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ソニー、タブレット事業戦略を見直し規模を縮小

〜ソニーモバイルの十時新社長が言及

ソニーモバイルコミュニケーションズ・十時裕樹代表取締役社長兼CEO

 ソニーモバイルコミュニケーションズの代表取締役社長兼CEOである十時裕樹氏は、同社のタブレット事業戦略を見直す方針を明らかにした。

 2013年度実績では、ソニーモバイルコミュニケーションズの売上高の5%を占めていたタブレット事業だが、2016年度に向けては、この構成比が縮小する可能性が高い。

 十時社長は、「ソニーのタブレットは日本においては、ドコモが取り扱っているということもあり、販売実績はそれほど悪くはないが、日本を除くと、競争力がなくプレゼンスもない。ソニーにとって大きな意味を持つほどのボリュームもない。特徴を出せてない、価格競争においても優位性があるわけではない。タブレット市場も決して伸びてはいない。タブレットは今の延長線上で、事業を拡大させていくことは考えていない」と位置付けた。

 ソニーモバイルコミュニケーションズにおけるタブレット事業の売上高構成比は、今後、3〜4%に縮小する可能性もある。

主力製品の「Xperia Z3 Tablet Compact」

 また、「時間をかけて、商品企画からやり直して、新たな提案を行なえるようにしたい。商品企画部門には指示を出し始めており、今後、その企画の出来具合や、選択肢を見極める必要がある。時期については言えないが、そんなにすぐに新たな商品企画が出るとは思っていない」とし、中長期的な視点でタブレット事業の見直しに着手する考えを示した。

 なお、タブレット事業からの撤退の可能性については、「今は考えていない。あえて辞めるという宣言をしなくてもいい規模であるのも事実で、言い換えれば、辞めなくてはならない状況にはないとも言える」などと述べた。

 一方で、スマートフォン事業に関しては、製品数を絞り込み、安定的な利益確保を最優先する姿勢を改めて強調する一方、「ソニーはXperia Zシリーズによって、スマートフォンで最初の成功を収めたが、ここにはソニーが持つ技術を結集しており、次に向けては腰だめのような状態になっている。そのため今は、次のロードマップを敷いていかなくてはならない時期にある。ソニーのR&D部門とはもっと連携していく必要がある。新たな技術を製品に入れていくことついては、丁寧に取り組んでいく。スマートフォンには、長いバッテリライフや、より綺麗な画面の搭載、より綺麗な音の実現、高いカメラの性能が求められているが、こうしたものを、他社よりも少しでも早く搭載し、新たなものとして提案していきたい。ローエンドのボリューム向け製品を、外部に生産委託して商品化し、販売していくという手法は、ソニーが得意とするところではない。1つでもいいので、尖ったものを入れて、企んだ商品を出すことが必要がある」と、将来に向けた姿勢を示した。

 また、半年に1回のペースでフラッグシップ製品を投入するというこれまでの投入サイクルを見直すことについても、議論を行なっていることを示し、「これはオペレータとの話し合いの中で決めていくことになる」としたほか、Firefox OSを搭載した製品についても、「オペレータから要求があるのも事実。これもオペレータとの話し合いの中で決めていく」と述べた。

 さらに、「ソニーは、AppleやSamsungをライバルだとは思っていない。Appleは唯一サービス込みで提供できるスマートフォンのエコシステムを構築している企業であり、Samsungはベトナムの新たな生産拠点の設置に45億ドルを投資し、4億台の生産能力を有するといったスケールメリットを追求できる企業である。これらの企業に対して、パワーゲームを仕掛けても、勝ち目はない。ソニーは、付加価値の領域を追求する。オペレータからは、AppleやSamsungにはない提案を、ソニーがするのならば受け入れるという声があるが、エンドユーザーに受け入れられるものでないと続かない。次のシーズンからは売り場の棚から撤去されてしまう。パワーゲームに持ち込めない今の状況では、我々の製品そのもののパワーがどれぐらいあるのかが重要である」とした。

 「2017年のスマートフォン市場においては、金額ベースで55%が、高価格帯の製品が占めると予測されており、ここはソニーが得意とする市場。これだけの規模があれば、ビジネスをやっていける。ソニーが持つモノを作る力、モノを販売する力を考えれば、新たなパートナーを開拓していくよりも、いまのパートナーとしっかりとやっていくことが重要であると考えている」とした。

 さらに、ウェアラブル機器に関する考え方についても言及。「個人的意見であるが」と前置きしながら、「現在の腕時計型のウェアラブル端末にはあまり魅力を感じない。時計は時計として大事にしたい。新入社員が出してきたアイデアの中に、バンドに工夫をするというものがあった。こうしたものはいいと思っている。これについてはこれ以上は言えない。また、クラウドファウンディングを活用して取り組んだ例として、電子ペーパーを使った時計型デバイスがある。これも5年目社員が作ったものである。このように、市場に近い感性を持った人たちが企画するといったことを推し進めると、面白い製品が出てくるだろう。冒険的な製品が登場する環境を作らなくてはならない」などと語った。

(大河原 克行)