東芝、電子書籍リーダー「BookPlace DB50」発表会
~作家・井沢元彦さん、東大タレント三浦奈保子さん登場

1月26日 発表

価格:オープンプライス



 株式会社東芝は26日、電子書籍リーダー「BookPlace DB50」の発表会を東芝本社で開催した。

 BookPlaceは同社が運営する電子書籍ストアの名称。WindowsやAndroidから電子書籍を購入、閲覧できるアプリが用意されているが、DB50は電子書籍に特化した形の7型の端末。PCやAndroid端末で使いこなせるユーザーではなく、ITリテラシーがそれほど高くないユーザーをターゲットにして、裾野の拡大を目指している。ハードウェアの詳細は関連記事を参照されたい。

BookPlace DB50 ホーム画面BookPlace DB50を持つ三浦奈保子さん

東芝 デジタルプロダクツ&サービス社 デジタルプロダクツ&サービス第一事業部 長嶋忠浩 事業部長

 発表会では、株式会社東芝 デジタルプロダクツ&サービス社 デジタルプロダクツ&サービス第一事業部の長嶋忠浩事業部長が、製品と投入の背景を説明した。

 2011年4月にTVとPCの事業を統合して発足したデジタルプロダクツ&サービス社は、レグザタブレットやUltrabookなどを投入し、2012 International CESでは13型タブレット、7.7型有機ELタブレットを参考出展。そして、サービス社という名称の通り、自社でのサービス事業「東芝プレイス」も開始。アプリケーション、動画、音楽、ショッピングなどのマーケット、そして電子書籍サービスの「BookPlace」を提供してきた。

 同社の調べによると、現在のPCの普及率は約5,600万台で、日本人口のおよそ半分程度。「1人1台」の時代へ向けて、5,000万台程度の潜在需要があるとする。所有していない人は、「自分専用が欲しい」、「PCは重くて持ち運びに不便」、「スマートフォンでは文字が小さく見づらい」といった声があり、専用機の対象としてタブレットに興味を持っているという。そのタブレットの用途についてのアンケートでは、1位はインターネットだが、2位に電子書籍があり、男女ともに高い需要があるとする。

東芝プレイスを提供、電子書籍はBookPlacePCの普及台数。約5,200万台の潜在需要が存在タブレットの用途の2位に電子書籍

 そこで、東芝が考える一般層に訴求するためのポイントを3つ挙げた。1つはコンテンツ数、2つ目は端末の価格、3つ目は使いやすさや読みやすさ。その点で、PCやAndroidの汎用端末が苦手な、読書好きな層にアピールしていく考え。コンテンツ数は、BookPlaceは5万冊、3月末には10万冊に拡大予定、端末の価格はBookPlaceで使える5,000円相当の書籍代ポイントを含んだ約22,000円で実質17,000円程度、使いやすさや読みやすさは、ホームボタンや直近に戻れるバックボタン、コンティニューキーなどを装備し操作性に配慮した。

 東芝の試算では、月に2冊以上読書する層は1,500万人規模と推定。目標として、BookPlaceストアの利用者を、2015年度までに読書好き層の1割に当たる150万ユーザー獲得を目指すとした。

東芝が考える電子書籍市場拡大のポイントBookPlaceが持つ3つのポイント2015年度のBookPlaceストア150万ユーザーが目標

●文字を読む/残すことが紙から電子化へ

 発表会の後半は、作家の井沢元彦さん、東大タレントの三浦奈保子さんがゲストとして招かれ、本や電子書籍に関するトークを実施した。

BookPlace DB50を手にトークする井沢元彦さん、三浦奈保子さん

 井沢さんは「猿丸幻視行」(1980年)で江戸川乱歩賞を受賞し、代表作の「逆説の日本史」シリーズは累計440万部を突破。また、小学館のWebで「逆説の世界史」を開始した。プライベートではミステリーが好きだという。三浦さんは「小さい頃から読書が好きで、移動時間などを使って月に20冊ぐらい読んでいる」。ただ、最近はクイズ番組出演のため知識系の本を読んでいるため、好きな小説までは手が回らないと話した。

 電子書籍について井沢さんは、「過去の文明は文字が誕生して、それを情報として蓄積することで進化してきた」とし、残す方法が大事だが、パピルスなどを含めた“紙”が優秀で現在も使われている。それが今はデジタル化による電子書籍になっていて「まさに(歴史上の)転換期」だと表現した。

 BookPlace DB50について三浦さんは、「文庫本2冊ぐらいの重さで持ち運びやすい。白くて角に丸みがあってやわらかい感じ」と評価した。井沢さんは、「読んでいる単語をそのまま調べられるのがありがたい」、「電子書籍なら印刷や在庫管理が要らないので1冊からでも出版できる」、「数が揃えば図書館や本屋に行かなくても良くなるかもしれない」といったメリットを挙げた。

 最後に、三浦さんは「簡単な操作で購入できて軽く持ち運べるのが良い。周りの人にも薦めます」とコメント。井沢さんは読み上げ機能に言及し、「視覚障碍の人に対して、図書館では読み上げて録音したテープを貸していた」という事例を挙げ、読み上げも可能なBookPlace DB50ならより便利になるだろうとまとめた。

(2012年 1月 26日)

[Reported by 山田 幸治]