三菱、倍速補間+バックライト制御+IPS搭載のゲーマー向け23型液晶
〜残像感と表示遅延の抑制を両立。超解像技術も進化

「VISEO MDT231WG」

11月30日 発売
価格:オープンプライス



 三菱電機株式会社は、120Hzの倍速補間技術に加え、PC用として初めてLEDバックライト制御を搭載したゲーマー向け23型液晶ディスプレイ「VISEO MDT231WG」を11月30日より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は118,000円前後。

 同社は、6月に発売した「Diamondcrysta WIDE RDT232WM-Z(BK)」で業界に先駆け、PC用液晶ディスプレイで120Hzの倍速補間技術を搭載した。今回の新製品は、それに加えLEDバックライト制御機能を初めて搭載させ、120Hz倍速補間との組み合わせで、240Hz相当の残像の少なさを実現した。同社ではこの画像エンジンを「Motion Picture Engine (MP Engine) III」と呼んでいる。

 MP Engine IIIにはレベル1〜3の3つのモードがある。レベル3では、基本的にLEDバックライトを消灯させておき、画像のフレームを書き換える時点だけ瞬間的に点灯させる。これにより、前フレームの残像が網膜に残りづらくなり、CRTに近い残像感の少ない描写が行なえる。映像の描画は120Hz(120fps)で行なうが、単純2度描きをしているだけなので、表示遅延も抑えたバランスのあるモードとなる。同社によるとこのモードは、スポーツ、レーシング、アクション系のゲームに好適という。

 レベル2では、元々の60Hzの映像の各フレームから中間フレームを自動的に生成する、120Hz駆動倍速補間を行なう。同時に、パネルの縦方向に対して半分の面積分だけバックライトを点けて、それを縦方向にスクロールさせるように制御するスキャニングを行なう。これにより、240Hz駆動に相当する残像の少なさを実現した。このモードは、表示遅延が発生するため、遅延の影響を受けにくい、ロールプレイングや、アドベンチャー系ゲームに適している。

 レベル1では、倍速補間は行なわず、単純2度描きと、レベル2と同じバックライトスキャニングを行なう。このモードは、もっとも表示遅延が少なく(具体的数値は非公開)、シューティングや、音楽/リズム系ゲームに向く。

 バックライト制御は、大型液晶TVでは採用されているが、ブリンキングとスキャニングといった異なる制御方法を複数搭載するのは例が少ないという。また、パネルには広視野角のノングレアIPS方式を採用する。

MP Engine IIIレベル3の解説。120Hzで2フレームごとに、バックライトを瞬間点灯させることで残像感を低減 レベル2では倍速補間を行なう。バックライトはスキャニングを行なう レベル1は表示遅延を減らすことに特化したモード

ギガクリア・エンジンIIの概要

 MP EngineがIIからIIIへ進化したのに加え、同社の超解像技術「ギガクリア・エンジン」もIIへと発展した。前世代では、ダイナミックコントラスト補正、局所コントラスト補正、ノイズリダクション、色変換、階調数拡張処理といった事を行なっていた。

 ギガクリア・エンジンIIでは、まず超解像の部分について、ちらつきが発生しやすい箇所を自動検知し、超解像処理を抑制する新・超解像技術へと改良。ノイズリダクションについても、ストリーミング動画で発生しがちなブロックノイズの抑制機能を加えた。

 さらに新機能として、超解像などの調整範囲を解像度に応じて自動設定する解像度判別機能、白飛びや黒つぶれをきめ細かく調整するエリアコントラスト、肌色部分を検出して、肌が粗く見えないように超解像を調整する肌色検出機能を搭載した。

 機構部分についても、「リフティングターン」と呼ばれる独自の設計が盛り込まれた。これは、ピボット回転用の機構なのだが、軸が持ち上がる(あるいは下がる)ように移動しながらパネルが回転するため、横位置でも縦位置でも、底辺の高さが変化しないようになっている。

 これは、本製品がパネルの真下に3W+3Wのスピーカーを装備し、その背後に5Wのサブウーファーを搭載させていることを考慮したため。サブウーファーは接地面からの距離が離れると、効果が薄れてしまうため、常に最適な位置を保てる構造にした。

 また、回転するのはパネル部分だけで、ケーブル類は台座側に接続されるため、ケーブルの制約を受けずに回転させることができる。

リフティングターンと呼ばれる新機軸のピボット回転に対応 スピーカーの位置や、ケーブルを動かさずに回転できる スピーカーの背後に5Wのサブウーファーを搭載するのも他に例が少ない

【動画】パネルを回転させるところ

 このほか、従来からある機能として、デジタル2画面対応のPinP、24fpsのコンテンツもなめらかに表示するシネマモード、アスペクト比固定拡大、携帯型ゲーム機のフル画面表示、表示遅延を最小限するにスルーモード、10bitガンマ機能などを搭載する。

 主な仕様は、最大表示解像度が1,920×1,080ドット、表示色数が約1,677万色(10億6,433万色中)、輝度が350cd/平方m、コントラスト比が900:1(最大5,000:1)、応答速度が5ms(中間色)、視野角が上下/左右とも178度。

 インターフェイスは、HDMI×2、DVI-D、ミニD-Sub15ピン、D5、Sビデオ/コンポジットビデオ。音声は、3.5mmステレオミニジャック入力×2、RCAピンジャック×2系統、S/PIDF出力(2ch、HDMI入力用)、3.5mmステレオミニジャック出力×2を備える。

 本体サイズは543×226×447mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約11kg。台座はピボットのほか、前後25度のチルト、左右70度のスイベル、約60mmの高さ調節が可能。リモコンが付属する。

本体右側面 本体左側面にHDMI入力×2 本体背面
カバーを開けるとAV系端子が現われる PC系端子は下側 リモコンが付属

●ハイエンド市場でシェア5割獲得を目指す

 16日には同社本社で製品発表会が行なわれた。この中で、リビング・デジタルメディア事業本部デジタルメディア事業部長の田村直己氏が、今後のディスプレイ事業戦略について説明した。

 同社では、液晶ディスプレイ事業を、グラフィック、パブリックディスプレイ、マルチメディア、スタンダードの4つの分野に分けている。この内、現在同社はスタンダード以外の3分野の事業を強化しているが、中でもマルチメディアに注力しているという。

 実際、同社の製品構成は2007年にスタンダードが8割近かったものが、今では半数となり、2012年度には6割が強化セグメント製品になる見込み。また、単に割合を増やすだけでなく、黒挿入、バックライトスキャン、超解像といった新しい技術を他社に先行して投入してきた。田村氏は、こういった点が評価され、店頭/法人向けとも、右肩上がりで出荷台数を増やしており、現在同社は金額シェアで1位となっていることを紹介した。

 来年度までの直近4年間の市場需要は、2009年にやや落ち込んだものの、法人、個人ともほぼ横ばいで推移している。全体の年間出荷台数は約300万台で、個人が約110万台、法人が約180万台となる見込み。

 同社が言う前述のマルチメディアとは、HDMIを装備した製品を差すが、この出荷台数は約66万台。動画の画質などにこだわるハイエンドユーザーは、その4割を占めると推定されるが、田村氏は、「他社にないオンリーワンの製品を投入することで、ハイエンド市場で5割のシェアを獲得したい」との意気込みを示した。

 なお、120Hz入力による3D立体視対応モデルについては、将来的に投入したいとの意志を明らかにした。

田村直己氏 国内ディスプレイ需要動向と同社のシェア推移 マルチメディアハイエンド製品で5割のシェアを狙う

(2010年 11月 16日)

[Reported by 若杉 紀彦]