界初という4Kディスプレイ採用の2in1
Thunderbolt 3(USB Type-C)を装備。ワコム製のスタイラスペンをオプションで用意する
CES 2016にてイノベーションアワードを受賞した

 ほかのXPSと違い、着脱式のカバー兼キーボードの「Folioスリムキーボード」を備えていることも特徴とするが、海外ではこれ以外にもキックスタンドを使わないマグネティックキーボードも展開されている。このことについて田中氏に質問すると、日本市場を検討した上で、今回は「Folioスリムキーボード」のみを投入としたとの回答が得られた。そのため、国内ではオプションなどで販売することもなく、実質入手は困難である。

 キックスタンド式は膝の上で使う場合に著しく操作性を損なうことから、クラムシェルのように使える立てかけタイプのキーボードスタンドも必要と思えるが、XPSのクラムシェルには11.6型相当のフットプリントのXPS 13があることから、XPS 12との食い合いを避けたのかもしれない。なお、田中氏によると、日本では15型がもっとも売れているそうで、2in1はまだまだ普及が進んでおらず、あまり大きな売上を望めないとの判断のようだ。

 なお、先日発表された法人向けの「Latitude 12 7000シリーズ 2-in-1」ではXPS 12と同じくカバーキーボードを備えるが、立てかけ可能なタイプのキーボードも用意している。これらがXPS 12に使えるか聞いたところ、利用できる可能性はあるそうだが「もちろん保証はされません」と釘を刺された。

 この後は、11型ノートの「New Inspiron 11 3000」とNUCのような小型デスクトップPC「Inspiron マイクロデスクトップ」について説明が行なわれた。

 前述の通り、詳細は別記事に譲るが、New Inspiron 11 3000はエントリー向けながら、128GBの容量を備えたSSD搭載の上位モデルを用意しており、これは日本では他国に比べてMicrosoft Officeのインストール率が極めて高い状況などから、それなりの容量で高速性を要求する日本ユーザーのニーズに応えられるモデルとして日本向けに用意したそうだ。なお、下位モデルは32GBのeMMCとなっており、両社に大きな差があることが分かる。一方の「Inspiron マイクロデスクトップ」については、DisplayPortとHDMIポートを備えており、この大きさでデュアルディスプレイ環境を構築可能な点や、4基のUSBポートを備えている点をアピールした。

New Inspiron 11 3000。11型のエントリーノート
本体色はホワイトとレッドの2色展開
Inspiron マイクロデスクトップ
DisplayPortとHDMIポートを備え、デュアルディスプレイを構築可能

 田中氏は製品説明の後で、量販店向けモデルと直販モデルの違いについて説明。量販店モデルでは通常の「ベーシックサポート」ではなく、「プロサポート」が付帯することを述べ、24時間365日繋がる専用窓口の用意、修理依頼の翌日には引取が行なわれるオンサイト保守、セットアップの支援や、メジャーなもの限定でのサードパーティ製アプリのサポートなどを利用でき、手厚い支援を受けられることを訴求。冒頭に登壇した原田氏と同じく、量販店へと注力する姿勢が窺えた。

量販店モデルでは「プロサポート」を受けられる
2月9日から3月31日までInpiron、XPS、ALIENWARE購入者向けに最大10万円キャッシュバックのキャンペーンも実施している
1等はJCBギフトカードの10万円分。5名に抽選で提供する

実機写真

 以下、会場に展示されていた3機種の実機写真を掲載している。

「New XPS 12 2-in-1」

「New XPS 12 2-in-1」
左側面
右側面
キーボード正面。英語キーボード版は現時点では用意する予定がないとのこと
背面
キックスタンドは無段階調節可能
キックスタンド最大傾斜時
カバーとキーボードを兼ねる「Folioスリムキーボード」
タブレットは引き抜くのではなく、前に傾ければ外れる
カバーのみの状態
タブレットを装着して折りたたんだ状態
カバー装着時の左側面
カバー装着時の右側面
カバー装着時の天面
カバー装着時の底面
タブレット
左側面。左から、ボリューム調整ボタン、microSDカード用スロットのカバー、USB Type-C/Thunderbolt 3ポート×2、ACアダプタ用ポート
microSDカード用のカバーはこのように外れる
右側面。左はセキュリティロック用のスロットと思われる。右端は電源ボタン
天面には何もない
底面には接続用の端子のみ
背面
カバーを付けた状態でもWebカメラが使えるようになっている
カバーにはオプションのスタイラスペンを納めるためのゴムバンドが付いている
カバーの素材は布のように手触りが良い
カバーを開いた状態
キックスタンド部分のヒンジは90度まで曲がった
ヒンジ部のアップ
付属のUSB Type-C→USB Type-A変換アダプタ
USB Type-C側
USB Type-A側
ケーブルは柔らかくよく曲がる

New Inspiron 11 3000

「New Inspiron 11 3000」(ホワイトモデル)
左側面
右側面
正面
天面
底面
ディスプレイはここまで傾けることが可能
ヒンジ部
ヒンジ部のアップ
電源ボタンは右に配置
閉じた状態でも片手で開きやすいように少し隙間が設けられている
隙間に指を差し込める
ただし、このまま片指のみで開こうとすると底面が浮いてしまう
左はレッドモデル

Inspiron マイクロデスクトップ

「Inspiron マイクロデスクトップ」
正面
左側面。USBポートを2基配置
右側面。インターフェイスはない
背面
底面
DisplayPortとHDMI出力を備えており、本機のみでデュアルディスプレイを構築できる

(中村 真司)