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デル、WQHD液晶一体型の第4世代Coreプロセッサ搭載PCなど
~個人/法人向けのワークステーション新製品
(2013/6/4 15:42)
デル株式会社は4日、個人向け、法人向けそれぞれに、Haswellアーキテクチャの第4世代CoreプロセッサやXeon E3 v3搭載ワークステーションを発表。報道関係者向けに製品説明会を開催した。
27型WQHD液晶一体型PC「XPS 27」とミドルタワーの「XPS 8700」
個人向けワークステーションは、2月26日に発表した個人クリエイター向けブランド「Dell Graphic Pro」シリーズにラインナップされる、27型液晶一体型PCの「XPS 27」、ミドルタワー型の「XPS 8700」を発表。いずれもAdobe Photoshop Elements 11と、Premiere Elements 11がプリインストールされる。
XPS 27はWQHD(2,560×1,440ドット)表示対応の液晶を採用。製品の説明を行なった同社クライアント製品&ソリューションマーケティング本部マーケティングマネージャーの金秦英氏は「デル史上最高の27型ディスプレイ一体型PC」とアピールする。
また、説明会にはアドビシステムズのマーケティング本部デジタルメディア第2部マネージャーの岩本崇氏が登壇。1週間ほど本製品を借りたという同氏は「ディスプレイ上でカラーを正確に確認できる。ハードウェアや機能はデザイナーの声を反映しており、デザインマーケットに対するデルの本気度を感じている」とコメント。XPS 27を用い、6月より提供を開始する「Illustrator CC」の新機能をタッチ操作でデモンストレーションした。
液晶はLG製のIPSパネルを採用しており、Adobe RGBを99%カバーする色域を持つ。輝度は350cd/平方m。10点マルチタッチに対応するほか、多関節構造のスタンドを搭載しており、垂直から強い傾斜角を持たせた位置までチルト調整できる。また、HDMI入出力も備えている。ハードウェアカラーキャリブレート機能などは搭載しない。
ハードウェアスペックは固定で、プラチナモデル、プラチナ・大容量メモリモデルの2つを用意。
プラチナモデルの主な仕様は、Core i7-4770S(3.1GHz)、GeForce GTX 750M(2GB)、メモリ8GB、HDD 2TB、SSD 32GB(キャッシュ用)、DVDスーパーマルチドライブ、Windows 8(64bit)を搭載。価格は199,980円。
プラチナ・大容量モデルは、メモリ16GB、BDドライブに変更して、価格は209,980円。
インターフェイスはIEEE 802.11b/g/n対応無線LAN、Bluetooth 4.0、Gigabit Ethernet、フルHD対応Webカメラ、USB 3.0×6、HDMI入力、HDMI出力、Thunderbolt/Mini DisplayPort、音声入出力など。
本体サイズは664×35.4~78.2×492.2mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約16kg。
ミドルタワー型のXPS 8700は、従来モデルの「XPS 8600」に比べてストレージスロットを強化。従来はSSD×1台とHDD×2台の構成が最大だったが、XPS 8700ではSSD×1台とHDD×3台を搭載可能。ストレージ容量は最大でSSD 256GBとHDD 3TB構成となる。
ハードウェアのスペックはカスタマイズ可能で、CPUはCore i7-4770またはCore i5-4330、メモリは8~32GB、HDDは1TB/2TB/2TB + SSD 32GB(キャッシュ用)/3TB + SSD 256GB、ビデオカードはGeForce GTX 660/650 Ti/645またはRadeon HD 7570M、光学ドライブはDVDスーパーマルチ/BDドライブから選択可能。価格は99,680円から。
OSはWindows 8/8 Proのほか、Windows 7 Home Premium/Professionalの選択肢も残している。
インターフェイスは、Gigabit Ethernet、CF/SDカード/メモリースティック/xD-Picture Cardスロット、DisplayPort、HDMI出力、USB 3.0×6、USB 2.0×2、音声入出力など。
本体サイズは185×444×406.8mm(同)。重量は13.8kg。
説明会ではGraphic Proシリーズで始めた2つの新しい取り組みについても紹介があった。
1つは広告・クリエイティブの専門誌である「ブレーン」とコラボした、“変革”をテーマにした動画コンテスト。プロフェッショナルコースとチャレンジコースの2つが用意され、両コースのグランプリ受賞者をデルがPRするほか、プロフェッショナルコースのグランプリ受賞者にはDell Gprahic Proシリーズの広告制作権を得られる。
また、事前に同シリーズ製品を試せる「Dell Graphic Proシリーズ無料体験プログラム」を実施。これはクリエイティブ業務に従事している人を対象にしたもので、製品を1台プレゼント。使ってみた体験談をデルが取材するという、一種のモニタープログラムとなっている。
法人向けワークステーション「Precision T1700」シリーズ
法人向けには、エントリー向けの「Precision T1700」シリーズを発表。ミニタワー型に加え、同社のワークステーション向けラインナップでは初めてとなるスリム型(スモールフォームファクター)のモデルをラインナップする。
ミニタワー型筐体の30%の体積に抑えたというスリム型の導入で、より狭いスペースに設置したいニーズに適う製品であるとしている。スリム型の本体サイズは92.6×312×290mm(同)。ミニタワー型は175×435×360mm(同)。
メモリはECCに対応しハードウェアとして信頼性を高めたほか、ソフトウェア互換の面でもデルとソフトウェアベンダー、ビデオカードベンダーと三位一体でISV認証を積極的に取っていくとしている。
構成例と参考価格は、ミニタワー型がXeon E3-1220 v3、Quadro K600、メモリ4GB、HDD 500GB、DVD-RWドライブの構成で159,980円。スリム型がXeon E3-1240 v3、メモリ8GB、HDD 1TB、Quadro K600、DVD-RWドライブで154,980円。
カスタマイズ可能なCPUはXeon E3-1200 v3シリーズのほか、第4世代Core i7/i5も用意。後日Core i3も追加予定。ビデオカードはQuadro、FireProの各製品が用意される。
インターフェイスはGigabit Ethernet、USB 3.0×4、USB 2.0×6、PS/2×2、音声入出力など。
拡張ベイ/スロットは、ミニタワー型が5インチ×2、3.5インチシャドウ×2、PCI Express Gen 3 x16×1、同Gen 2 x16×1、同x1×1、PCI×1。スリム型がPCI Express Gen 3 x16×1、同x4×1。
説明会では、デル執行役員マーケティング統括本部 統括本部長の原田洋次氏が、同社の戦略を説明。戦略的に企業買収などを行なうことで、2009年以降、急速にポートフォリオを拡充しており「この4年ほどで、ほぼエンド・トゥ・エンドでお客様をサポートできる状況が整った。ハードウェアだけだったデルからは想像できないぐらいソリューションを提供できる体制が整った」とコメントした。
そして、本年度からはソリューションの観点から分けた4つの事業部を立ち上げたことを紹介。各ソリューションの見識を深めて研究/開発/製造などを行なうための施策となるが、一方で営業部については顧客ごとにフォーカスして対応できるよう、顧客別で対応をしているという。
今回の製品はエンドユーザーコンピューティングソリューションに該当するものになるが、デルがこれまで持っていなかったスリム型ワークステーションで、かつ最新のプロセッサをいち早く採用したことで「シェアナンバーワンを奪還できるかな、と気合いが入った製品」とアピールした。
このほか、説明会にはインテル執行役員 営業本部 本部長 大塚桂一氏もゲストとして来場し、第4世代Coreプロセッサを過去10年間で最大の技術革新であるとアピール。
両社の関係については「インテルはユーザーエクスペリエンスを元にしたCPUの開発を進めているが、デルは顔認証などの新しいユーザーエクスペリエンスをいち早く取り入れており、この点でも関係を密にしている。今後の両社の協業にも期待してほしい」とコメントした。