インテル、Sandy Bridgeの新アーキテクチャを解説

スライド上のロゴはSandy Bridge用の新ロゴ

9月30日 開催



 インテル株式会社は30日、定例の報道向け説明会を開催。先だって米国で行なわれたIntel Developer Forum (IDF)での発表を受け、次期プロセッサ「Sandy Bridge」(サンディーブリッジ:コードネーム)のアーキテクチャについて改めて解説を行なった。

代表取締役社長の吉田和正氏

 冒頭では、同社代表取締役社長の吉田和正氏が、6月に行なわれた前回の説明会以降の実績や、これから年末にかけた活動内容などについて説明した。

 まず、吉田氏はIDFのハイライトを紹介。リーマンショック以降、PC市場はまだまだ明るい兆しが見えないと言われがちだが、実際には2010年に入りPCの1日の販売台数が100万台を突破。この成長は今後も続くと見られ、インテルとしても世界規模でその勢いを後押ししていきたいと述べた。

 その実現の中核的要素となるのが、次期プロセッサのSandy Bridge。メディア処理、Blu-ray 3D、3Dゲームといった、これからのPCの用途に向けたアーキテクチャ、性能、使い勝手の改善を図っているという。

 また、Atomプロセッサについても、米国でアプリケーションマーケットプレースであるAppUpストアが本格開始されたほか、家電や車載など組み込み用に新たな製品を投入し、PC以外の面でも採用の拡大を図っていくことを示した。

 日本市場においては、Turbo Boostテクノロジといった機能により高性能化したCore i5が、順調に主流になってきたことを紹介。また、新たなユーザー層の獲得に向け、TV CMの内容を刷新したり、ファッションショーや女性誌との協力に基づいた露出を強化するなど、新たな取り組みを始めたことにも触れた。

 このほか、同社がイニシアチブを取るコンティニュア・ヘルス・アライアンスが、一般消費者を対象とした対応サービスを開始し、20種以上のインターネットヘルスケアサービスやアプリケーションが実用化されることも発表した。

IDF 2010のハイライト日本では順調にCore i5が浸透女性層獲得に向けた取り組みも

技術本部副本部長の土岐英秋氏

 続いて、同社技術本部副本部長の土岐英秋氏が、Sandy Bridgeの詳細について説明した。

 Sandy Bridgeは現行のCore iシリーズ(コードネーム:Westmere)と同じ32nmプロセスを採用するが、内部アーキテクチャが抜本的に変更されている。

 最大の特徴は、従来のノースブリッジ部分に続き、GPU機能までダイレベルでCPUに統合した点。WestmereもCPUにGPU機能を内蔵するが、これは別のダイを同じパッケージに封入しているだけ。プロセスルールもCPU部分は32nm、GPU部分は45nmと異なっている。

 統合に伴うポイントとしては、CPUコアのラストレベルキャッシュ(LLC)が、リング構造で接続され、かつGPUとシステムエージェントにもつながる点。1つのコアとLLCは96GB/sec(3GHz駆動時)、4コアでは384GB/secという広帯域で接続され、これがGPUとシステムエージェントからも直接アクセスできるため、性能が引き上げられるとともに、システムメモリへのアクセスが減ることから帯域幅を節約できる。

 GPU部分自体も、実行ユニットのレジスタファイル拡張により並列性が向上、複雑な条件での並列分岐の効率化、APIと命令セットを1対1の対応とさせることなど、大きく手が加えられ、現行製品と比べ1EU(実行ユニット)あたりの性能が2倍に伸びた。

 メディア機能も、メインストリームコーデックの専用アクセラレータを搭載し、再生能力や画質を向上させた。また、専用アクセラレータとEUを併用することで、今後登場する次世代のメディア処理にも対応できる。

 従来製品から引き続きTurbo Boostテクノロジーを搭載するが、新たにTDPの枠を超えてまでクロックを上げられるようになった。これは、CPUがアイドル状態であれば温度が下がっているため、瞬間的にTDPの枠を超えて電流を供給しても支障が出ないことを利用したもので、負荷の高い処理を始めた時の立ち上がりの反応が良くなる。

 省電力面では、新たにハードウェア電力制御ユニットを内蔵したほか、リング/コアから電源と周波数を分離、LLC内部のブロック単位での電力管理、CPUとGPUの協調的な電力の利用などにより、改善を図っている。

 このほか、新しい命令セット「AVX」(Advanced Vector eXtension)に初めて対応する。

 Sandy Bridgeは、モジュラー構造となっており、簡単にコアの増減などが可能で、デスクトップ向けだけでなく、ノートPCやサーバー向け派生品も投入される。

Sandy Bridgeの概要CPUとGPUを同一ダイに統合マイクロアーキテクチャの改良(黄色の部分)
CPUコアのLLCはリング構造で、GPUとシステムエージェントからも直接アクセスできるGPU機能も多くの改良が施された新しいTurbo BoostはTDPの枠を超えてオーバークロックが可能に

(2010年 9月 30日)

[Reported by 若杉 紀彦]