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AMD、4K対応の組み込み向けSoC「Merlin Falcon」を発表

~4K VR/H.265 4Kデコード/HSA 1.0などをサポート

AMDは組み込み市場向けSoC「Merlin Falcon」を発表。Merlin Falconとはハヤブサ科の「コチョウゲンボウ」を指すようだ

 AMDは21日(現地時間)、組み込み向けSoCのAMD Rシリーズとして、最新世代の「Merlin Falcon」を発表した。昨年(2014年)の5月にリリースした「Bald Eagle」に次ぐSoCで、3種のAPUと2種のCPU(GPU機能なし)のラインナップから成る。

 主にデジタルサイネージ、医療イメージング、ゲーム機器、通信ネットワーク市場などに向けた製品で、4K動画のハードウェア再生支援機能や、CPUとGPUの異種混合コンピューティングを実現するHSA(Heterogenous System Architecture) 1.0などをサポート。CPUにはx86互換で64bitアーキテクチャのExcavatorコア、GPU機能には第3世代のGCNアーキテクチャが搭載される。

Merlin FalconのAPUシリーズ
製品名RX-421BDRX-418BDRX-216GD
CPUコア数442
CPUクロック2.1~3.4GHz1.8~3.2GHz1.6~3GHz
L2キャッシュ2MB2MB1MB
GPUユニット数864
GPUクロック800MHz800MHz800MHz
対応メモリDDR4-2400
DDR3-2133
DDR4-2400
DDR3-2133
DDR4-1600
DDR3-1600
TDP12~35W12~35W12~15W
RadeonブランドR7R6R5
Merlin FalconのCPUシリーズ
製品名RX-421NDRX-216TD
CPUコア数42
CPUクロック2.1~3.4GHz1.6~3GHz
L2キャッシュ2MB1MB
対応メモリDDR4-2400
DDR3-2133
DDR4-1600
DDR3-1600
TDP12~35W12~15W

 Bald Eagleとの違いは、South Bridge機能の統合によってシングルチップ化されたこと、Excavatorコアの採用によりIPC(Instruction Per Cycle)が増加、第3世代のGCNを実装、DDR4に対応、HSA 1.0サポート、H.265(HEVC)によるフル4Kデコード、DirectX 12サポートなど多岐に渡る。

Merlin Falconのブロックダイアグラム
前世代のBald Eagleからチップセットがなくなった分、30%ダウンサイジングされた
Merlin Falconの搭載インターフェイス

 Excavatorでは、前世代から内蔵キャッシュ周りが再設計されており、L1キャッシュが増加、プリフェッチ改良、低遅延化を図ったほか、分岐予測のバッファが512エントリから768エントリに増えている。そのほか、AVX2、MOVBE、SMEP、BMI1/2といった命令を追加。省電力モードも実装された。

 GPU性能は前世代から22%向上しており、4K解像度でのVRを可能とし、SoC単体の3画面出力などができるようになっている。

CPU性能の比較グラフ。前世代のRX-4277BBに対して、Merlin FalconのRX-421BDは性能が25%上回る
GPU性能の比較グラフ。IntelのBroadwellに対してグラフィックスベンチマークで58%の優位性を示したとする

(中村 真司)