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2016年のRadeonは、HDR表示/低フレームレートFreeSync/DP 1.3に対応

SDRとHDRの表現力の違い

 米AMDは、2016年以降、Radeonに取り入れる新技術/仕様についての情報を公開した。

HDR対応

 1点目はHDR対応。HDRとはHigh Dynamic Rangeのことで、より幅の広い輝度を意味する。既存の一般的なディスプレイ(SDR: Standard Dynamic Rangeと呼ばれる)は0.1~250cd/平方m程度(2,500:1)のコントラスト比までしか対応できないが、HDR対応ディスプレイはLEDローカルディミングや有機LEDバックライトにより、0.005~10,000cd/平方m(200万:1)という非常に高いコントラストに対応しており、明暗差が激しい画像/映像でも黒つぶれや白飛びしない絵を実現できる。

 HDRについては、TVの方で先行して採用が進んでおり、HDR対応の4K TVやBDコンテンツが登場し始めている。一方、PC業界では対応ディスプレイは2016年下半期より登場の見込みとなっているが、HDRの実現にはディスプレイだけでなくGPUの対応(演算ではなく表示)も必要となる。

 こういった状況を受けAMDでは、現行のRadeon R9 300シリーズについて、2016年にゲームでのHDRに対応させる。現在、ゲームエンジンもHDR対応への取り組みを進めており、2160p(4K)/30Hz/10bitカラーでの表示が可能となる。また、2016年登場の新GPUでは、BDなどの映像コンテンツについてもHDR表示に対応させる。

RadeonでのHDRへの対応予定

FreeSyncでの低フレームレートやHDMI対応

 AMDのFreeSyncは、GPUから出力される映像のフレームレートとディスプレイのリフレッシュレートを自動的に同期させることで、かくつきやテアリングを防止し、より円滑な表示が可能となる技術。NVIDIAも同様のG-SYNC技術を投入しているが、FreeSyncは、ディスプレイの規格策定団体であるVESAのAdaptive-Syncに取り込まれていることなどから、対応ディスプレイはG-SYNCの2倍程度あるという。

 しかし、FreeSyncを使っても、ディスプレイがサポートする最低リフレッシュレート以下にまでフレームレートが下がると、かくつきやテアリングが発生してしまう。そこで、AMDはFreeSyncに低フレームレート補償アルゴリズムを追加する。これによって、フレームレートが最低リフレッシュレートをある程度下回っても、テアリングやかくつきが発生しなくなると言う。

 この技術は、Lenovoが近く投入予定であるFreeSync対応ノートに実装される。

ASUSnoMG279Qは35~90Hzまでの対応だが、低フレームレート補償技術により、フレームレートが20fpsを切ってもFreeSyncが効き続ける

 また、AMDは2016年第1四半期を目処に、HDMI経由でのFreeSyncの対応も行なう。これまで、FreeSyncはDisplayPortのみで対応可能となっていたが、AMDではHDMIの規格内でベンダー固有の拡張を利用することで、HDMIでもFreeSync対応を実現する。すでに、Acer、LG、Samsungといったディスプレイメーカーが、HDMI FreeSyncへの対応を表明している。

ディスプレイメーカー各社がHDMI FreeSyncに対応予定

 ●DisplayPort 1.3へも早期に対応

 このほかAMDは、DisplayPort 1.3規格への対応も進めており、2016年にモバイル向けで始めて同規格に対応するGPUを投入予定という。

 DisplayPort 1.3では、4Kでの4:4:4フォーマットでの120Hz表示や、シングルケーブルでの4:4:4 5K 60Hzなどが可能になる。

2016年にもモバイルGPUをDisplayPort 1.3へ対応させる
DisplayPort 1.3により、5K 60Hzもシングルケーブルで実現可能に

(若杉 紀彦)