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UQ、全線でエリア整備が完了した東京メトロ駅構内の設備を紹介

~駅や路線に合わせてアンテナを調整

5月28日 実施

設備の紹介を行なったUQコミュニケーションズ建設2部 鉄道建設1グループの関口雄一氏

 UQコミュニケーションズ株式会社および東京地下鉄株式会社は、5月22日に東京メトロ全線のWiMAXエリア整備を完了したことを発表。5月28日正午よりサービスを開始した。これに合わせて、報道関係者に東京メトロ丸ノ内線・東京駅構内のアンテナ設備を公開した。

 2.5GHz帯を用いるWiMAXでは、中心周波数2,595~2,625MHzのアンテナを使用。これを改札口付近、ホーム、天井裏に設置している。今回、天井裏の設備を見ることはできなかったが、本体サイズ340×270×65mm(幅×奥行き×高さ)、重量約6kgの無線機が、改札階に1個、ホーム階に2個設置されているという。この無線機を中心に各所にアンテナを配備する。

 改札階のアンテナは、改札口付近の天井に1個設置されている。これは東京駅の場合で、改札口が離れた位置に複数ある駅では、それぞれの改札口に設置している。火災検知器のような直径115mmの円柱状で、これ1個で360度/約200mをカバーする、出力1Wの無指向性のアンテナとなっている。

改札口付近の天井に設置された改札階用のアンテナ。無指向性で約200mの範囲をカバーする

 ホーム階のアンテナは、ホーム両端のトンネルに近い場所に設置される。こちらは110×305mm(直径×長さ)の指向性アンテナを用いており、トンネル内に向けて約500mの距離をカバーするアンテナとなる。また、同じアンテナをホーム中央方向に向けることで、ホーム上をカバーする。出力はホーム階用と同じく1W。

 丸ノ内線・東京駅の場合は、銀座/荻窪寄りに2つのトンネルに向けて2個とホームに向けて1個。大手町/池袋寄りの荻窪方面行き線路のトンネルに向けて1個とホームに向けて1個の、計5個を設置している。銀座/荻窪寄りホーム端にトンネルに向けて2個設置しているのは路線の形状に依るもので、逆に大手町方面のトンネルは1個でもカバーできるのだという。

 つまり、丸ノ内線・東京駅では5個の指向性アンテナで両方向のトンネル内をカバーしているが、路線によってアンテナの数は増減する。

 また、トンネル方向に向けたアンテナの向き/角度は路線形状によって向き/角度が調整されている。トンネル内にリピータ(中継器)を置くことはしておらず、現状は全ての路線で駅ホーム上のアンテナによってカバーしている。ただのカーブであれば1度の反射でトンネル内をカバーできるので問題は小さいそうだが、勾配(高低差)、S字カーブなどは電波が微弱あるいは到達しない部分も発生することがあるという。

ホーム階に設置されたホームとトンネル内をカバーする指向性のアンテナ。出力は1Wで、約500mをカバーする
トンネルに向けるアンテナは路線の形状に合わせて向きや角度を調整している
銀座/荻窪寄りホーム端の、荻窪方面線路側のアンテナ。トンネル方向とホーム方向に向けてアンテナを設置
銀座/荻窪寄りホーム端の、池袋方面線路側のアンテナ。こちらはトンネル向きにのみ設置

 なお、UQコミュニケーションズでは全国の地下鉄内でのエリア整備を進めており、仙台地下鉄、都営地下鉄、横浜市営地下鉄、みなとみらい線、福岡市地下鉄ではエリア整備を完了している。また、一部区間でサービスを開始している札幌市営地下鉄、大阪市営地下鉄では2013年内に全線で整備を完了する予定。名古屋市営地下鉄と京都市営地下鉄についても順次整備を進めるとしている。

(多和田 新也)