日本マイクロソフト、SurfaceやKinectのWindows Embeddedデモを公開

Microsoft Corporation Windows Embedded担当マーケティングディレクター・ジョン ボラディアン氏

3月5日 公開



 日本マイクロソフト株式会社は5日、2011年11月に米国で発表した「インテリジェントシステム」を活用したシステムの概念やデモンストレーションを公開した。

 インテリジェントシステムは、Windows Embeddedを活用したいわゆる「組み込みソリューション」。これまで小売業や医療機器、車載システムなどに活用されてきたが、今後は、Kinectのようなコンシューマデバイスとの連携やクラウドの活用などにより複数システムをシームレスに連携していくものを目指す。

 「組み込みシステム業界は30年から40年の歴史を持ち、MicrosoftとしてはWindows CE 1.0以来、15年の歴史を持っている。しかし、ここ数年でハードウェアの性能の進化、ネットワーク接続性などが大きく進化したことでその概要が大きく変化している。従来は単にデータを収集するだけだったが、現在はそのデータを活用し、ビジネスに活かすことが可能になるエンド・トゥ・エンドのソリューションを提供できるようになっている」(Microsoft Corporation Windows Embedded担当マーケティングディレクター・ジョン ボラディアン氏)。

小売り事業者の抱える課題小売り事業向けソリューションにおけるMicrosoftの強み

 市場規模も現在は搭載デバイス数8億台が2~3年で2倍の台数に拡大し、2015年には52億ドルの市場規模となると予測されているという。特にアジア市場は成長著しく、市場全体の25%、売り上げの70%を占めるとみられている。

 「Microsoftにとってもこの市場は大きなチャンスを秘めている。具体例として小売り業界でのインテリジェントシステムの活用例をご紹介する」(ボラディアン氏)として、米国のRazorfishが開発した小売業向けインテリジェントシステムを紹介した。

 現行の小売りシステムは、店舗内に存在する各システムが独立し、相互連携していないこと、顧客の動向などをきちんと分析するツールが提供されていないこと、管理や保守のために専門家の助けが必要などの問題点を抱えている。

 これに対しMicrosoftでは、データベースなどバックエンドのシステムソフト、連携が可能なさまざまなデバイス、クラウドによるエンドユーザー自身がデータの分析や管理などを行なえる仕組みを提供していることから、「これまで提供してきた製品をトータルに使ってもらうことで、問題解決ができる」(ボラディアン氏)と説明している。

 Razorfishが開発したシステムでは、Kinect for Windowsを使って、顧客は大型ディスプレイに表示されたWebシステムを仕草によって操作。そのデータをSurfaceで表示したり、顧客のWindows Phoneにデータを提供したり、Windows PhoneからSurfaceに情報を表示するといった情報をシームレスに活用を実現する。会場では実際に大型ディスプレイ、Kinect for Windows、Samsungの「SUR40 for Microsoft Surface」などを活用したデモが行なわれた。

Razorfishが構築したWindowsを活用した小売り用システム。Kinect for Windowsを活用した仕草によるオーダー、Samsungの「SUR40 for Microsoft Surface」とWindows Phoneの連動などを実現している
カメラを利用した仮想試着も可能。試着データはWindows 8搭載タブレットと共有し、試着した様子をスナップとして記録し、Facebookなどで友人の意見を聞くといった使い方も可能だという

 顧客側では店員が持っているWindows 8搭載のタブレットに顧客と同じ情報を表示できるので、顧客が望む商品にフォーカスしてセールスすることや、顧客が感心を示した情報をFacebookなどSNSに送るといったコミュニケーションをとることができる。

 Microsoftでは、「こうした小売り向けソリューションにおけるMicrosoft最大の強みがこれまでも行ってきたパートナー企業との連携。パートナーの皆さんのソリューションが、他社との差別化要因となっている」(ボラディアン氏)と説明。日本の主要パートナーとして、富士通フロンテック、東芝テック、日本電気の3社を紹介した。

 富士通フロンテックでは、POSを中心とした次世代型の小売業向けソリューション「TeamPoS7000」、東芝テックは飲食業向けソリューション「FoodingWorks EX」などを、日本電気は小売業向け「デジタルメディアソリューション」を紹介した。

 マイクロソフトでは、こうしたソリューションを3月6日から東京ビッグサイトで開催される「リテールテックJAPAN 2012」の自社ブースで公開する。

パートナー企業との協業による差別化がMicrosoftの強み富士通フロンテック株式会社 流通事業本部 菅野隆二 本部長代理富士通フロンテックの小売り向けソリューション
東芝テック株式会社 システムソリューション事業本部 ソリューション技術統括部 大谷博英 統括部長東芝テックのインテリジェントシステム向けソリューション
日本電気株式会社 ITサービスビジネスユニット 藤岡忠明 主席主幹NECのリテール向けソリューション
デモ用に公開されたSurfaceの画面「SUR40 for Microsoft Surface」のインターフェイス部分

(2012年 3月 5日)

[Reported by 三浦 優子]