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NVIDIA、初Maxwellアーキテクチャ採用の「GeForce GTX 750 Ti」

~Keplerに対してSMあたり2倍の電力性能

Maxwellのチップ
2月18日(現地時間)発表

 米NVIDIAは18日(現地時間)、これまでの「Kepler」の後継となる「Maxwell」アーキテクチャを採用する初のGPU「GeForce GTX 750 Ti」および「GeForce GTX 750」(コードネームGM107)を発表した。国内でも即日出荷され、実売価格は750 Tiが1万円台後半、750が1万円台前半程度となる見込み。

 同じ電力枠で、性能を引き上げるため、元々電力当たりの性能を高めていたKeplerから、効率をさらに向上させた。大きな仕様の変化としては、Keplerでは1つのコントロールロジックと192基のSPを束ねたものを1つのSMとしていたが、Maxwellでは、ロジックのスケジューリング効率を改善しつつ、1つのコントロールロジックあたりのSP数を32基とし、これを4つ束ねたものを1つのSMとする構成に切り替えた。これにより、コアの稼働率を向上。また、コア自体の性能も対Kepler比で35%増強しており、SP数は192基から128基に減少しながらも、1SMあたりの性能をKeplerと同レベルに維持。一方で消費電力を引き下げ、電力当たりの性能はKeplerの2倍となった。

 また、L2キャッシュを2MB搭載することで、メモリバンド幅のボトルネックを軽減し、H.264エンコーダの「NVENC」も、Keplerの4倍速から、6~8倍速へ高速化された。

 ちなみに、SMの名称はKeplerでSMXへと変更されたものが再度SMに戻ったが、区別するために、SMM(SM Maxwellの略)と呼称することもある。

KeplerとMaxwellのSMの構成の違い。SPの性能と利用率を引き上げ、電力当たりの性能を2倍に
SMMのブロックダイヤグラム
GeForce GTX 750 Tiのブロックダイヤグラム

 具体的な製品の比較では、GTX 550 Tiから性能を2.2倍に伸ばしながら、TDPは116Wから60Wへと半減。Keplerの前世代のFermiからは電力効率を4倍に高めており、60WのTDPでGTX 480と同じ性能を実現している。また、TDPが60Wとなったことで、ビデオカード用の外部電源や高出力の電源、大きな冷却機構などが不要となり、Mini-ITXのケースでも、「アサシンクリード」や「コール オブ デューティ ゴースト」などのハイエンドゲームをShadowPlayで録画しながら、1080pで40~50fpsを実現できるとしている。

 通常、新しいアーキテクチャのチップを投入する場合、ハイエンドかモバイル向けから製品化されることが多い中、Maxwellはミドルレンジからの投入となる。これは、Maxwellがまずは大多数のゲーマーへの訴求を狙っており、既存のラインナップとの位置付けを考慮した結果だという。なお、750 Tiと750は650 Tiの置き換えとなり、その下位の650と上位の660は継続販売される。

750 Tiの性能は550 Tiの2倍
TDPは約半分に
ゲームでの性能比較
750 TiとRadeon R7 260Xの性能比較
750とRadeon R7 260の性能比較
今後のミドルレンジのラインナップ

 具体的な仕様は、750 Tiが、SP数640基、ベースクロック1,020MHz、ブーストクロック1,085MHz、テクスチャユニット数40基、ROP数16基。メモリは128bit接続、5,400MHz駆動のGDDR5 2GB。TDPは60W。

 750は、SP数512基、ベースクロック1,020MHz、ブーストクロック1,085MHz、テクスチャユニット数32基、ROP数16基。メモリは128bit接続、5,000MHz駆動のGDDR5 1GB。TDPは55W。

 いずれも製造プロセスは28nmでKeplerと同じ。トランジスタ数は18億7,000万。ディスプレイインターフェイスは、デュアルリンクDVI×2、Mini HDMI。

GeForce GTX 750 Ti
ブラケット面
裏面

(若杉 紀彦)