HTC、CESとMWCで公開されたスマートフォンとタブレットを日本でも披露

新製品を紹介する小寺康司氏

3月1日 開催



 HTC NIPPON株式会社は1日、都内で記者説明会を開催。HTC本社で最高製品責任者を務める小寺康司氏が、1月に開催されたInternational CES 2011および2月に開催されたMobile World Congress 2011で披露/公開されたAndroidスマートフォン5機種とタブレット1機種の概要などを説明した。

 なお、下記で紹介する製品は、いずれも日本での発売は未定となっている。

 まず小寺氏は、同社の直近の業績について説明。2009年は出荷台数が約1,000万台だったのに対し、2010年はDesireやIncredibleなどのシリーズが好評を博し、前年の2倍以上となる約2,500万台を出荷。売上高も、前年比90%増となり、ブランドの認知度も50%を超えたという。

 新機種の中でフラグシップとなるのは「Desire S」。既存のDesireシリーズのデザインを踏襲しながら、アルミ削りだしの筐体を採用し、デザインと質感、持ちやすさなどを向上させた。CPUは1.2GHz駆動の高速なものが採用され、動作がスムーズになった。カメラも800万画素へ高画質化し、内側カメラも設け、Skypeなどを使ったTV電話機能も実現した。

 「Wildfire S」は、小型さをウリとする製品。小型とはいえ、こちらもアルミ削りだしの筐体を採用するほか、機能面ではDesire Sと同等となる。また、これまでシルバーとブラックのみだった同社のスマートフォンの中で、初めて紫色のカラーバリエーションを用意。なお、今後は他のモデルでも3~4色のカラーバリエーション展開を図っていくという。

Desire SWildfire S

 「Incredible S」は、従来のデザインから離れ、デザイナーに自由に設計させた製品。裏面に縁取りを持たせているのが目を引く。4型の液晶を搭載し、動画などの視聴に好適としている。

Incredible S背面カバーを開けると、内部のプラスチックはスケルトン仕様

 「ChaCha」と「Salsa」はいずれもFacebookに特化した製品。両製品ともFacebookの「F」ロゴがついた専用ボタンがあり、これを押すことでFacebookと連動する。両者の違いは、前者がキーボードを装備し、後者がしない点。

 小寺氏によると、現在約5億人いると言われるFacebookユーザーのうち、約2億人がステータスを携帯電話経由で更新。また、その更新頻度は携帯電話を使わない人の2倍に及ぶという。さらに、その2億人の半分が起きてすぐに、さらにその半分はベッドから出る前にその日の最初の更新を行なうということで、携帯電話とFacebookなどのSNSの親和性が高いと語った。

 両製品のFボタンだが、押すと、単にFacebookにつながるだけではない。例えば、写真を撮ると、ボタンが光るので、Fボタンを押すと、その写真がFacebookにアップロードされる。同様に、ブラウジング中もボタンが光り、押すと、URLのコピー&ペーストなどをする必要なく、そのページについての投稿を行なうことができるほか、長押しすると現在地の情報が取得され、それを元にチェックインができる。

 なお、いずれもMWCではケース内での展示だったが、操作こそできなかったものの、今回はケースなしで実機が展示された。

ChaCha(左)とSalsa(右)。ChaChaの右下、Salsaの中央下部にあるのがFacebookボタン展示機は電源が消されていたが、小寺氏が紹介した実機のUIはこのような感じ

 タブレットの「Flyer」も、削り出しのアルミ筐体を採用。これにより剛性を持たせつつも、415gという軽量さを両立させた。CPUには1.5GHz駆動の高速なものを採用する。

 小寺氏によると、差別化を図れるよう、十分な時間をかけて開発に当たったという。ユーザーインターフェイスも、単にスマートフォンで採用している「HTC Sense」をそのまま引き延ばすだけでなく、高解像度を活用し、3D化も行なった。

 専用のデジタルペンにより、閲覧しているWebページに手書きメモを沿え、画像化してメールで送信するといったこともできる。また、手書きのメモを取る専用アプリは、OneNoteなどのように、録音しながらメモを取ることで、後からメモを取った箇所をタップすると、その時に録音された音声が再生されるほか、Evernoteとも連動。さらに、クラウドを使って保存したノートの音声認識を行なうと言った機能追加も予定されている。

 もう1つ小寺氏が動画で紹介したのが、同社が最近出資したOnLiveのストリーミングゲーム機能。ハンドヘルド機器で、PC並の高精細な3Dゲームなどをプレイするのは不可能だが、OnLiveでは、クラウド側でゲームを起動し、その映像をユーザーの端末に送信。ユーザー端末からは、入力情報をクラウドに送ることで、ハイエンドなゲームのプレイを可能としている。

 原理はリモートデスクトップと同じで、それゆえ遅延の発生は避けられないため、あらゆる種類のゲームが満足にプレイできるわけではない。しかし、OnLiveではクラウドという性質をうまく利用し、タブレットで一時中断したゲームを、そのまま別のスマートフォンで再開したり、直近の30秒のプレイを動画として保存する機能などもある。

 ゲームの操作は、画面上に半透明なコントローラを表示することで実現するが、専用のワイヤレスゲームコントローラも用意され、スマートフォンをTVにつないで、家庭用ゲームさながらにプレイすることができるとした。

 なお、この機能はサーバーとの距離が問題になるため、米国、欧州、アジア、日本という順番で展開される予定。

 また、この製品独自の映画配信サービスもある。

Flyer概要。CPUは1.5GHz高解像度を活用したタブレット専用のUIを搭載
ペンでWebページにメモを書くことができるOnLiveのストリーミングゲームの構造映画配信サービスも用意

【動画】OnLiveのデモ動画

 質疑応答では、国内での展開や戦略などについて質問があった。おサイフケータイについては、今年後半からグローバルでNFCの搭載が進んでいくが、その中でFeliCaへの対応も進めるべく、実証実験を行なっていると答えた。

 ワンセグについては、NFCよりも地域性が強いため、搭載させることはまだ躊躇しているという。むしろ、今後通信帯域が広がる中、ハードウェア的ローカライズがあまり必要ないIP TVの方が可能性があるとの考えを示した。

 国内でのキャリアとの関係については、ただ販売するだけでなく、成功のためには効果的なマーケティングが必要であり、そのためには限定したキャリアと一緒になって販売/マーケティングを行なっていきたいと述べ、当面はキャリアを増やさない考えであることを明らかにした。

(2011年 3月 1日)

[Reported by 若杉 紀彦]