iPad 2製品発表会を写真で速報
~3月25日より国内販売開始予定

iPad 2

3月25日 発売



 既報のとおり、Appleはサンフランシスコでスペシャルイベントを開催して「iPad 2(アイパッドツー)」を発表した。これを受けて日本時間3日には、銀座にある同社の直営店「Apple Store 銀座」でも製品発表会が開催された。なお製品の紹介は報道関係者に限って行なわれたもので、3月3日時点で同店店頭にiPad 2が展示されているわけではない。

 発表会は、まず3階に常設されているシアターを使って、米サンフランシスコで開催された発表会の模様が上映された。内容は同時通訳レシーバーが配られた点を除いては、日本時間3日午前よりiTunes Storeを通じてPodcastで配信されている映像とほぼ同一である。講演には病気療養のため休養中(ただしCEOとして経営上の重大な決断を下す立場にある)とされるスティーブ・ジョブズCEO自らが登壇。お馴染みのスタイルと演出でiPad 2および関連機器、関連ソフトウェアなどを次々と披露していった。

 講演の骨子としては、昨年同社のiPad発売により幕を開けることになったタブレット市場。約9カ月で1,500万台を出荷して「iPadの年となった2010年」に続いて「2011年はiPad 2の年」として、引き続き市場を牽引するというメッセージになっている。講演の中では数回、追い上げる立場となるAndroid 3.0(Honeycomb)搭載タブレットをはじめとした他社競合タブレット製品にも触れており、現時点でのタブレット対応アプリケーション数の差や、ハードウェアとソフトウェアを同一社内で開発を行なっている点などで、iPad 2(iOS搭載製品)が優位にあると説明した。

 ジョブズCEO以外の登壇者は、iPad 2に搭載されるiOS 4.3開発の責任者であるソフトウェア担当の上級副社長のスコット・フォーステール氏、ビデオアプリケーションのチーフアーキテクト、ランディ・ユービロス氏、ミュージックソフトのマーケティングディレクター、ザンダー・ソレン氏の3名。それぞれ「iOS 4.3(PhotoBooth、FaceTime)」、「iMovie for iPad」、「GaregeBand for iPad」の説明とデモンストレーションを行なった。

 iOS 4.3はiPad 2にプリインストールされるほか、既存のiOSデバイス向けにも3月11日(米国時間)よりアップデートが提供される予定。iMovie for iPadとGaregeBand for iPadも同日よりiTunes Storeで販売される。いずれも既存のiPadでも利用可能で、iMovie for iPadはiPhone 4でも使えるユニバーサルアプリケーションとなる。価格は米国向けがそれぞれ4.99ドル。日本国内価格は未発表だが、現時点で入手可能なiPhone 4対応のiMovieが同じ4.99ドルで600円ということを考えると、いずれも600円が日本のApp Store価格になるものと予想される。対応可能な既存iOSデバイスへのiOS 4.3アップデートは無償提供される。

 なおiPad 2の日本国内向け価格や、3G対応キャリアなどは現時点で未発表で、後日発表の予定。正式発表があり次第、それらはあらためてお伝えする。

新たに搭載された「A5プロセッサ」を紹介。クロック周波数1GHzのデュアルコア。周波数は従来モデルのA4と同一のため、2倍の性能は主としてコア数によるものと思われる。グラフィックス性能9倍の部分は基準となる仕様詳細が明らかにされていない。ジョブズCEOによるとSoCのデュアルコア製品としては初めての大量生産品になるとのこと従来モデルよりも約33%薄くなったとされる本体厚は8.8mm。iPhone 4で実現した9.3mmよりもさらに薄くなった米国価格(税別)を紹介。米国モデルは、すべて従来モデルからの価格据え置き。先日、価格が発表されたMotolora XOOMの799ドルを例にあげて、ラインナップ中の5モデルがそれよりも安いとアピール
iPad 2は米国では3月11日に出荷を開始する。また、日本を含む他の27カ国では3月25日に出荷予定としている。この日にハイライトされている主要市場が多く含まれていることで、発売を延期した従来モデルとは異なり、供給が順調かつ潤沢となることを示唆新しい周辺機器の「Apple Digital AVアダプタ」。iPad 2では最大1080Pにアップスケーリングして表示画面を大画面TVなどにミラーリングで表示できる。iPhone4、iPadなどの旧モデルでは720P出力に対応する見込み。回転機能もサポートiPad 2 Smart Cover。カバーにはマグネットが入っていて、閉じるとスリープ。めくると再開する
標準的なポリウレタン製のiPad 2 Smart Coverは米国価格(税別)で39ドル。どちらかと言えばポップなカラーがポリウレタン製一方アニリン染めのイタリア製レザーを素材にしたレザータイプは米国価格(税別)で69ドル。こちらは革ならではの高級感と、使い込むに従って変わる風合いがポイント。シックな色が多いこの日発表されたiPad 2のまとめ。より速く、薄く、軽く。(iPhone 4でも実装した)ジャイロセンサーを搭載。バッテリ持続時間と価格(米国)は従来モデルとまったく同じ。先行するAppsの市場と、iOSをはじめ関連ソフトウェアの提供で、引き続きタブレット市場をリードするとしている

 シアターでの上映後、およそ30分間ほど、iPad 2ハンズオンが行なわれている。製品撮影については、フラッシュを使った撮影は一切禁止という条件もあったため、やや暗めでかつ環境光に左右されている。形状などは参考になるが、製品の実際の色や質感については、一般向けの展示が開始され次第、ぜひとも実際に製品をその手に取って確かめていただきたいと思う。既存のiPadユーザーにとっては従来機との比較写真も欲しいことは十分に承知しているが、現時点では同社従来モデルも含めて他の製品と比較しての撮影は一切許可されていないため、すべてiPad 2および関連製品単独の写真となっている。製品概要は写真を中心に紹介する。

iPad 2 Smart Coverを付けて開いた状態。カバーは磁力により本体に接着しているが、こういった感じで開ける。接着面が左側固定のために左開きのみとなる。マグネットセンサーによりカバーを閉じると本体はスリープ。めくるとスリープが解ける仕組み折り返してスタンドにした状態。立てかけているように見えるがiPad 2の左側面(この写真では底面にあたる)は、ちゃんとカバーと接着しているジョブズCEOが「今度はちゃんと同日に発売される」と明言したホワイトモデル。フロントカメラが付いているのがよくわかる
「Photo Booth」のデモ。機能自体はすでにMac OS X向けに提供されている同一名称のソフトウェアとほぼ同一。FaceTimeカメラ搭載になったことでiPad 2向けにも登場iPad 2 Smart Coverの接着部分。磁力でiPad 2とつながる。磁石と金属ではなく、iPad 2 Smart Coverの磁石とiPad 2に内蔵されている磁石、磁石同士の接着なので、接着位置はぴったりと決まるという「GaregeBand for iPad」のデモ。加速度センサーを活用することによって、パッドをタップする強さを、ドラムを叩く強さへと反映できるという。打楽器だけでなく、鍵盤楽器も同様とのこと
AirPlayを使ったホームシェアリング機能。iOS 4.3でさらに使い勝手が向上するという39ドル(米国価格、税別)で別売される「Apple Digital AVアダプタ」。30ピンのメスコネクタは初めての製品化。HDMI出力と、給電および同期用の30ピンコネクタが並ぶ
iPad 2 Smart CoverとiPad 2の接着部分。本体エッジのカーブに沿って作られている「Apple Digital AVアダプタ」をiPad 2に接続。同アダプタは従来のiPadやiPhone 4などでも利用可能だが、その場合の解像度は720pに制限される「iPad 2 Smart Cover」。こちらは米国価格39ドル(税別)のポリウレタン製のもの。ポリウレタン製の5色は、ポップな色が多い
回転ロックとミュートが設定できるようになるスライドスイッチとボリュームスイッチは右側面(写真では上面にあたる)に位置する「iPad 2 Smart Cover」。ヒンジ側だけでなく、カバーをiPad本体に密着させるためとスリープ制御のために反対側の端にも磁石が内蔵されているので、こうして畳んでも形状を維持する「iPad 2 Smart Cover」の赤色製品は、既存のiOSデバイスと同様に、(PRODUCT) RED Special Editionとなっている。購入金額の一部は「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」へと寄付される
圏外表示ではあるものの、おおよそ20台ほどのデモンストレーション機の中には一部3G対応の製品も用意されていたiPad 2の背面。これは3G対応モデルなので、従来製品同様に上部のアンテナ用の黒いプラスチックパーツが付いている。背面の丸みはなくなり、フラットになった製品版か試作モデルかは不明だが、いわゆる技適表示はソフトウェアによる電磁的表示だけでなく、本体背面にも実際に明記されていた
microSIM用のスロット。トレイの引き出し口は、従来モデルよりさらに小さくなった印象がある。米発表ではW-CDMA対応でAT&T向け製品はSIMスロットあり、CDMAのVerizon向けはSIMスロットなしのようだが、日本国内向けの3Gキャリアは未発表水色のみポリウレタン製。他の3色はアニリン染めのイタリア製レザーを素材にした69ドル(米国価格、税別)のもの。説明によると、レザー製は使い込むに従って風合いが変わるとのこといずれもiPad 2。額縁部分がホワイトのモデルも同日の出荷が予定されている。製造上の理由により2011年春まで出荷が延期されているiPhone 4のホワイトについての新しい情報はなかった

(2011年 3月 3日)

[Reported by 矢作 晃]