マイクロソフト、Windows Liveの大規模アップデートを紹介

高橋克之氏

6月25日 発表



 マイクロソフト株式会社は25日、新Windows Live Essentialsのベータ版を公開した。これにあわせて都内で記者会見を開き、Essentialsと、今夏アップデートが予定されているHotmailサービスの新機能を紹介した。

 冒頭では、同社 業務執行役員 コンシューマー&オンライン マーケティング統括本部 統括本部長の高橋克之氏が挨拶。Windows Liveサービスを利用しているユーザーは世界に5億人いるとし、「今回のアップデートはすべてのユーザーの要望に応えたもの」とアピールした。

 Windows 7発売後のWindows Liveについては、ダウンロード数が2倍に増えたほか、国内OEM PCの約85%にEssentialsがプリインストールされ、普及率が高まったとした。今後は、クラウドをベースとしたサービスで、PCや電話、TVなどさまざまなデバイスをつなげるものとして、幅広く対応して展開していきたいと述べた。

Windows Liveの3つの柱Windows 7発売後のWindows Liveの状況クラウドをベースとしたWindows Liveサービス

●Hotmailの強化点
Windows Live & Internet Explorerゼネラルマネージャーのブライアン ホール氏

 続いて、米国本社から来日したWindows Live & Internet Explorerゼネラルマネージャーのブライアン ホール氏が、日本における取り組み、HotmailおよびEssentialsの強化点について説明した。

 日本においては、Windows Liveに関するインフラや設備を国内で充実させることで、約30%の性能改善を行なった。また、日本の携帯電話キャリアとも協業し、300モデル以上の携帯電話で、Windows Liveサービスを利用できるようにした。さらに、Officeに関しても日本ユーザーからのフィードバックで製品の改善に努めているとした。

 ユーザーのメールの利用形態に関しては、従来ISP(インターネットサービスプロバイダー)が提供していたものから、HotmailやYahoo!メールのように外部のPCからでもアクセスできるWebベースのもの、そしてGmailのように携帯電話からでも共通してアクセスできるようなものに変化していったとする。その理由として、「メールは自分と共に移動する情報、という認識がユーザー間の中で生まれている」ことを挙げた。

 ユーザーとともに移動する情報のため、メールの情報も多種多様になっており、本来はユーザー間のテキストコミュニケーションがメインだったが、企業あるいは組織からのメールマガジン、ソーシャルネットワークからのアップデート情報などが増加した。さらには、友人や家族間で共有する写真データ、メールに含まれるURLのリンクが膨大な数となり、現在ではユーザーの7割が「受信箱が煩雑だと思っている」と答えている。

 こうしたユーザーの状況を改善するため、Hotmailでは機能を強化し、より容易に情報を整理、閲覧できるようにする。ここからは実際のデモを交えて紹介した。


携帯電話メーカーとの協業電子メールの利用形態の進化
電子メールの事情Hotmailの“答え”

 フィルター機能は、フィルタをメール一覧表示の上から選択して、容易に条件に一致するメールを抽出することができる。デモでは、ソーシャルネットワークからのメールをフィルターのワンクリックで抽出する様子が示された。また、振り分け機能も強化され、右クリックのコンテキストメニューから送信者別の振り分けが容易にできるようになった。さらに、返信に対するスレッド表示機能もサポートし、メールでのやりとりを順に追っていくことができるようになった。

フィルター機能で「ソーシャルネットワーク」を抽出したところコンテキストメニューからの振り分け
振り分けたメールはフォルダに保存されるスレッド表示機能

 添付ファイルの強化面では、SkyDriveのWebアルバム機能を利用することで、最大10GBの写真を添付できるようになった。また、添付の写真はダウンロードせずとも、Hotmailのウィンドウ内で確認することができるようになった。同様に、携帯電話からでもその画面サイズにあった写真のプレビューが可能となった。

 また、Officeのドキュメントに関しても、Office Liveとの連携で、プレビューと簡易編集ができるようになった。

 なお、こうした機能が利用できるHotmailサービスは、2010年夏にリリースされる予定となっている。

SkyDrive経由で写真を送ることで、最大10GBまでを添付できるようになったSkyDrive経由で送付した写真はサムネイルのギャラリー形式で届く写真が少ない場合は添付ファイルとして扱うこともでき、このときはサムネイルによる閲覧が可能
Hotmail内で拡大表示できる携帯電話でも同様に写真をプレビューできる
Officeの文書を添付したところOffice Live経由で閲覧や簡易編集が可能

●Essentials
クライアントソフトの強化もLiveの取り組みの一環

 続いて、こうしたクラウドサービスの強化に加えて、クライアントのソフトの強化も図るとして、Essentialsの新機能が紹介された。

 メールクライアントの「Windows Liveメール」は、Office 2010でも採用されているリボンUIを採用するとともに、上記に挙げた最大10GBまでの添付ファイルや、写真のプレビューのほか、カレンダーの同期など、Hotmailのフル機能を活用できる。

Windows Liveメールのインターフェイス。Web版のHotmailをフルに活用できるWindows Liveメールでも、SkyDrive経由での10GBのファイルの送信に対応するカレンダーとの同期機能

 最も強化されたのは「Windows Live フォトギャラリー」で、例えば顔のニキビや、小さいゴミの修正が容易にできる。また、2枚の写真の欲しい部分だけを切り取ってつなぎ目を目立たせずに合成する機能や、顔認識/人物タグ機能、写真からムービーを作る機能(こちらはWindows Liveムービーメーカーへの直接呼出しを利用)などが追加された。ムービーメーカーで作成したムービーは、Silverlight技術を利用し、SkyDriveで共有することもできる。

“ごはん粒”とニキビがついている写真リボンUIから「修正」を選択し、範囲を囲むだけで“ごはん粒”が消えた同様にニキビを削除したところ。この修正は小じわなどにも応用できる
2枚の写真があり、2枚ともに異なる点で“良いところ”と“悪いところ”が共存した場合でも、フォトギャラリーで容易に修正可能。写真では男性が下を向いているが、ベストショットを選ぶと自動的につなぎ目を目立たせずに合成する写真をムービーにして、SkyDriveで共有したところ

 「Windows Live Messenger」はUIを一新して、タイムラインベースでの表示ができるようになった。また、Facebookなどのプラグインによる拡張に対応し、さまざまなソーシャルネットワークサービスを1つのUIで完結できる。

 「Windows Live Sync」は、SkyDriveとローカルのフォルダを同期できるほか、リモートデスクトップが利用できるようになり、外出先から容易に自宅のPCにアクセスできるようになった。

Windows Live Messengerはタイムラインベースの表示ができ、更新履歴順で閲覧できるWindows Live Syncでフォルダを同期するところ。同期先のPCを選択できる

 最後にホール氏は、Windows Live Essentialsは同日よりベータ提供を開始していることを紹介し、さまざまなユーザーにパワーアップされた新機能を試してもらいたいと訴えた。なお、Essentialsの正式版のリリース時期に関しては、現時点では話せないと答えた。

本日よりEssentialsのベータを提供開始Windows Liveをシナリオベースで提案するサイトも開設

(2010年 6月 25日)

[Reported by 劉 尭]