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格安SIMのmineo、auに加えドコモ回線を利用可能に

~2キャリアサポートのMVNOに

auだけでなくドコモ回線も利用できるようになるMVNOサービスのmineo

 株式会社ケイ・オプティコムは26日、新事業戦略発表会を開き、MVNOサービス「mineo」にドコモ回線用のプランを追加すると発表した。サービス開始時期は9月を予定しており、料金プランについては市場価格と同等の料金水準を検討中とのことで、後日公開される。

発表会で登壇した代表取締役社長の藤野隆雄氏のほか、CMキャラクターを務める有吉弘行氏とベッキーさんが駆け付けた
今回発表されたサービスの一覧

将来的にはauとドコモの自動切り替えを視野に

 発表会は代表取締役社長の藤野隆雄氏が登壇し、2014年6月3日からスタートした「mineo」を振り返えるところから始まった。この1年間でmineoの契約者数は順調に推移し、今年5月に契約者数が7万件を突破したことを述べ、新たにドコモ回線を得たことにより、これからの1年で20万件の契約者取得を目標に掲げ、合計27万件としたいとの熱意を見せた。auとドコモ間のプラン変更も容易に手続きできるようにし、変更手数料も極力抑える考えだ。

 藤野氏は、通信方式の違いにより、SIMを交換しても音声通話を利用できないau(CDMA200方式)とドコモ(W-CDMA方式)間での問題に関して、mineoが日本で初のマルチキャリアMVNOになったことで、端末に応じた最適なSIMを提供できるようになると説明。今後利用可能な端末とプランが順次公開される。

 なお、現状はau回線とドコモ回線のSIMは別々の提供となるが、将来的には1つSIMに統合し、ネットワークの混雑状況などに応じて自動的に双方の回線が切り替わるようにしたいとの構想を語った。藤野氏は大規模災害時などにも有効な手段となり得るため、早期に実現したいとの意気込みを見せたが、キャリア間の交渉等が必要で、実際の提供時期について見通しは立っていないようだ。

 今回のサービスに関して、質疑応答でau回線を使用するmineoでiPhoneが利用できない点についての質問がなされたが、まだ原因究明中であり、KDDIかAppleのどちらに問題があるか今なお分からない状況と言う。藤野氏はmineoのドコモ回線ではiPhoneを利用できるため、iPhone使用希望者はドコモプランで契約して欲しいとのこと。また、ソフトバンク回線の導入についての質問も出たが、当面は今回の2社でサービスを行なうとの回答だった。

この1年間で順調に契約者数を伸ばしたmineo。現在の契約者数は7万件
auとドコモの2キャリアを使える初のマルチキャリアMVNOであることを強調した
通信方式の違いでSIMを交換しても音声通話を利用できないauとドコモ回線についても言及
mineoのサービスだけで各キャリアの端末に適したSIMを提供できるとアピールする
将来的には、SIMを交換せずに自動で2キャリアの回線を切り替えられるようにしたいとの構想
サービス開始は9月頃としており、料金プランは2キャリアで大きな開きが出ないように検討を進めている

海外渡航者向けなどにプリペイドSIMサービスを9月から提供

 mineoはドコモ回線の追加以外にも、新サービスの開始や増強を発表。海外渡航者向けに世界約200カ国で利用可能なプリペイドSIMの販売を9月から開始する。アイルランドのキュービックテレコムと協業して提供するサービスで、安価なSIMを用意し、携帯キャリアのローミングサービスを使うよりもコストを抑えられると言う。また、訪日外国人向けのプリペイドSIMも販売予定で、こちらは10月から提供される。

 法人向けのサービスも導入され、auプランは7月から、ドコモプランは今冬開始となる。このサービスを利用することで、社内でのパケットシェアのほか、企業管理ページでの各端末の利用状況を確認できるようになる。

プリペイドSIMを初導入し、海外渡航者および訪日外国人向けにサービスを提供する
法人向けのサービスも発表され、auプランは7月、ドコモプランは今冬から開始する

家族以外でもパケット授受が可能に、解約金も撤廃

 従来は同一住居の家族間のみで提供されていた「パケットシェア」サービスを発展させ、誰とでもパケットの受け渡しができる「パケットギフト」サービスを新たに追加。使い切れなかった剰余パケットを友人や知人に提供可能になる。藤野氏は友達同士の貸し借りや、お礼などに本サービスを利用することで、コミュニケーションの新たなきっかけになるのではと期待を寄せた。サービス開始は9月からとなる。

 また、これまで12カ月以内に解約した場合に発生した解約清算金(9,500円)が7月より撤廃される。同社はこれにより、解約金の発生でmineoへの加入を躊躇していたユーザーが利用しやすくなるほか、サービスに満足できなかった場合は気軽に他社サービスへと乗り換え可能になるとしている。ただし条件があり、12カ月以内に他社へMNP転出した場合は、転出手数料として11,500円が発生する。なお、mineo内でのMNPの場合は安価に実施する予定とのこと。

既に提供されている同一住所の家族間でパケットを共有する「パケットシェア」
他人とパケットを授受できる「パケットギフト」を開始。友人や知人にパケットをあげたり、もらえるようになる
12カ月の解約清算金を撤廃し、mineo加入のハードルを下げる考え

割引キャンペーンの告知やアンテナショップ開店、豪華ゲストも登場

 mineoのサービス開始1周年を記念し、既存の契約者および6月末までに契約したユーザーを対象に事務手数料が無料になるプレゼントキャンペーンを実施。そのほか、抽選1,000名への3,000円分ギフト券の提供、大阪マラソン2015出走権を5名にプレゼントされる。

 そして、JR大阪駅前のグランフロント大阪内に7月中旬からアンテナショップをオープンする。ショップ内ではサービスの紹介、対応端末の展示、プリペイドSIMの販売が行なわれる。mineoのオフ会といったイベントも予定されているようだ。また、4月から試験運用していたオペレータとのチャットサービスを拡張し、Web上で気軽に問い合わせできるというバーチャルショップをオープン。オンラインでの接客を行なえるようにするなど、サービスの拡大に伴って接客窓口が強化される。

 藤野氏のプレゼンの後には、mineoのCMキャラクターを務めている芸能人の有吉弘行氏とベッキーさんによるトークセッションが催された。トークセッションではお互いが出ているCMについてのコメントや、司会者から提示される2人への質問にアリかナシかで答えてもらうQ&A形式のトークも行なわれ、有吉氏持ち前の毒舌やベッキーさんの明け透けな物言いで会場の笑いを誘っていた。

1周年記念キャンペーンを実施し、事務手数料の無料化や抽選による3,000円分ギフト券などがプレゼントされる
大阪にアンテナショップをオープンするほか、Webサイトにバーチャルショップを開いて接客を行なえるように窓口を強化
展示されていたmineoの端末
有吉弘行氏とベッキーさんによるトークセッションを開催
2人には今回mineoが発表した「パケットギフト」サービスなどに絡めた質問が行なわれた
有吉氏の絶妙に毒を交えた会話に反論するベッキーさんが見られるなど、会場は楽しい空気に包まれた

(中村 真司)