株式会社カプコンは5日、報道向けに業界で初めてNVIDIAの「3D Vision」にネイティブ対応するPC版サバイバルホラーゲーム「バイオハザード5」のデモを行なった。
バイオハザードはシリーズ累計で4千万本以上を出荷した大ヒットゲーム。その最新作であるバイオハザード5は、すでにプレイステーション 3とXbox 360用が3月に発売されているが、9月17日にWindows版が発売されることになった。
Windows版の発売がコンソール版の半年後になった理由について、同タイトルのプロデューサである竹内潤氏は、「PC版ならではの特徴/機能を盛り込みたかったから」と説明する。
本タイトルのプレイステーション 3版は、ゲーム本体とメイキング映像を1枚のBlu-ray Discに収録するハイブリッド仕様になっているなど、プラットフォームの独自色を出している。Windows版でも、過去の「ストリートファイターIV」や「ロストプラネット」シリーズ同様、コンソール版よりも高い解像度や、フレームレートといった、プラットフォームを活かした特長を打ち出している。
それらに加え、バイオハザード5では、Windows版独自の大きな特徴として3D Visionにネイティブ対応した。3D Visionの詳細については関連記事を参照して欲しいが、NVIDIAのGPUとシャッター式3Dメガネ、120Hzの液晶ディスプレイを組み合わせることで、立体映像を実現するもの。
プロデューサの竹内潤氏 | 同じくプロデューサの川田将央氏も自らメガネをかけて3D Visionを紹介 | デモに使われたシステム。現時点で国内で発売されている120Hz対応液晶ディスプレイはSamsung製のみ |
120Hzの液晶ディスプレイが必要というハードルはあるが、3D Visionは400本を超える既存のゲームタイトルで楽しむことができる。しかし、タイトルによっては、表示が乱れたり、照準がきちんと合わせられないなど不具合が出るものもあった。
これに対し、バイオハザード5は、当初から3D Visionを想定して開発した業界初のネイティブタイトルとなっている。そのため、そういった不具合は生じないのはもちろん、竹内氏が「フラグシップタイトルで採用するからには中途半端な技術は使わない。しかし3D Visionは私自身も驚くほどの表現力を持っている」と語る通り、これまでの3D Visionを大きく凌駕する立体感を実現している。
具体的には、既存タイトルでは、ディスプレイの奥側にのみ深度が表現される形だったが、バイオハザード5では、例えば斧が自分に向かって飛んでくると、画面を飛び出すように手前側にあるように見えるのだ。
もう1つ、格段に進歩しているのが立体感の表現。既存タイトルでは、確かに立体的に表現されるが、例えば、UIの層があり、その奥に自分のキャラクタの層があり、その奥に敵キャラクタの層があり、その奥に背景の層があるというように、段階的な立体に見えるものが少なくない。
これに対し、バイオハザード5では、完全にリニアな深度表現を実現している。そのため、キャラクタ1つを取ってみても、ギャラリーモードで見ると、リアルすぎてまるで実物のフィギュアを見ているような錯覚にとらわれる。ここでも、キャラクタをズームすると、ディスプレイよりも手前に迫ってくるので、思わず手でつかみたくなるほどだ。これは、写真では紹介できないので、今後、店頭などでデモ機を見つけたら、ぜひ試してみることをお勧めする。
なお、Windows版では、これ以外に、新しいコスチュームと、敵が通常の2~3倍登場する「Unlimitedモード」が追加されている。
説明会では、NVIDIAのショーン・ボナム氏も3D Visionについて補足した。ボナム氏によると、3D Visionに付属の3D Photo Viewerは、近々富士フイルムの3Dデジタルカメラ「FinePix REAL 3D W1」に対応予定という。
また、動画においても、Sonicと協業し、3D映画のダウンロード販売を予定しているほか、今後登場予定の3D Blu-ray Discムービーにも対応させる予定だという。
NVIDIAのショーン・ボナム氏 | 3D映画のダウンロード販売も予定しているという |
(2009年 8月 5日)
[Reported by 若杉 紀彦]