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2016年、PC市場は10%以上の成長が見込まれる!?

〜JCSSA、新春セミナーでハードメーカー9社が事業戦略を披露

約600人が参加した恒例の新春セミナー。今年は社団化20周年を迎えた

 一般社団法人日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)は、2016年1月25日、東京・内幸町の帝国ホテルで、「平成28年新春特別セミナー」を開催。ハードメーカー9社による「2016年 わが社の製品・販売戦略」と題して、各社の事業戦略について説明した。

 毎年恒例となっているセミナーだが、日本ヒューレット・パッカードが昨年(2015年)8月に分社化したことで、昨年の8社から1社増えて、今年は9社が登壇。さらに、ソニーマーケティングの講演中に、VAIOが登壇して、10社が登壇することになった。会場には、システムインクデレータやITディーラーなどの幹部のほか、ハードメーカーやソフトウェアメーカーなどIT業界関係者約600人以上が参加した。

日立製作所 情報・通信システムグループ 情報・通信システム社ITプラットフォーム事業本部プロダクト統括本部の中野俊夫副統括本部長

 講演の口火を切ったのは、日立製作所。同社情報・通信システムグループ 情報・通信システム社ITプラットフォーム事業本部プロダクト統括本部の中野俊夫副統括本部長は、日立が取り組む社会イノベーション事業の概要に触れながら、「ITが使われるべき領域はまだまだある。ロジスティクスやファイナンス分野でも、ITを活用することで、新たな価値を提供することができる。これが2016年に花を開こうとしている。そのためには、異業種同士が結びつきあい、オープンイノベーションが必要である。地方創生においては、NTTとの協業により、IoTを活用。地域情報提供や見守り支援では、テレビ朝日やUR都市機構とともに、地デジを活用したサービスを開始し、そこから新たなビジネスが生まれている。日立製作所は、みなさんと一緒になって、社会イノベーション事業を推進し、同時にビッグデータの成果をみなさんの事業インフラに活用したいと考えている」などとした。

日立製作所のプレゼンテーション資料

 ソニーマーケティング 法人営業本部の佐藤倫明本部長は、「ソニーは、AV総合メーカーの強みを活かして、PC、タブレットをはじめとするモバイルデバイスのほか、映像機器、ビジュアルネットワークシステムを提供している」とし、法人向けBRAVIAとして、ビジネス分野向けの液晶TVを用意していること、CMOSイメージセンサーの最大のメーカーである強みを生かしたネットワークカメラに強みを持つことなどを強調。また、ビデオ会議システムとして、近日中に、16拠点を結ぶことができるマルチコミュニケーションユニット「PCS-MCS1」を投入することを示した。

 また、VAIOの花里隆志執行役員が登壇。「昨年発売したVAIO S11は、SIMフリー版を提供し、現時点で注文に供給が追いつかない状態となっている。早急にキャッチアップしているところである。また、Windows 10 Mobileを搭載したスマートフォンを、まもなく紹介できる日がやってくる。新たなWindowsの世界を提案したい」と語った。

ソニーマーケティング 法人営業本部の佐藤倫明本部長
VAIOの花里隆志執行役員
ソニーマーケティングおよびVAIOのプレゼンテーション資料
レノボ・ジャパンの安田稔執行役員専務

 レノボ・ジャパンの安田稔執行役員専務は、「2015年第4四半期における、世界のPC市場でのレノボのシェアは、21.4%となっている。また、サーバービジネスも順調にリカバリーしており、第2四半期は前四半期に比べて9%増の伸びをみせている」とする一方、「国内PC市場においては、第3四半期には9.7%のシェアを獲得。過去最高のシェアとなっており、第4四半期には10%のシェアをオーバーする予定である」などと述べた。

 また、レノボは、2020年に向けて、日本のIT活用力を世界の最高レベルに引き上げることを目指していることを示す一方、CES 2016において発表したX1シリーズを近日投入するとコメント。「タブレットにプロジェクトターをアタッチメントできる機能も用意している。楽しみにして欲しい」とした。また、国内サーバー事業も順調に回復しており、「国内では第4四半期において、5.5%のシェアにまできている。2016年は、ハイパーコンバージドシステムに注力。その第1弾として、今週、Lenovo Converged HXシリーズを発表する」ことも明らかにした。

 「昨年は、『がんばります宣言』だったが、今年は、『勝ちます宣言』を打ち出し、コスト競争力をさらに高める。今年は、さらに事業を加速したい」と述べた。

レノボ・ジャパンのプレゼンテーション資料

 NECの石井正則執行役員は、「IoT時代が訪れ、ビジネスやサービスが新たなものに変わっている。現実の世界のデータを集め、それを、AIと組み合わせることで、新たなビジネスを作り上げることができる」としたほか、マイナンバー制度においては、個人番号カードの配布時のなりすまし対策に同社の技術を活用。さらに、PCには、NeoFace Monitorを標準で搭載することで、スピーディーで、セキュアな顔認証を実現している例などをあげた。「NECは、顔認証技術や、画像処理技術で高い実績を持つ。これらの技術を活用することで、さまざまなビジネスへと展開でき、困り事を解決できる。マイナンバーについても、お客様が導入しやすいマイナンバー安心セットを用意している。困り事を一緒になって解決したい」などと述べた。

NECの石井正則執行役員
NECのプレゼンテーション資料
日本マイクロソフト 業務執行役員 パートナーセールス統括本部・佐藤恭平統括本部長

 日本マイクロソフト 業務執行役員 パートナーセールス統括本部・佐藤恭平統括本部長は、「日本マイクロソフトは、革新的で、親しみやすく、安心して、喜んで、使っていただけるクラウド、デバイスを提供する会社を目指している。そして、2015年はプロダクティビティ&ビジネスプロセス、インテリジェントクラウド、Windows 10による新たなパーソナルコンピューティングという、3つの観点から取り組みを行なってきた。これまで競合だと思っていた企業ともパートナーシップも進めてきた1年であり、これがクラウド時代のパートナーシップであると感じている。新たなマイクロソフトの序章が始まった1年であった」などとした。

 また、「2016年については、クラウドビジネスを加速し、Windows 10デバイスの拡大を図る。2年後には、日本法人の売上高の50%以上をクラウドとし、Windowsデバイスのタッチポイントをますます増やしていく」と述べた。製品面では、Office 365、Microsoft Azure、Windows 10搭載デバイスの拡大などに取り組むという。さらに、SQL Server 2005のサポート終了を4月12日に迎えること、2月4日からSurface Bookを発売すること、さらには、マイクロソフトが日本でビジネスを開始してから30年になること、日本マイクロソフトに社名変更してから5年を経過した年であることを示した。

日本マイクロソフトのプレゼンテーション資料
日本ヒューレット・パッカード エンタープライズパートナー営業統括の西村淳常務執行役員

 日本ヒューレット・パッカード エンタープライズパートナー営業統括の西村淳常務執行役員は、昨年8月に分社化したことを説明。「会社名が紛らわしくてご迷惑をおかけしている」と切り出した後、同社の基本戦略について説明。「New Style of Businessを新たなメッセージとして、ハイブリッド・インフラへの変革、デジタルエンタープライズの保護、データ指向経営の推進、ワークプレイス生産性の向上の4つの分野に力を注いでいる。エンドユーザーが持つ課題に向き合う形で、事例などを紹介していきたい。当社が提供しているのは要素技術。ここにいるパートナーとともにソリューションを提供したい。きらりとひかる力を持つソリューションプロバイダーやISVと、販売力を持つが、もうひとつ売り上げを伸ばしたいという販売店を結ぶ、IT EcoSystemをぜひ活用してもらいたい。これまでの約2年間で、IT EcoSystem Forumを、全国で74回開催。今年も30回開催する予定である。日本ヒューレット・パッカードは、85%がパートナービジネスによる売り上げである。分社しても、パートナーと一緒にビジネスを加速していくことは変わらない」などと述べた。

日本ヒューレット・パッカードのプレゼンテーション資料
日本HP パートナー営業統括の平松進也常務執行役員

 日本HP パートナー営業統括の平松進也常務執行役員は、「2016年は、ICTが新たな時代に入りつつある。クライアント/サーバーから、クライアント/クラウド時代に移り、デバイスの役割も変化してくる。その中で、規模はほぼ同じだが、まったく使命が異なる2つの会社に分社化した。日本HPは、モビリティ製品にフォーカスをしていくことになる。アクセスをするためのデバイスは、より薄く、より軽くが大前提になるが、HPは、そこが決して得意ではなかった。だがこれからは、どのメーカーよりも薄く、軽くを目指す」とした。また、プリンティング事業においては、明確な方向性を持って取り組むとコメント。さらに、「ヒューレット・パッカードは創業から75年目を迎える。2016年は新創業の年であり、新たな歴史を創造していくが、変わらないのはパートナーとともに、ビジネスを大きくしていく点である」と語った。

日本HPのプレゼンテーション資料
東芝 パーソナル&クライアントソリューション社の覚道清文カンパニー社長

 東芝 パーソナル&クライアントソリューション社の覚道清文カンパニー社長は、「昨年は当社の不適切会計においてご迷惑をおかけした」と陳謝。「PC事業は、4月から新会社として発足する。末永くお付き合いをいただきたい」と切り出した。また、「IoT時代から、いまでは全てのものがつながるIoE(Internet of Everything)の時代に入ってきた。その一方で、東芝が、世界初のラップトップPCを発売してから30年を経過した。長年培ってきた技術で課題を解決し続けてきたのが東芝である。手書きタブレットのdynaPad S92は、紙のように薄く、軽く、紙にペンで書くような書き心地を実現している。これも東芝の長年の技術によって実現したものであり、PCやタブレットだけでなく、IoT分野に幅広く活用していく」とした。そのほか、仮想デスクトップ対応シンクライアント「TZCS」や、運転データを分析することができる安全運転支援ソリューションについても説明。「TZCSは大変お待たせしているが、上半期にはなんとか提供できるだろう」などとした。

東芝のプレゼンテーション資料
富士通 執行役員 パーソナルビジネス本部の竹田弘康本部長

 富士通 執行役員 パーソナルビジネス本部の竹田弘康本部長は、「デバイスが、さまざまなシーンで活用されており、同時にセキュリティに対する備えに対する期待も高まっている。フロントエンドデバイスに求められる価値を実現し、いつでもどこでも安心に利用していただけるようにするのが富士通の基本姿勢。静脈認証、光彩認証などの富士通が培った技術を活用して、ヒューマンセントリックの視点で課題を解決していく。さらに、ワークスタイルを変革するためのタブレットを用意する一方、文教市場に最適化したタブレットを新たに投入した。教育分野には、2012年からタブレットを投入してきたが、そのノウハウを活用した製品。日本の学習机は小さいことから、落ちにくい構造、落ちても壊れない構造、そして、校外学習や体育館の授業でも十分活用できるタブレットを提供していく」とした。

 さらに、2月1日付けでPC事業を分社化し、新たに設立する富士通クライアントコンピューティング株式会社の社長に就任する富士通の齋藤邦彰執行役員常務が挨拶。「新たな会社の挨拶としては少し早いが」と前置きしながら、「社名になぜ、PCやパソコンという名前が入らないないのかという指摘もいただいたが、1つは、海外事業において、クライアントコンピューティングという名称を使用していたのと同時に、あらゆる場所で発生し、必要されるコンピューティングの全てを、この会社が賄うという意思が込められている。ゲートウェイやエッジコンピューティングもその進化系としてやっていきたい。そして、現在のPCの機能についても、しっかりと進化させていく。自前の開発設計、メイド・イン・ジャパンもやっていく。ますます、みなさんのお役に立つことをやりたい」と語った。

富士通のプレゼンテーション資料
齋藤邦彰執行役員常務
富士通クライアントコンピューティング株式会社の概要

 各社の講演が終わった後には、ここ数年恒例となっている同協会・セミナー委員会の窪田大介委員長(=リコージャパン専務執行役員)による公開質問が行なわれた。事前に用意された質問に加えて、事前に用意されていないどっきり質問も用意されており、9社の代表は、質問に対して、それぞれ○と×の札を上げた。事業が該当しない企業は、その質問には札を上げないこととなった。

 「2016年のPC事業の販売計画は前年比10%以上の成長を見込んでいる」との質問には、7社が○。WindowsのOEM先である他社に配慮したのか、あるいはSurfaceをPCと捉えなかったのか、日本マイクロソフトだけが×。「タブレットの出荷計画は前年比で50%以上を見込んでいる」との質問には該当する8社全てが○と回答した。OfficeのプリインストールPCを継続して販売していくとしたのは、日立製作所を除く7社。日本マイクロソフトも、「クラウドに最適化した形でインストールモデルを提供していく」とした。

 「オンプレミスサーバーでは、前年比10%以上の成長を見込んでいる」との質問には、該当する6社全てが○とし、クラウド時代においても、オンプレミス需要が根強いことを指摘。「オンプレミスストレージは、前年比30%以上の成長を見込んでいる」という質問にも6社全てが○を上げた。

 「自社の事業計画に、IoTという言葉が入っている」、「IoT関連事業では30%以上の成長を見込んでいる」という質問は、9社全てが○とした。

 また、自社の提供するクラウドサービスが成長すると回答した企業は4社、パブリッククラウドサービスの方が成長すると回答した企業は2社だった。

 ここから微妙な質問がいくつか盛り込まれた。

 東芝、富士通、ソニーの3社限定での質問として、「昨年、新聞報道などで、業界再編の報道がされているが、はっきり言って迷惑だった」という問いには、富士通、ソニーの2社が○。東芝は、○と×の両方上げてみせた。

 「直販比率が高いデルが、いよいよパートナービジネスにもコミットしたきた。2016年はデルに対抗するパートナー向け対策をしっかり出したい」という設問には、7社が○の札を上げた。

講演の後に行なわれた公開質問。○と×の札を上げた

(大河原 克行)