3月2日 公開
マイクロソフト株式会社は2日、アクセシビリティリーダーキャンプを公開した。アクセシビリティリーダーとは、ITを活用することで障碍者が日常生活や社会生活をより円滑に行なえるような企画開発、支援を行なう人材を指す。
2006年から広島大学がアクセシビリティリーダー育成プログラムをスタートし、単位取得ができる講座の開講、オンライン講座の実施、ボランティア実習を単位として認定するなどの単位を設け、必要な単位を取得し、認定試験に合格することで学長認定のアクセシビリティリーダーの資格を取得することができる。
こうした活動が認められ、2008年になって広島大学が文部科学省教育GP「アクセシビリティリーダー育成プログラム」採択を受け、広島大学以外の大学へもアクセシビリティリーダー育成活動が開始されることになった。
2009年6月には産官学連携によってアクセシビリティリーダー育成を推進するために、「アクセシビリティリーダー育成協議会」が発足。広島大学のほか、関西学院大学、富山大学、広島文教女子大学が参加し、現在では札幌学院大学、オブザーバーとして沖縄大学が加わっている。会員企業としても、マイクロソフト、日本IBM、富士通、株式会社イフが参加。今後、さらに多くの企業の参加を募っていく計画だ。
現在は広島大学でのみアクセシビリティリーダー試験が行なわれているが、2010年度には他大学からもアクセシビリティリーダーが誕生する見込みだ。
アクセシビリティリーダーキャンプは、2月27日から3月2日までの期間、広島大学、関西学院大学、富山大学、広島文教女子大学、札幌学院大学の5大学から14人の学生が参加。マイクロソフトをはじめ、日本IBM、富士通、東京電力、大日本印刷で企業研修を行ない、課題や実習、議論を通じて、社会の最新ニーズや取り組みを知る機会となる。
今回のキャンプに参加した広島大学 総合科学学部 3年 諏訪春菜さん |
広島大学 総合科学学部 3年生の諏訪春菜さんは、自身も障碍者で、車いすに乗ってこのキャンプに参加した。「今回の研修で、(大日本印刷が実施した包装のユニバーサルデザインの講義・実習)に参加して、パッケージデザインの文字は、大きい方がより多くの人にとって見やすく、使いやすいものになると思っていました。が、デザインをされている方には、また別の意図があり、文字の大きさばかり追求してしまうと、デザイナーの方の意図が正確には伝わらなくなるのだという話を聞いて、使いやすさと企業やデザイナーの意図が相反することになる場面があると初めて知りました」と新しい経験をしたと話す。
マイクロソフトで行なわれた研修では、特別支援教育でPowerPointを活用するための支援ツールとしてWebサイトで無償提供されている、文字スライド、アイデアスライドの2種類をベースに、特別支援教育でのPowerPoint活用という宿題が出され、各班から回答が発表された。
宿題が出されたから発表までの時間が限られている中、それぞれが工夫した研究成果を発表。聴覚障碍者向けに擬音を説明するために、雨の場面では雨の音の擬音である「ザーザー」という音が雨のように降ってくる写真や、電話の呼び出し音が鳴る際に擬音を表示するプレゼンテーション、漢字学習の際に漢字の元となっている場面を写真や動画で紹介し、漢字の意味理解を促すプレゼンテーションが紹介された。
マイクロソフトから宿題として出されたPowerPointの特別支援教育での活用例の発表風景 |
聴覚障碍者に擬音の理解を促すためにPowerPointを活用した発表 | 写真や動画を使い、漢字を理解してもらう発表 |
(2010年 3月 2日)
[Reported by 三浦 優子]