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MIT、室温レベルでシリコンをコーティングする技術を開発

~ソーラーセルの低価格化や新種のシリコンチップが実現

実験に使ったワイヤー
2月13日(現地時間)発表

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)は13日(現地時間)、従来より遙かに低い温度でシリコンにコーティングを施す技術を開発したと発表した。

 シリコンは、プロセッサなどのチップや、太陽発電のソーラーセルなどに利用されている材料で、むき出しではすぐに酸化してしまうため、表面をコーティングする必要がある。

 従来、このコーティング過程では、シリコン窒化物を用いており、対象物を400℃に加熱する必要があった。今回MITのTonio Buonassisi教授らが開発したのは、300℃に加熱したワイヤーを使って有機体をシリコン表面に蒸着させるという手法。コーティング剤は加熱するが、シリコン自体は20℃以上にならない。

 この方法による利点の1つは、加熱に伴う作業コスト、ひいてはソーラーセル自体のコストを大幅に引き下げられること。ワイヤーの加熱には、一般的な電球を灯す程度の電力すら必要ないという。

 もう1つは、シリコンチップを他の材料と組み合わせられるようになること。例えば、有機化合高分子体は、従来のコーティング温度では破壊されてしまうが、この手法を使って、特定の生物学分子に反応するバイオセンサーなども作れるようになる。チームでは「人類は、DNAやタンパク質抗体をシリコンに移植したのだ」と表現している。また、非反射的なコーティングを使うことで、ソーラーセルの効率も向上させられる。

 同チームでは、今後商用化に向けた改善を進めていく。

(若杉 紀彦)