NVIDIA、ION/Tegra/3D Visionの最新状況を総括

NVIDIAのジェフ・イエン氏

9月18日 開催



 NVIDIAは18日、記者説明会を開催し、ION/Tegra/3D Visionの現状について総括を行なった。説明にあたったのは、同社APACテクニカル マーケティング シニアマネージャのジェフ・イエン氏。

 今回説明があった製品/技術は、すでに発表済みのものだが、今日までに採用/対応製品が増加し、それによってユーザーが得られる恩恵や体験も変化してきている。イエン氏はが今回紹介したのは、そういったアップデート情報だ。

 まずIONについては、Hewlett-Packardが米国で新しいネットブック「Mini 311」を発表した。まだ、ION採用のネットブックの事例はLenovoなどを除き、少数しかないが、イエン氏は「ION搭載機を購入することで、“ネットブックじゃネットサーフィンくらいしかできない”」という不満を解消できると説明する。

 その理由の1つが、PureVideoによって1080pの動画もフルフレームで再生できる点。2つ目は、Windows 7では、Direct Computeを使い、動画のトランスコード処理にGPUを活用できるため、ION搭載機は、Intelチップセット搭載機と比較して、約6倍高速に処理を完了できる。

 3つ目として、3D性能もIntelチップセットより高く、メインストリームクラスのゲームであれば3Dのものでも動かすことができる。

 さらにMini 311では、ArcSoftの動画再生ソフト「TotalMedia Theatre 3」が付属。同ソフトの「SimHD」機能により、SD動画をハーフHDクラスにアップコンバートして再生することができる。

 標準付属ソフトではないが、サイバーリンクの「MediaShow 5」も新たにCUDAに対応。このソフトには写真に写った人物の顔を認識する機能があるが、NVIDIA GPUを使うと、処理時間が3~4割程度短縮される。

HPのION搭載Mini 311LenovoのION搭載IdeaPad S12ION搭載機ならCPUがAtomでも1080p動画をコマ落ちなく再生可能
Windows 7でのトランスコードのデモ。ION搭載機では2分少々で終わる処理が、CPUのみだと12分以上かかる3Dゲームもよほど重くなければ動かせるSimHDによるアップスケールのデモ。右側が処理をかけた状態
サイバーリンクの阿部太郎氏MediaShow 5の画面。写真サムネールの左下の青いマークがあるのが顔認識したことを表わすCUDA対応により、NVIDIA GPUを使うと、顔認識処理の速度が向上する

 ハンドヘルドやMID向けチップ「Tegra」については、米国時間の15日にMicrosoftが同チップを採用した新しいポータブルメディアプレーヤー「Zune HD」を発表した。iPodやWalkmanと同程度の小型のデバイスだが、720pの動画再生が可能。一定の3D性能もあり、今後ゲームも発売される予定となっている。Samsungからも同様のポータブルメディアプレーヤー「M1」が登場する。

 3D Visionについては2つの製品がデモを交えて説明された。1つが、ソリッドレイ研究所が発売するプロジェクタ。正式発表は9月下旬となっているため、仕様についての説明はなかったが、120Hz入出力に対応し、30万円前後の低価格を実現している。

 もう1つが、富士フイルムの3Dデジタルカメラ「FinePix REAL 3D W1」への対応。3D Visionに付属のビューワが同カメラに対応し、PC上でも立体視が可能になった。

MicrosoftのTegra搭載Zune HD外部出力を使うと720p動画もフルフレームで再生できるSamsungのTegra搭載M1
Tegraでは、ネットブックとスマートフォンの中間に位置づけられる「SmartBook」というジャンルの製品も予定されている富士フイルムの藤本真一氏FinePix REAL 3D W1で撮った写真を3D Vision付属のビューワで閲覧すると
対応液晶/プロジェクタがあれば、3Dで見えるこちらは裸眼での立体視が可能な富士フイルムの純正ビューワソリッドレイ研究所が近日発表予定の3D Vision対応プロジェクタ

(2009年 9月 18日)

[Reported by 若杉 紀彦]