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あらゆる物をネットに接続するBluetooth 4.1規格が12月にリリースへ

スーク ジャワンダ氏
11月6日 発表

 Bluetooth SIGは6日(日本時間)、都内で記者会見を開き、Bluetooth SIGの活動状況と2013年12月にリリースを予定しているBluetooth 4.1規格を紹介した。

 冒頭でBluetooth SIGのチーフマーケティングオフィサーを務めるスーク ジャワンダ氏が、Bluetoothを取り巻く市場の環境について説明。「あらゆる物がインターネットに接続し、クラウドのサービスを利用する“Internet of Things(IoT)”の時代がやって来ているが、Bluetoothはその“物”と“インターネット”を繋ぐ中核を担う技術となっている」と説明した。

 2013年では約100億ものBluetooth搭載機器が出荷されている。Bluetooth SIGが立ち上がってから15年経ってようやくこの数字を実現したが、これが2020年までの7年間で300億、そして2023年までの3年間に500億までに爆発的に増え、その市場規模は14.4兆ドルになるだろうとした。

 背景として、現在ではオーディオ機器やキーボード/マウスなど、デバイスを活用するための機器の多くにBluetoothが採用されているが、今後はあらゆるものにBluetoothが内蔵されるようになるためだとした。

 それを実現するためには、まず低消費電力化を行なう必要がある。例えば腕時計などはスマートフォンやノートPCなどとは異なり、毎日充電して使うようなものではない。そのためにBluetoothは4.0としてBluetooth Smart規格を立ち上げ、低消費電力化を実現。これにより、現在ではナイキのシューズや心拍計といったスポーツ/フィットネス関連器具から、オムロンの活動量計や体重計などのヘルスケア機器にまで採用が広がり、全世界で約20,000社から、2014年には約30億ものデバイスが出荷されるようになるだろうという見通しを示した。

Bluetoothの役割はデバイス同士を接続するというシンプルなもの
1998年から2008年の間に、参加企業は7社から10,000社に増え、デバイスは累計10億台を出荷
2013年までには約100億のデバイスを出荷
2014年には500億ものデバイスへ成長
2023年までに14.4兆ドルの市場に成長
キーボードやマウスといった基本的なデバイスに応用されてきた
この2~3年でBluetooth関連のオーディオ機器も増加した
これまでデバイスがクラウドにアクセスするためには、アプリケーションを介在していた
これまでのハブとなるデバイス
Bluetooth 4.0では低消費電力化が課題で、これを実現
これによりフィットネス機器への応用が可能になった
フィットネスでの応用。自転車の走行データから心拍計のデータまで、あらゆるものを取得する
世界規模のブランドにも多く採用された
クラウドファンディングの多くもBluetoothを活用している
2014年には約20,000社になり、約30億ものデバイスが出荷されるだろうとする

 12月のリリースをめどに現在進められているBluetooth 4.1規格では、新たにIPv6によるインターネットへの直接の通信をサポートする。これにより、従来のスマートフォンやPCのアプリケーションにあらかじめデータを転送し、そこからクラウドサービスに転送するといったステップを踏むことなく、ルーターを経由してデバイスが直接クラウドサービスにデータをアップロードできるようになる。

 当然ルーター側の対応が必要となるが、現在無線LANとBluetoothがコンボとなっているチップは既に市場に多数出回っているほか、ルーターのメーカーと協業を進めることで対応できるようになるという。またBluetooth 4.0対応機器はソフトウェアのアップデートを行なうだけでBluetooth 4.1に対応できるとした。

 これによってIoTが実現し、新たなデバイスやサービスが生まれるとする。一例として土壌の水分などを管理し、直接クラウドサービスにそのデータをアップロード、農家はPCからでもスマートフォンからでも、クラウド経由でそのデータを参照でき、さらにスプリンクラーによる散水の制御も行なえるといった、これまでにないアプリケーションが誕生するだろうと述べた。

Bluetooth 4.1規格のプレビュー
Bluetooth 4.1規格の3つの柱
4.1により革新的なソリューションが生まれるという
インターネットに接続する必要性
これまでBluetoothデバイスはスマートフォンやPCなどのハブに接続していた
IPv6接続により、クラウドサービスに直接アクセスできるようになる
Bluetooth 4.1によって実現されるであろう、農家の土壌管理システムの一例
土壌の水分量のデータ取得から、スプリンクラーの制御までをクラウド上で行なえるようになる
参考展示された94Fiftyの「スマートバスケットボール」
Bluetoothと加速度センサーを内蔵しており、ドリブルの回数やシュートの角度などをiPadで管理できる
Google GlassにもBluetoothは採用されている
CerevoのUSBキーボードをBluetoothに変換するタブレットスタンド兼用アダプタ。わずか11人の小さな会社だが、Bluetoothのエコシステムを活用することで容易にデザインできたという
NORDICの組込み用Bluetooth対応マイコンモジュール。スタックを内蔵しており、Bluetoothデバイスの開発期間を短縮できる
加速度センサーやANT+両対応モデルなどもあり、デバイスの実現は「アイディア次第」だという
モジュールはOEMメーカー各社からさまざまな形状でラインナップされており、用途に合わせて選択できる
オムロンの「ねむり時間計」と「歩行姿勢計」
ねむり時間計は寝返りを検出し、睡眠のリズムなどをチェック。睡眠を改善する方法などのコンテンツも用意している
ソニーのBluetooth対応ヘッドセットやスピーカー、FeliCaリーダなど

(劉 尭)