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ピクセラ、4K/60fps撮影対応の全天球カメラを国内発売

~配信サービスやアプリ開発提供でAR/VR事業へ参入

「Sphericam 2」

 株式会社ピクセラは、米Sphericamと同社の全天球カメラ「Sphericam 2」を国内販売する業務提携を結んだと発表した。

 都内で開かれた説明会では上記の業務提携ほか、ピクセラのAR/VR事業についての説明が行なわれた。

 Sphericam 2は、Kickstarterでおよそ45万ドル(10月28日)を集めている全天球カメラで、およそテニスボール大の大きさとなる、直径77mmの多面体デザインのアルマイト加工筐体に、45mm間隔で6個のカメラを搭載する。

 カメラ1つあたりの最大解像度は1,280×960ドットで、ステッチパノラマ解像度は4,096×2,048ドットの4K。動画撮影時の最大秒間フレーム数は60fpsで、データ形式はmotion JPEG(Cinema DNGに変換可能)。秒間フレーム数は30fpsとなるが、ライブストリーミング機能も備える。

 インターフェイスはWi-Fi、microSDカードスロット×6、USB Type-C、RS422。

 バッテリ容量は2,499mAhで、録画時間は60~90分。重量は約440g。

 現在国内発売に向け、技適などの各認証を得るため動いており、発売予定日は2016年第2四半期頃(4月~6月)を予定しているという。価格は未定だが、米国での販売価格の2,000ドル+αを目指したいとのことだった。

Sphericam ファウンダ兼CEO Jeffrey Martin氏
Sphericam2はVRでの使用を目的に数年間掛けて開発
テニスボール大のサイズで4K/60fpsで録画できる全天球カメラはSphericam 2だけとアピール
ビデオ通話で説明会に参加した同氏が手に持っているのは、Sphericam 2の試作品とテニスボール
Sphericam 2 - The 360 Video Camera

 ピクセラのAR/VR事業参入については、現在の「PC関連事業」、「ホームAV事業」、「AVソフトウェア事業」の3つの既存事業に加え、Oakキャピタルからの出資により、“今後成長が見込まれる分野”として「IoT事業」、「翻訳事業」、「AR/VR事業」へ展開していくという。

既存事業に加えて3つの新たな事業へ参入
AR/VR市場は、2020年に全世界で18兆円規模になるという予測

 今回のSphericamとの提携はAR/VR事業の展開の1つであり、そのほかにAR/VRコンテンツの管理および配信、アプリケーションの開発と再生機器の販売を行なっていくとした。

 具体的には、全天球カメラで撮影した映像をH.265へ変換、配信サーバで提供するというもの。さらにマルチプラットフォームでの再生をサポートできるよう、各デバイス向けにアプリケーション(プレイヤー)の開発までを含めたサービスを提供していくという。

AR/VR事業での展開
事業全体図

 まずは「パノラマVR配信システム」として、賃貸住宅を扱う不動産業者や、旅行雑誌などに向けたシステムを構築する。住宅や旅行先などを全天球カメラで撮影し、コンテンツを作成。配信サーバーにアクセスできるQRコードを発行し、チラシなどの紙媒体へ載せることで、スマートフォンからコンテンツサーバーへアクセスし、実際にその場に居るかのように体験できる“新しい広告”を作れるとした。なお、同サービスの体験アプリを年内に公開する予定とのことで、公開後も撮影先のロケーションを増やすなど内容を拡充していく予定だという。

 さらに前述のSphericam 2に搭載されたライブストリーミング機能を活用し、「パノラマVRライブ配信システム」も提供するとした。スポーツ中継や音楽ライブなどでの使用を想定しており、オーケストラのように楽器単位で配置が異なり、音声に指向性のある場合などの没入感を高めるため、バーチャル3Dサラウンド技術と組み合わせての提供も検討しているという。

「パノラマVR配信システム」
「パノラマVRライブ配信システム」

 そのほか、ゲーミングPCのケースデザインがそぐわない環境でVRヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」を設置したい場合などを想定した、オーディオ機器をイメージしたというケースを採用するPCも発売予定であるほか、全天球カメラやPC、HMDなどの各種機材のレンタルも行なっていく予定であるとした。

「パノラマVR PC」。記載の製品仕様は暫定とのこと
展示機
パノラマVR配信システムのデモ。撮影機材はSphericam 2ではなくGoProを複数台連結したものとのこと
スマートフォンを上に向けると空が映る
背後の様子
足下も写っている

(佐藤 岳大)