レノボ、ThinkPad Tablet製品説明会
〜独自機能で新規市場を創出

ThinkPad Tablet

9月29日 発表



 レノボ・ジャパン株式会社は、Android 3.1搭載のタブレット「ThinkPad Tablet」をWebで発売開始した。これに伴い、都内で製品説明会を開催した。

 ThinkPad Tabletは、同社初となるAndroid OSを搭載したThinkPadブランドの製品。主な仕様は関連記事を参照されたいが、簡単におさらいすると、プロセッサにTegra 2、メモリ1GB、1,280×800ドット(WXGA)表示対応10.1型ワイド液晶ディスプレイなどを搭載する。ストレージ容量別で16GB/32GB/64GBの3モデルを用意し、直販価格は順に47,040円、54,390円、61,950円となっている。

 専用のデジタイザペンや光学トラックポイント付きキーボード、高速充電が可能なドッキングステーションなど、ThinkPadらしい豊富な周辺機器が用意される。また、大和研究所での各種堅牢性テストもクリア。さらに、リモートロック機能やローカル暗号化機能など、ビジネス用途を想定した仕様/機能が特徴となっている。

●ビジネス市場における位置づけ
土居憲太郎氏

 発表会の冒頭では、同社製品事業部 プロダクトマネージャー ThinkPad製品担当の土居憲太郎氏が、ThinkPad Tabletの企業内のターゲットとなる位置づけを解説した。

 現在、多くの企業でほぼすべての社員に対してノートPCまたはデスクトップPC、そして営業など外出周りには携帯電話が支給されているが、この携帯電話は近年スマートフォンに置き換わりつつある。このスマートフォンの登場により、社内のメールやスケジュールなどへのアクセスが可能になり、利便性が向上した。この市場にタブレット端末を投入すると、スマートフォンやPCとの機能が重複するため、タブレット端末は単なる贅沢品という位置づけになってしまう。

 その一方でPCを廃し、すべてタブレット端末に置き換えるという考え方もあるだろうが、こちらだとこれまで導入してきたPCが贅沢品になってしまう。土居氏は、「いずれのケースも、利益を十分に出している企業にとってみれば問題はないが、コストを重視する一般的な企業での導入はまず見込めないだろう」とした。


PCもスマートフォンも両立した環境に投入するとタブレットが贅沢品になってしまう 一方PCの置換えとなると、PC自体が贅沢品という扱いになってしまう

 そこで同社は、まずIT化が進んでいる企業に対して、BCP(Business Continuity Play:事業継続計画)の一環としての導入を推奨。まず考えられるのは、まだ社員1人に1台のノートPCが行き渡っていないケース。これらの社員向けにタブレット端末を支給し、インターネット経由で社内のサーバーにリモートデスクトップアクセスして仕事をするというスタイル。ノートPCより低価格で導入できる一方で、(オプションの)キーボードやマウスによるWindowsのリモートデスクトップに対応できる操作性で、災害時などにも対応できるとした。

 それに対し、IT化が進んでいない企業や現場に対しては、在庫管理システムやオーダーシステム、店頭POPやミニデジタルサイネージなどの専用端末として、またペン入力による優位性を活かして、建築業や医療従事者など、素手で端末に触ることができない職業向けの端末として、IT化を推し進め、新しい市場を創出していくとした。

 一方、既に従来からタブレット端末を利用しているユーザーに対しては、高速起動を武器に、“エレベーターピッチ”と呼ばれるエレベータ移動中の数十秒間のプレゼンテーション、またペン入力を活かした電子サインの端末として、優位性を訴えていきたいと述べた。

まだノートPCが支給されていない社員へのタブレットの推進。リモートデスクトップがメイン 在庫管理や、ペンを活用した建築/医療現場での導入
従来のタブレットからの置換え ThinkPad Tabletのターゲット市場

●使い勝手に配慮したハードウェア設計
木下秀徳氏

 続いて、同社製品開発統括担当/研究・開発/ノートブック製品/開発の木下秀徳氏が、ThinkPad Tabletのハードウェアの特徴について解説した。

 ThinkPad Tabletの開発自体も、ほかのThinkPadと同様大和研究所で行なわれたが、その理由として「ThinkPadブランドを冠するからには、ビジネスプロフェショナルツールへのこだわりがあるため」と力説。ThinkPadらしい高級感のあるデザインの採用、ペンや専用ドッキングステーション、キーボードによる利便性、さらには堅牢性や防滴性などの品質を追求したという。

 デザインについては、ThinkPadの伝統的なブラックカラーと赤のアクセント、マットな仕上げなど、ThinkPadならではの特徴を踏襲した。また、14.5mmの薄さや743gのボディなど、使いやすさとモビリティ、堅牢性を踏まえた上でのデザインバランスとなっている。


ビジネスプロフェショナルツールとしてのこだわりで、大和研究所で開発 ThinkPad Tabletのデザイン

 オプションのペンは、緻密なポインティングが可能という電磁誘導式を採用。一般的な静電容量方式のタッチパネルに対応するペント比較して精度の点で上回り、さらに256段階の筆圧が感知可能となった。ペンは本体のスロットに収納可能で、持ち運びにも便利とした。

 一方、ドッキングステーションについては、USBや音声入出力などの拡張端子を充実させたほか、PCとのデータ同期も行なえるという。ポートレート表示で、文書の参照などに好適とした。さらにThinkPad用の65W ACアダプタによる急速充電も可能で、micro USB充電と比較して充電時間を3分の1以下に短縮できるという。

 キーボードも品質にこだわって開発した。キーストロークこそ1.5mmと、「ThinkPad史上もっともストロークが短いキーボード」だが、キーのぐらつきを抑え、タイピングノイズを抑えるなど、ThinkPadらしいキーボードの品質を踏襲した。タイピング時の感触も複数のサンプルを用意し、最も良いものを選んだという。

ペンやドックの特徴 キーボードの特徴

 ThinkPadといえば堅牢性だが、ThinkPad Tabletもこの堅牢性を踏襲。コーニングのゴリラガラスを採用したほか、角部分に金属プレートを配置し強化を図った。また、ボタンの内側に防水シートを取り付け、防滴性の向上も図った。設計思想はIP53を目指したとしている。

 堅牢性試験に関しても、そのほかのThinkPadと同様のテストを行なっているが、ThinkPad Tabletではさらに角落下試験と鉄球落下試験を強化し(より高いところから落とす、より重い鉄球を使う)、タブレットに求められる堅牢性を確保したという。

 さらに、タブレット端末ならではの表面温度基準を設け、使用者が不快にならないよう配慮したという。

筐体はThinkPadらしい堅牢設計を採用 堅牢性試験では、角落下試験と鉄球落下試験を強化 表面温度基準を設け、不快にならないような熱設計を施した

●ソフトウェア面はセキュリティを強化
與茂孝嗣氏

 最後に、同社 主任開発技術担当部員 TM/ノートブック開発 第三TVT開発の與茂孝嗣氏が、ソフトウェア面の特徴について解説した。

 同社がまず注力したのは使いやすさにおける面で、日本語入力についてはオムロンの「iWnn(あいうんぬ)」、手書きメモ間隔で利用できるVision Objectの「Notes Mobile」を選定して搭載。また、ホーム画面からすぐにアプリケーションを起動できる独自の「レノボ・ランチャー」も搭載した。

 ビジネス用途を配慮し、セキュリティ面を強化。まず、フラッシュメモリおよび内蔵ストレージの暗号化機能を搭載し、盗難/紛失時のデータ流出のリスクを低減できる。micro USB経由での接続にも、パスワードを要求する仕様とした。

 一方、個人ではリモートで内蔵データを削除できる「McAfee Lock」をプリインストール(継続利用には別途料金が必要)するほか、企業向けにはタブレット端末を統合管理できる「Absolute」サービスが利用できる。

独自選定のソフトウェアで使い勝手を向上させた セキュリティ面の機能 パスワード認証でのmicro USB接続制御
リモートデータ消去サービスの対応 McAfeeのMobile Securtyの画面。リモートでロックが可能 Absoluteのサービス

 統合管理運用面でも、Wi-Fi構成設定の一括インポート機能、スケジュールによるWi-Fi電源OFF機能などを搭載。さらに、Android標準のデバイスポリシーマネージメントサービスを拡張し、SDカードスロットの使用可否、USBポートの使用可否、Wi-Fi/Bluetoothの使用可否、Webカメラ/マイクの使用可否など、多岐に渡る設定をXMLベースでポリシー設定できるようにした。

レノボ独自のデバイスマネジメント デバイスマネジメントの拡張により、XMLベースでのさまざまなポリシー制御が可能になった
Wi-Fi構成のインポートの例 Wi-Fiの電力制御のポリシー

 なお、発表会の内容自体は上記のように、ThinkPadらしい企業向けのハードウェアやソフトウェア設計思想を踏襲したものだったが、後のタッチ&トライで実機に触ったところ、ゲームもいくつかプリインストールされており、いくつかコンシューマ寄りな部分も見受けられた。会社と家庭間で常に持ち歩いて、カジュアルなスタイルで利用することを想定しているようだ。

ThinkPad Tablet。起動画面も独自のスプラッシュ 本体背面。これだけ見るとクラムシェルのThinkPadと同じだ ペンは本体底面に収納可能。なお、オプションで選択しない場合は黒のキャップが付属する
プリインストールアプリ。ゲームもいくつか見える 別売のドッキングステーション ドッキングステーションの側面にUSB 2.0ポートが見える
背面にはPC接続用のmicro USBと音声入出力、ACアダプタ入力が見える 別売のキーボードに取り付けたところ キーボード中央には光学式のトラックポイント。光学式なので倒すのではなくなぞることで操作する
キーボード上部には3段の溝が設けられ、3段階に角度を調節できる 本体との接続はUSBだ 日本語入力のiWnn。日本語フォントも入っているようだ

(2011年 9月 29日)

[Reported by 劉 尭]